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長編小説のSS雑多置き場  作者: 糸のいと
■潜入騎士の『愛してる』には裏がある
6/10

潜入騎士 99話カットSS【チョロ子判定条件、クロルリスト】

99話↓

https://ncode.syosetu.com/n3358ii/99/


 マミちゃんのランジェリーショップにて、四人で相談中。


「で、協力するのはいーけどさ、グランドさんをどーやっておびき出すの?」


 ブロンからの問いかけに、クロルは「それなんだけどさ」と、事前に考えていた策を話し出す。


「下手に嘘をつくと、バレたときにブロンがヤバいだろ? だから、ここは嘘をつかずに進めようと思う」

「うん?」


「単刀直入にいう。当日、展示室に近づけるスタッフの中で、言うことを聞いてくれそうな子をデュールに見繕ってもらう。その子とブロンを繋いでもらって、ブロンに伝手を作る。その子に手引きをお願いして、そういう伝手と約束があることをグランドに匂わせる。そして、グランドが園遊会当日に展示室に来るように仕向ける」


 クロルはサラッと言うが、ブロンは首をかしげるばかり。理解ができないのではない。そんなこと、この短期間にできるのかという角度の首だ。


「無理くない?」

「腹くくって、やるしかねぇの。全部伝授するから、全力でやって。ブロンなら楽勝だと思ってる」

「伝授」


 何を伝授するというのか。

 すると、トリズがペラリと紙を取り出す。


「話を続けるよ~。園遊会当日、展示室周辺に出入りできる人たちのリストがこれね」


 ・第一騎士団の騎士

 ・鍵を持ってる王室管理の文官

 ・デュールがいる宝物管理室の文官

 ・展示室の掃除スタッフ

 ・庭師

 ・ガーデンパーティーの給仕係

 ・ガーデンパーティーの会場準備係


「へー! 結構いるじゃん!」

「それがね、この中で若い女の子がいるのは、三つの部署だけなんだよ~。掃除スタッフ、庭師、給仕係。その中から、ターゲットを見つけ出してもらうってことね」

「どうやって? オレ、部署とかわかんないんだけど」


 そこで、クロルが紙を取り出す。


「見つけるのはデュールの仕事。デュールに、これを鳥配達してほしい」

「いいけど、これなに?」


 そこには、女の子の容姿とか髪型、服装の趣味、仕草や受け答えの仕方など条件が書かれていた。


「この条件を八割クリアした子が、落とすべきターゲットだ」

「ってことは、言うこと聞いてくれそうな子ってこと? へー! ふむふむ。ほー、なるほど」


 すなわち、ハニトラ歴六年のプロ中のプロが提示するチョロ子の特徴ということだ。しかも、ただのチョロ子ではない。犯罪に加担させられても揺るがぬチョロ悪女だ。なんたる極秘資料。

 仕事柄なのか個人的興味なのか、ブロンは食い入るように見て「あはは! わかるわかるー」と膝を叩いて笑いはじめる。


「この三番目の項目、前髪のさわり方! 超あるあるなんだけど! あー、『そう言えば』に弱いのもある。うわー、四番目とか、言われてみれば思い当たるよーな……」

「四番目な。こういう話の仕方をすると、そろいもそろって『ダメでした……?』みたいに、下からすくい上げるような、確認を取る言葉で返してくるんだよ。上から見下ろすような『いいでしょ?』じゃないところがポイントな? あと五番目も特徴的。二択で迫ると選んじゃう。三択目が頭からスポンと抜けるんだろうな」

「へー、なるほど。うわ、十二番目の質問すげーじゃん! この質問をしたとき、回答は語尾に『けど……』がつくとか! 画期的すぎ。クロルくん、すげー!」

「まぁ、プロだから」


 語尾の『けど……』とはなんだろうか。気になるんですけど……。


「僕にもみせて~!」


 トリズも混ざって、メンズの止まらない会話。これは見事なゲスの集い。その中央には、きわどいランジェリーの山があるわけで、ゲスさが際だつ。


 そこで、ぼんやりとしていたレヴェイユが「なぁに?」と紙をのぞきこむ。瞬間、クロルはバッと紙を取り上げた。


「……お前は見なくていい」

「む~、なんで?」

「あ、そう言えば、さっきブロンが髪型いじってたけど、編み込みとか三つ編みとかあんまりしないよな。嫌いなの?」

「え? ううん、嫌いじゃないけど……」

「そうなんだ。まぁ、なんかわかる気はする」

「……三つ編み、ダメだったかしら?」


 レヴェイユは前髪をササッと整えるように触る。


「ううん、その逆。似合ってた。もっと色んな髪型、見てみたい」

「え! そ、そうかしら。うん、今度やってみるね~、ふふっ」

「ははは」


 ブロンとトリズは目を合わせて頷きあった。なるほど、と。


 なお、このチョロ子判定チェックリストはデュールに渡るわけだが、後々、第五の極秘資料として保管されることになる。


 公私ともに様々な場面で使われるようになり、敬意をこめてクロルリストと呼ばれるようになった。


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