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ほ~むらん☆倶楽部  作者: 機関車上田
自打球の章
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特にトイレは苦労する

 特にトイレは苦労する。生徒があまり使わない、職員室らへんの女子トイレを使っているが、それでも隣の個室に人が来ることがあると恥ずかしく、耳をふさいで「他人の音」を聞かないようにしている。

 ああ、息が詰まる!

 どこかで思いっきり立ちションしたい!

 ブルブル振り回してジョロジョロしたい!

 緊張してばかりだから話し相手すらできない。

 女子高に行かせた父親の策は今のところ大失敗だ。

「クソバカ親父……クソバカオールバック親父め……」

 校舎裏には花壇がならんでいる。

 食虫植物がたくさん育てられている。

 ん? 食虫植物?

 でっかいスズメバチがその瞬間、パクッと食べられた。ベキベキ、グチョグチョとすごい咀嚼音がして、口を開けてゲップをしたときには足のかけらも残らなかった。花壇のあちこちからそういう咀嚼音や酸でブクブクと溶かす音が聞こえた。

 嫌な予感がした。

 そして食虫器官が一斉に薫のほうを向いた。

「……!?」

 ドラキュラみたいにグヘヘと笑ったように見えた。

 消化液を飛ばしてきた!

「ぎぃゃあアアアアアアアアっ!?」

 回避はできたが消化液はシューッ……と湯気を出しながら地面を溶かしていく。薫は生きた心地がしない。GAME OVERの赤い文字が空中に幻視できる。親指を立てながら溶鉱炉に落ちるよりも迅速な死がすぐそこにある。

 そのとき女神のような救いの声が聞こえた。

「――任せてっ!」

 女の子走りでやってきた女生徒が煙っぽいスプレーを花壇に放つ。

 麻酔成分が入っていたのか、食虫植物がしおれた。

 その隙に薫を消化液の射程外まで「うんしょ、うんしょ」と引きずってくれた。

 すごい。命の恩人だ。

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