現れたDQN一家。
「とうとう建ったね」
「そうね」
「母さん、お隣さんって一週間前から来てるよね?」
「掃除に来てそうな気がするけど」
「そうだよね。なのに、何で挨拶に来ないんだろうね?」
「さあ?わからないわ」
母さんは、気にしていない様子でキッチンに行く。
俺は、隣の行動を不思議に思っていた。
挨拶って、引っ越してこない限りはしないものなのか?
もしかして、隣って、ヤバイ奴なんじゃないか?
俺の直感は、当たる事になる。
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隣がちょくちょく掃除をして、二週間ほど過ぎた頃だった。
ピンポーン
「はい」
「隣に引っ越してきた興梠です」
「はい」
母さんがインターホンに出てから玄関に向かう。
ガラガラと引戸を開ける。
俺は、その様子を見ていた。
髪の色は、汚い金髪だ。
しゃがれた声、しわしわの顔から見て50代ぐらいだろうか?
おばさんが、一人でやって来て。
旦那や他の家族はいないようだ。
挨拶って、そんなものなのか?
「隣に引っ越してきた興梠です。これから、よろしくお願いします」
「はぁぁ」
「立派なお宅ですよね。うちなんか小さくて」
「そんな事ありませんよ」
「そんな謙遜しないでください。それじゃあ」
隣のおばさんは、会釈をして帰っていく。
「何渡されたの?」
「チョコレート」
小さな紙袋に入っている中身を見て、母さんは答えた。
引っ越しの挨拶にチョコレート?
本当に変な人間だな。
「悪い人じゃないんじゃない?わからないけど」
「どうかな?」
母さんは、俺にチョコレートを渡してリビングに行く。
広くて大きな土間があるこの家が大好きだ。
隣の人の家は、どう見たって小さいのがわかる。
それが、気に入らなかったのか?
嫌だったのか?
その日の深夜二時。
ダンダン……
レッツパーティー
ダンダダン……
何だ!!!
何だ!!!!!
何の音だ?
突然鳴り響く爆音と家を叩きつける振動に、俺は目が覚めてドッドッドッと心臓の音を感じている。
息苦しいほどに心臓が早い。
慌てて一階に降りると母さんも起きていた。
「何、この音?」
「隣人の息子さんみたい」
「えっ?夜中だぞ」
「何か踊ってるわ。ほら、見て」
「本当だ。踊ってる!俺、文句言ってくるよ」
「やめなさい。こんな時間だし……。明日、母さんが静かにしてくださいって伝えておくから」
「わかった」
この日から、俺達とDQN一家の戦いが幕を開けたのだ。




