両親は大反対だそうです。
毎日更新4日目!この話で多分大方の世界の説明も終わりですね。
セレシス一行は大事なことを一つだけ忘れていた。
『あれ?なんでこの子角とかしっぽやら羽が生えてんだ?』
そう。最も大事だと言ってもいいところをアハトの魔法がすごすぎてすっぽり抜け落ちていた。そしてアハトは思ってしまった。
「龍人って王都の方ではまだ大勢いるんだ。」と。
かくして彼はあっさりと聞いてしまう。
「王都にはどのくらい龍人が住んでいるんですか?」
「りゅっ……龍人?そんなのはとうの昔に絶滅してしまったよ?なんでそんなことを聞くんだ?」
「え?じゃぁ、なんで僕が龍人であることに皆さんこんなに驚かないんですか?」
「ん?え?んぁ?」
尋ねられたセレシスの顔は人目見てわかるほどに青ざめている。
「も…もしかして、君はあの龍人なのかい?リュージーンとかいう名前ではなくて確かに種族としての龍人であると?」
「そ…そうですけど。」
いきなりのまくし立てるようなそれでいて違ってくれという願いのこもった目で見られても本当のことは本当である。
「なんてこった。あぁ神よ。はぁはぁ。ふぅ。やっと落ち着いてきた。君、自分が龍人であるということは他の人には言ってない?」
「両親には伝えましたけど、2人とも信じてくれませんでした。」
「え?両親の片方が龍人とかじゃないのか!?!?」
セレシスは思わず聞いてしまった。
「そっ…そうですけど。」
「どういうことだ。龍人は龍と人とが交わって生まれる子の事じゃないのか?ならどうして両親とも…」
「あ、うちの両親って神信者じゃなくて星信者なんですよ。」
△
この世界には神信者と星信者という2大宗教が存在する。神信者は全ては神から与えられたもので神とは天空に存在するものである。と、する宗教で、星信者は星を司ると言われた星龍帝に祈りを捧げる宗教である。
互いの宗教はテリトリーできっちりと別れているがアーシェとリドルは星信者の地域からこちらに引っ越してきたのであまり信仰の強すぎない人達だ。
「それで、僕が生まれる時に母親が高熱で死にかけてしまった時に父母共々星に願った結果僕がこうやって五体満足で生まれたわけらしいんですけど、もしかしたらその時に星龍帝の因子が流れたのかなぁと思ったりしたり。」
「はぁ。もう君に関して驚くのは疲れてきた。もう君が規格外すぎるってことがよ〜く分かったよ。」
△
一行は一先ず村に帰ることにした。しかし、アハトだけ半日もかかって帰宅するのは面倒だと彼が言うので彼だけすぃーっと飛んでいってしまった。文字通り。
村に着くと辺りは夜の帳が降りきった丑三つ時であった。
しかし、村には煌々と光がともっていた。
騎士団を出迎えてくれていたのだ。
「本当に……本当にありがとうございます。」
村長が土下座して礼を尽くしてくれた。
「正直、今回はワシたち全員死を覚悟して村にいたのです。しかし、村に入ってきた魔物はなし。しかもそちら側の損傷もほとんどなかったと話を聞いております。凄まじい戦いぶりであったとアハトから聞きました。本当に…ありがとうございます。」
そう言って今度は村長だけでなく村の大人全員でありがとうのコールが起こった。
「い、いえ、私たちはそのような…で、ですね。す、少しそのアハト君のご両親とお話したいなと思いまして。」
「アハトがなにかしでかしたのでしょうか?ならわしからもいいきかせておきますのでどうかご容赦を。」
「いっいえ、そういうことでは無いのです。あの戦場に単身で来るアハト君の豪胆さなどを少しばかりご両親と話してみたいと思った次第で。」
「は、はぁ。ではその、明日の朝でもよろしいかな?」
「ええ。一向に構いません。」
△
翌朝、アハトが日課の薪割りに向かい、薪を割っていても何時になってもアーシェが呼びに来ない。不思議に思って家まで戻ると、話し声が聞こえた。しかもそれは先日聞いたばかりのセレシスと言ったか。あの騎士団長の声だった。
急いで家に入るとそこではセレシスとアハトの両親が熱心に話をしていた。
「ですので!私は見たんですよ!彼が異常なほどの強さの魔法を連発して魔物を倒してしまったんです!ええ!全部ですよ!」
「そんなことあるわけないでしょ!?アハトはまだ12歳ですよ!12歳の子供がそんな高度な魔法打てるはずもないでしょ!」
「そうだ!アハトにそんな魔法の才があったのなら俺も欲しいもんだ!」
「あなた!欲望が垂れてるわよ。とにかく!私はアハトを魔法学園に行かせるなんて反対です!」
あ〜その事だったのね。なら俺が行かないとダメでしょうが。
「あ!アハト帰ってたのね!ちょっとこの人の嘘をちゃんと嘘って言ってあげて!」
「母さん。父さん。ちょっと僕の話を聞いてもらってもいい。今から話すことは俺の名前に誓って本当のことだから。まず、謝っとく。今まで騙すような形で過ごしてきてごめん。本当の僕のステータスを今から見せるよ。ステータスオープン」
そう言って俺は両親にステータスを見せた。
「嘘……」
「そんなことあるわけ……」
「確かに信じられないのも無理はないと思う。でもこれが本当なんだ。今まで黙っててほんとにごめん。」
父さんはじっと俺の事を見つめる。そして、一喝。
「馬鹿者ぉぉおおおお!なんでこういうことを先に言わないんだ!先に言ってたらさぁ!………………こうやって凄いぞアハトって抱きしめられたのに。」
そう言って俺の頭を優しく抱きとめてくれた。ずっと黙ってたことを叱られるんじゃないか。そう思っていた僕からしたらそれは暖かな胸で思わず涙を流してしまった。
「てことは、あの人が言ってたことは全部本当なんだな。」
「うん。」
「父さんたちこそごめんな。お前が7歳のときだったっけ?初めて自分でステータスを開いた時にすごいきらきらした顔で『ぼく、りゅーじんかもしれない!』って言ったのを爆笑してスルーしちまって。あの時は嘘だと思ったけどほんとうだったんだな。」
「で、でもそれが、魔法学園に入ることとは直結しませんよね。アハトは行きたいの?そこに。」
「うん。僕は魔法学園に行きたい。それで自分の可能性を確かめたいんだ。
そして、全てを知りたい」
瞬間。開いたままになっていたステータスボードが光った。
2、3秒後には消えていたがステータスボードを見ると、そこには新しく見たこともないスキルが追加されていた。
そう。これこそが新たなアハトの可能性
【究道者】
である。
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