探偵に依頼
とある路地にある探偵事務所にまた一つの謎がたどりつく。
「あのーすいません、ここ伊那獄 神鬼さんの探偵事務所ですか?相談があるのですが」
探偵事務所の入り口から暗い廊下に響く女性の声、少しして奥から男性の声が返ってくる。
「今、手が離せないので中に入ってお待ちください」
女性は、暗い廊下を進み奥の扉に手をかけた瞬間、部屋の中でものすごい音が響き女性は、慌てて扉を開け部屋に入ると中には、本の山の下に人が下敷きになっていた。
女性は、慌てて本をどかし下敷きの男性を助け出す。
「大丈夫ですか?」
女性が声をかけると男性は、急に立ち上がり服を払い、女性の方を見る。
「すいませんありがとうございました。えーと相談でしたっけ?そこのソファーで少し待ってください」
探偵事務所の男性は先程、自分が潰されていた本棚から落ちてきた本や書類を片付け始める。
男性が片付けてる間、探偵事務所中を見渡していると部屋の片隅にお地蔵がいることにきずく。
お地蔵さんに気を取られていると男性が片付けを終わらして女性の前に座る。
「すいませんお待たせしました、僕がこの事務所の責任者、伊那獄 神鬼です、お名前お伺いしてもいいですか?」
名前を聞かれると女性は、カバンから小さな箱を取りだし中から名刺を出し手渡す。
「六道 朧です貴方と同じ探偵をしてます。」
名刺を受け取り拝見すると東京で有名な探偵事務所の名前が書いてあった。
話を続けてと神鬼が言うと朧は、そのまま話を進める。
「今回私が受け持つ事になった依頼がありまして」
神鬼がいきなり話を途中で切った。
「そんな事なら帰ってくれ君の仕事を僕が手伝う義理は、無いから」
席を立つとコーヒーをつぐためキッチンまで行く。
ソファでは、 急変した神鬼の態度に動揺して言葉を失ったが少し遅れて言葉を返す。
「お願い話を最後まで聞いて、今回の件に関しては、あなたの力が必要なの」
コーヒーをつぎ直し神鬼はソファーまで戻り、朧の前に置いた。
「もう一度言わしてもらうが君の仕事を手伝う義理は無い、コーヒーを飲んだら帰ってくれないか?僕が君の仕事を手伝うメリットもないし、君の探偵事務所は枯木さんがいるだろ?僕に頼む前に枯木さんに手伝ってもらえばいいだろ」
神鬼が枯木という人の名前を出すと朧は涙をこらえるように下を向き話はじめる。
「今回あなたに頼みに来た件なんですが、その枯木さんが事務所内で殺されまして枯木さんの遺書であなたに助けてもらうといいとあたっので」
朧が口を止める。
「なるほど、あの枯木さんが殺されるか、生きてると面白いことっもあるもんだな」
腹を抱えて笑う神鬼を見て、朧の涙が止まる。
「なにがそんなに面白いんですか!枯木さんが死んだんですよ」
「わかってるよ、君の仕事手伝うよ」
朧が持ってきた枯木という男の遺書を渡す。
「あのおっさん、自分が死ぬこと分かってたのか?ってことは面倒臭い事になってるだろうな」
コーヒーを飲みながら楽しげに遺書の内容を読み進める。
楽しげに読む神鬼を見ながら朧もコーヒーを飲む。
神鬼が飲み終えると同時に遺書も読み終え、遺書を丸め灰皿の上に置き火をつける。