読者さんとの間にズレを感じるというお話
結構、いただいた感想と、『自分がどういうつもりでその作品を書いたか』の間に、ズレを感じることがあります。
べつにそれはいいんです。
私は自分の意図を正確に読み取ってほしいなんて思ってはいません。
国語の問題でもないし、クイズでもないんだから、正解を出す必要なんてありません。
大体どっちが正解なんてこともありません。
私自身『これ、どういうつもりで書いたんだろう?』と首をひねることがよくありますから。
読者さんに鋭い感想をいただいて、『そういう作品だったのか!』と快哉を叫ぶこともよくありますから。
ついこの間、自分では『身も心も凍りつくような恐ろしい話』『人類の9割が嫌な気持ちになるような話』のつもりで書いた小説を投稿しました。
それに対し、ある人からメッセージでこんな感想のようなものを告げられました。
(『殺し』がテーマになっていますが、愛の物語だと感じました。良い雰囲気が残る作品でした。)
うえぇ……?
私、ハートウォーミングなもの書いたつもりなかったんですが!
むしろハートが凍りつくようなもの書いたつもりだったんですが!
もちろんどちらが正解なんてことはありません。
私は人間は愚かなものとして描き、その人間を信じられなくなった正義の有名ヒーローがヴィランの無差別殺人を容認し、それによって無差別殺人が正義になるという、冷酷で恐ろしい世界を描いたつもりでした。
でも、そのヒーローがそうなった動機は、自分の娘が民衆に虐められたからというものでした。そこに焦点を起き、父親であるヒーローと娘の心情に重きを置いて読めば、ああ……確かに、ハートがちょっとウォームになるような物語にもなるな、とうなずきました。
私のサイコパスが足りないせいで、読者さんを嫌な気持ちに導けなかったのだな、と反省することとなりました。
読者さんには誤読する権利があり、あまりにもみんなに誤読されるようなら、作者の書き方に責任があり、でもだからといって書き直す必要はないのかもしれません。それでポイントがたくさん貰えるのならば!
他にもよく『自分はこういうつもりで書いたのに、全然違う読み方をされる』ということは、あります。
中には『わざとそう読まれるような書き方をして、じつは……』みたいな悪意あるものも書いてはいますが、大抵は意外な読み方をされてびっくりします。
私が『この物語はこう読んでほしい』と思うタイプなら筆を折っていたかもしれません。
私は『この物語はこういうつもりで書いたけど、読者さんには自由に、好きに読んでほしい』と思うタイプなので、ただ勉強になるなと思うだけではあるのですが──
それでもやっぱり他人との間にあるズレを感じるとショックを受けることはあります。
自分の考え方と、他人の感じ方の間にある、暗くて深い溝のようなものを感じることはあります。
でもセックスってそんなもんですよね?
前に付き合ってた人たちがみんなちくびが性感帯で、だから新しい人にも『ここが好きなんでしょ?』とぺろぺろしてあげても、新しい人はちっとも喜んでくれない……みたいな。
いや、たとえを変えよう。
うーん。
うーん……。
結論! みんな違ってみんなよくて、それでいい!
ズレがあるから人間、面白いんだよね(^o^)