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ロック山へ!ハレルヤ

「んぅ…むにゃむにゃ…はっ。」


朝の日差しが窓から差し込み、ハレルヤは目を覚ます。ハンモックの上で大きく伸びをして、ふわりとハンモックから飛び降りる。


「タイチョーからの連絡が来てない。つまり、今日は非番ってことだね!」


ハレルヤが何をしようか考えていると、お腹が鳴る。とりあえず朝食を食べる事にしたようだ。


「今日は何をいただこうかな〜?ん〜…これにしようっと!」


そう言ってハレルヤがアイスボックスから手に取ったのは、ミルクが並々入った牛乳瓶だった。


「んふふ〜♪今日の朝ごはんはカンデンミルクにするぞ〜♪」


瓶の蓋を開けてハレルヤはカンデンミルクを一気に飲み干す。すると、ハレルヤの身体を軽い電撃が走る。


「ビリっとくる爽やかな喉越し!すっきりした甘さ!やっぱり美味しい〜!…さてと。飲み終えたらやる事は…」


空になったカンデンミルクの瓶をハレルヤは何かの装置に乗せ、ボタンを押した。すると、瓶はエレベーターのように下へと降りていった。


「飲み終えた瓶はこれに乗せて運べば、また美味しいカンデンミルクが飲めるんだよねぇ。リサイクルってやつかな?」


そんなことを思いながらも、何をしようか考える。すると、ハレルヤの部屋のドアが突然ノックされる。


「ハレルヤ〜。ちょっといいかしら〜?」


「どうぞ〜。大丈夫だよ〜。」


ハレルヤはそう言うとドアを開けた。ドアの前に居たのは、ハレルヤと同じソーラーソウルの隊員「ゼリシア」だった。


「突然ごめんなさいね。アナタにお願いしたい事があって来たの。」


「ボクにお願い事?なあにー?」


ハレルヤは疑問に思いながらも内容を聞くと、どうやらトレーニング中に野良モンスターに襲われたのだとか。それでハレルヤに野良モンスター討伐の協力を仰ぎたいとの事だった。


「私も隊員として、日々鍛錬は怠ってないつもりだったんだけど…こてんぱんにされちゃった…。」


はぁ…とため息をつくゼリシアを見て、ハレルヤは頷き、野良モンスター討伐の協力をする事を決めた。


「同じ隊員が傷つくのを放っておけないね!一緒にがんばろー!」


「ありがとうハレルヤ〜!野良モンスターに襲われたのはロック山だよ!」


それを聞いたハレルヤは、ゼリシアと共にソーラーシップの発着場へ向かうと、船員に理由を話した。


「新手の野良モンスターか…討伐すれば怪我人が出ないな。よし!乗れ!」


二人はソーラーシップに乗り込むと、ソーラーシップはロック山へ向けて動き出した。


数十分後ロック山へ到着し、ソーラーシップから降りると、船員らにお辞儀をしてロック山を登っていった。


「ゼリシアは野良モンスターに、ロック山のどの辺りで襲われたの?」


「麓を少し登った所辺りよ。ロック山はキャンプやトレーニングに来る人が多いから、野良モンスターに襲われる人が出れば問題になるわ。」


ゼリシアはそう言ってハレルヤと共に山を登っていく。すると、黒いモンスターが大きめの剣を振り回して暴れているのを発見した。


「あれが私を襲った野良モンスターよ。私じゃ手も足も出なかった。」


「なるほどね…よし、二人で戦ってやっつけよう!」


ハレルヤとゼリシアがひそひそと物陰で話していると、黒い野良モンスターが武器を構えて飛びかかってきた。


黒い野良モンスターの振り下ろした剣が、岩を真っ二つにし、その後ハレルヤ達を睨みつけた。


「あっぶなぁ…!当たったら痛いどころじゃ済まなそう…。」


「私はこの一撃を受けてさっきこてんぱんにされたの…!」


ハレルヤとゼリシアは間一髪の所で回避に成功し、黒い野良モンスターに対し戦闘態勢に入った。


「まろろろ…!」


黒い野良モンスターは、独特な唸り声をあげて威嚇している。ハレルヤはこの野良モンスターが何なのかを思い出した。


「そうだ!この野良モンスターは「ビターマロリ」!コールで身体をコーティングされたマロリで、原種より動きは遅いものの、力は何倍も強いとされているモンスターだ!」


「でもおかしいわね…ビターマロリは本来、火山に生息しているモンスターのハズよ?」


二人はビターマロリを警戒しつつ、ひそひそと話し合う。ビターマロリも警戒して動かない。すると、ハレルヤの頭の中に一つの結論が思い浮かんだ。


「考えられるのは一つ…火山で捕まえたビターマロリをここに捨てたテイマーが居るって事だよ!」


「もしかして最近野良モンスターが増えてるのって、非道なテイマーが居るって事!?」


驚くゼリシアの言葉に頷き、とりあえず目の前のビターマロリを落ち着かせようと言い、ゼリシアと共に戦闘態勢に入った。


「まろろー!」


ビターマロリは持っている剣…バスターソードを構えて飛びかかり、振り下ろした。


「何とか避けられるけど、避けてばかりだとジリ貧になる…!こーいうときは…!」


ハレルヤはもう一度飛びかかってくるビターマロリに向けて顔を勢いよく光らせ、ビターマロリを怯ませた。


「まろぎゃー!」


思わずバスターソードを落として目を押さえるビターマロリに向けて、ゼリシアは走り出した。


「捕まえたっ!」


そう言ってビターマロリを抱え込み、捕獲した。


「まろ〜!まろ〜!」


「大丈夫だよ。私達は敵じゃないからね。」


必死にびよんびよんと暴れるビターマロリに対して、ゼリシアは抱え込んだまま宥める。すると、ビターマロリは落ち着きを取り戻していった。


「まろ〜。」


落ち着いたビターマロリをゆっくり地面に降ろすと、ビターマロリはハレルヤ達にすり寄った。


「凄いねゼリシア!いとも簡単にビターマロリを落ち着かせるなんて!」


「ふふっ。弟達をいつもこうしてあやしてるから、これくらい簡単よ。」


「まろ〜♪まろろ〜♪」


すっかり懐いたビターマロリをハレルヤは持ち上げ、チームの本部へ連れて帰る事にした。


ソーラーシップに戻り、船員達に事情を説明すると快く頷き、ビターマロリも一緒に

シャイニーシティへ戻る事になった。


「タイチョー!ちょっといいー?」


「ハレルヤか!…ん?それにゼリシアまで。どうしたんだい?…ハレルヤ、その抱え込んでいるのはなんだい?」


隊長はハレルヤの元へ歩き、ビターマロリをまじまじと見つめた。すると、ゼリシアは今日の事を話し出した。


「捨てられて野良モンスターになったビターマロリか…。ハレルヤ、ゼリシア、よくぞ保護してくれた。」


隊長はそう言って二人の頭を撫でた。そして少し待っててくれと言い、しばらくしてから小さな機械を持ってきた。


「これは喋れないモンスター用の翻訳機だ。今は地下の研究エリアは改修中だからね…。特別に私の私物の翻訳機を使って理由を聞いてみよう。」


隊長はビターマロリに翻訳機を近づけ、理由を聞いてみた。すると、翻訳機を通じて声が聞こえてきた。


「オイラ…もともとボルケ火山に住んでたビターマロリなんだ。ある日、胸に宝石があしらわれたスーツを着ている謎の集団に捕まっちゃって…。」


「その集団は何か言ってなかった?」


ハレルヤが聞くとビターマロリは再びまろまろ言い出し、翻訳機から声が出てくる。


「確か…オイラを見て、統計値が弱いとか何とか言ってたよ。」


それを聞いた隊長は、思い当たる事があった。そして二人と一匹に真面目な顔で口を開いた。


「その集団とは恐らく、〔バッドマーキュリー〕というチームだろう。」


「バッドマーキュリー…聞いたことがあります。なんでも、片っ端からモンスターを密猟しては、強いモンスターだけを選び…弱いと思ったモンスターをどこかへ捨てる悪徳集団が居ると。」


ゼリシアがそう言うと隊長は頷き、再び口を開いた。


「バッドマーキュリーほど、危険なチームはない。沢山のテイマーが挑み、そして負けていったのだ。かくいう私も、負けたテイマーの一人なんだ。」


「タイチョーが負けたなんて、すごく強くて悪いチームなんだね…」


ハレルヤはおろおろとしたが、すぐに頭をぶんぶんと振って拳を固く握りしめた。


「ボク、許せない!そんな悪いチームが暴れてるのに、何もできないなんて!」


「私もバッドマーキュリーは許せないね。…とは言え、今私達が向かっていっても勝つ事はできないだろうし…。」


ゼリシアがうーん…と、悩みだすと、隊長が二人に声をかけた。


「とりあえずビターマロリは私が預かろう。ハレルヤ、ゼリシア、君達は依頼が来るまで自由にしていてくれ。」


「はい!」


「わかったよタイチョー!」


二人は隊長に礼をして部屋を出ると、ゼリシアがハレルヤに向かって喋った。


「ちょっと疲れたし、休憩室のクーラーバンクで一緒に飲み物でも買わない?」


「それいいね〜。ボク、喉カラカラ〜…」


ハレルヤとゼリシアは休憩室へ向けて歩き、100ルフの硬貨をクーラーバンクの投入口に突っ込んだ。


「私はスパークソーダにしよっと。」


「ボクは葉篭印のメロンジュースだ〜♪」


二人は選んだジュースを取り出し、休憩室の石椅子に腰掛けてジュースを飲みだした。


「ん〜!このシュワシュワ!やっぱりスパークソーダは疲れた身体にピッタリだね!」


「この葉篭印のメロンジュースも美味しい!中に入ってるメロンゼリーも相まって口の中でとろけるよ〜。」


二人は休憩室で穏やかな時間を過ごし、ゆったりとしたのであった。

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