潜入騎士 86話おまけSS【ここからここまでキスをして】
端的に言うと、丸出し事件の当日夜です。
86話↓
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夜。レヴェイユを一人にできない関係上、新しいホテルでも、同室になってしまった二人。ちなみに、ツインルームだ。
「じゃ、お疲れさん。おやすみー」
「おやすみ~……しません!」
「なんだよ。今日は、殴りすぎたから眠いんだけど」
人を殴っておねむのクロルくん。
「今日は、その、しないのかなぁって~」
「しません。おやすみー」
「ぇえ!? ここのところ毎日してたのに~」
「毎日じゃねぇし、語弊しかない。大体、シてたんじゃなくて、されてただけだろが(こっちの身にもなれや)」
「むー?」
「……俺はブロンブロックが憎い。する側を担うという発想が一切ないなんて、本当に悔やまれる」
「?」
ゲスい。
するとレヴェイユは、もそもそとベッドを抜け出し、こそこそとクロルのベッドに忍び込む。
「おい、ハウスだ、ハウス」
「私のハウスはいつもココ~」
レヴェイユは「ふふっ」と笑いながら、勝手に腕を動かして腕枕を作製。力が強い。ごろんと寝転がってハウスした。
「ん~、クロルだいすき」
「狭い。暑い。あっちいけよ」
「ヤダ。ご褒美が欲しい」
「お前……性欲強すぎじゃね? 無理、今日は疲れた」
レスの夫婦みたいな会話だな。
「……やだ。今日がいい。絶対、今日。ご褒美くれなかったら、明日からのんびりソワールに逆戻りしそう~」
「普段からのんびりじゃん」
「それ以上にのんびりよ。なめくじレベル」
「なめくじソワール……それはマジで勘弁してほしい」
やけに食い下がるな、と思った。でも、彼女の髪が一部分だけ短いのを見て、「あぁ」と納得がいった。
「はいはい。じゃあ、ご褒美な」
ぽふんと彼女を枕に沈めて、足下に置いていたランタンをベッドに近付けた。
「やだ、明るい」
「満遍なく埋めたいから、灯りが必要。で、触られたのは、左? 右?」
「えっと、右のここから、ここまで」
「は!? ここ!? ……へー? ふーん? そっかー、ここからここまでかー。へー……」
『あの変態野郎。もう十発殴っておけば良かった』と思うくらいには、ここがココだった。
「俄然、やる気出た」
そうして、三分どころか六十分。「だいすきぃ」と呟きながら寝てしまった彼女の、『右のここから、ここまで』は、キスマークで埋まっていた。
「はいはい。おやすみ、レーヴェ」
ろうそくの火を消して、今日も同じベッドに沈んで眠った。
おまけのおまけ
「あっつ! 狭っ!」
「暑いぃ~。へろへろ」
クロルとレヴェイユは朝起きて、同時に言った。
「「ダブルルームにしない?」」
結局、大きいベッドの部屋に変更してもらった。トリズが「だから言ったのに~」と、にやにやしてた。
案外、やきもちを妬く美形