春と夢
散り始めた春の夜を
忘れない
銀のシフトノブを操る君は
まるで夢のように優しくきらめいて
君は確かめるように微笑んで
何もかも知っているように笑って
誰も知らない時間へハンドルを切った君を
決して忘れない
その夜一度だけ
ただ一度だけ見つめ合ったその瞬間
手に触れた気がした君の心に
嵐を感じたことも
一度も触れることなく
永遠に触れることのなかった唇を
あの日始まったふたりの恋を
永遠に
僕は
In the late spring of that year, we lived in a house in a city that looked across the river and the plain to the mountains...