王国騎士団は疲弊されているようで
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王国騎士セレシスは大いに焦っていた。何せ近年では類を見ないほどの膨大な数の魔物の大狂乱が起こっているのだから。
しかも今はとある理由で王国騎士団はかなり弱まってしまっている。
そんな状態で魔物の軍団に勝てるのだろうか。部下の士気もあまり高いとは言えない。ほぼ連日の出勤に嫌気のさす者もいるだろう。
しかし今はそんなことを言っている場合でもない。いくら辺境の村とはいえ自国の領土。そこを犯されては王国騎士の名が廃るというものだ。
そんなことを思いながら馬車を走らせる。後10~20時間程で着くという見立てだがどのような作戦で望むのか全く決まっていない。いつもは頼りになるあの参謀も前々回の遠征で魔物の狂牙に倒れた。
今回の大狂乱に避ける人員は王国騎士団の部下たち250名である。それで数千匹の魔物を処理しなくてはならないとは正直死ねって言っているのと変わらない。
地元の人々には申し訳ないが諦めてもらうほかないのかもしれないな……と、思いをめぐらせていたその時、不意に空が何度か明滅を繰り返したような気がした。若干の空気の振動も伝わってきた。慌てて空を見あげると何かがパラパラと降ってきた。
「これは……石?いや…岩か。しかしなぜ上から降ってきたんだ?隕石でも降っている訳でもないし…」
セレシスの上空では岩石を身にまとって突進する魔物のグリムガンが燃やし尽くされているなど彼の知る由もないことであった。
△
ようやく村に着いたかと思い騎士たちはみな疲労困憊である。仕方なく自分一人でこの村の長老に会いにいくと。
「おぉ〜!これは騎士様!終においでになられましたか!村の者一同みな待っていましたぞ!いや〜!王国騎士団様がいらしていただければ私達も安泰ですな!はっはっはっ!」
「その事なのですが……村長殿。私たちも最善は尽くしますが、如何せん魔物の数が多すぎます。正直私たちでは捌ききれない数だと思います。なので…できるのであれば早めの避難をよろしくお願いします。」
「な…そんな……騎士団様のお力を持ってしても不可能なのですか?そこまで強大な魔物達であるのですか?」
「はい…私たちとて心苦しいのです。しかしもうしょうがないのです。本当に力がなくて申し訳ありません。」
「はっはっはっ。そうですか。ですがわしらは最早死に損ないの老人どもも多くおります。わしが言って避難しなかったらそっとそのままにしておいてあげてください。」
「誠に申し訳ございません。では少しでも生きるために準備をしてきますので長老殿もよろしくお願いいたします。」
程なくして散開したが村の人達は避難をしようとするものはほぼ居なかった。彼らには村を離れてもやることも生きる道もないのだ。
このような場合には王国から手当が出るのだがこのような辺境の村にいくら出るなどたかが知れている。それならばいっそこの村で死のうと決心するものが多く居たのだろう。
「守るものが多いな。だからこそ本当に負ける訳には行かないんだな。見ていてくれよ……エマ。サラ。」
王国で待っている妻とそろそろ魔術学校の入学の迫っている娘を思い返した。
△
半日ほどかけて村の近くの森をぬけて荒野に出るとそこには見たこともない数の魔物の大軍がだいたい大木100本程遠くにいた。ここにいても身震いしてしまうほどだ。
「魔物が最も近づいた時に攻撃を仕掛ける!総力戦になる!治療班!戦闘班!各自今は出来るだけ休息を取り来るべき決戦に向けて備えるのだ!!」
「「「「「「「「ぉぉおおおお!!」」」」」」」」」
どこか覇気のないような声であった。これで戦わなければならないとはと歯噛みしていても仕方がない。
「大凡の時間は7時間後!それまで各自待機!」
△
7時間たったあと魔物の軍勢はもう目と鼻の先まで迫っていた。のしのしと1歩ずつ着実にまさにそれが騎士たちの死へのカウントダウンだとでも言うように歩いてくる。
セレシスが全軍攻撃、と合図を出そうとした瞬間。
突如として目の前に青白い炎の竜巻が現れた。
おや?と騎士たちは思ったがそれが魔物の軍勢に向かって行くのを見ていよいよ訳が分からなくなってきた。
「ん〜?【炎極大竜巻】は、もうちょっと威力が低いはずなんだけどなー?おかしいなぁ?ちょっと火力を間違えたか?」
魔物の軍団は先鋭の5.600匹程は燃え尽きていた。しかしまだ竜巻は威力の収まる気配がない。
「まぁー仕方がない。他の魔法の研究でもさせてもらいますか。」
フィンガースナップの音が聞こえたかと思えば竜巻はあっさりと消滅した。サッと上を見上げるとそこには1人の少年がいた。
しかしその少年には恐ろしいまでに純黒の鱗の着いたしっぽと羽、更には額にはぐわっと上に伸びた角が生えていた。
「あれは……龍?」
これが地獄の再現のような魔法に天使のような性格と容姿の少年。アハトの創る御伽噺、神話のような物語の始まりである。
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