第四章 第十話
3月3日、南興人民議会及び南興労農党中央委員会総会が行われた。その二つの会議で、本格的な人事異動が決定された。
まず、若手から高宮奈穂が中央委員候補に指名され、中央委員会事務局主任事務官を留まったまま、党組織運動部総務課長を兼務することになった。また、沙織の親友である大岡芽美も、平党員からいきなり中央委員候補に指名され、党青少年団女子部長に任じられた。傍目から見れば大抜擢であるが、実際は芽美の親が幹部党員(父:裕彦も同時に政治局員候補に昇進し、外務大臣に就任)であることが影響していた。
中堅では、岩松正純統合参謀総長の長男である岩松景純海軍少将が、34歳の若さで党中央委員・海軍中将に昇進し、党書記兼南興軍事総合大学長に任じられた。勿論、これも完全な縁故人事である。その他、沙織や正純に近い中堅幹部達も、次々と昇進した。
重鎮の人事にも変化があった。まず、関泰弘首相が退任した。彼は正朝廃嫡の時に、これに賛同した人物ではあったが、遠藤前副大統領の頼みで現在は、正朝と沙織の間を取り持つ役割を担っていた。そこで関は、その役割に極力徹するべく、降格人事ではあるものの党副委員長兼書記となった。首相の後任には、同じく廃嫡の一件で、楠木一族以外で真っ先にそれに賛同した間藤修司副首相兼外務相が就き、同時に党内序列3位に浮上した。そして、関に代わって党内序列2位に就いたのが、誰であろう、沙織の『後見人』と目される岩松正純であった。彼は、統合参謀総長に加え、副大統領、そして党副委員長も兼務することで、名実ともに『後見人』の立場を確実なものとしたのであった。
「芽美、改めてこれから宜しくね」
「こちらこそ。やっと沙織ちゃんと一緒に働けて嬉しい」
「これからは、どんどん芽美ちゃんにも働いてもらうからね!奈穂ちゃんと芽美には、若手の中心として頑張ってほしいから」
「沙織ちゃんの為なら、何でもやってやるわ」
「とりあえずは、今年の青少年キャンプ、準備進めてね。あと、同時期に児玉坂34のコンサートがあるから、もしかしたら青少年団の皆にも手伝ってもらうかもしれないから、そのつもりで」
「オッケー!」
これで、沙織の両脇は固められた。これからは理想に向かって、全力で進んでいこう。そう、沙織は決意していた。しかし、未だ障害は残っている。失脚した兄、楠木正朝という、不気味な存在が。そしてそのバックには、中華人民共和国国家主席:周陣兵。更にその対立を、遠い海の向こうから傍観する、アメリカ合衆国大統領:ロナルド・ジョーカー。
楠木沙織政権、安定からは未だに遠い。
リアルがバタバタして、3か月以上空いてしまいましたが、
何とか今年中に(無理矢理)第四章を終わらせました(苦笑)
良いお年をお迎え下さい!




