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南興の赤星  作者: KKKI
第三.五章
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第三.五章 第四話

 2018年1月1日、南南興は、日本同様の正月を迎えていた。

「南南興にも初詣あるんですね」

悠斗が沙織に話しかける。

「そうよ。社会主義政権になっても、南南興は神社もお寺も教会も潰さなかったの」

南興労農党は、日本の労働党以上に伝統的な日本や南興の文化を尊重する傾向があり、本来東側諸国で行われるはずの宗教弾圧は、新興宗教に対して以外は一切行わなかった。そのため、荘厳な寺社や教会はそのまま温存され、老朽化したものに対しても修繕費用を一部拠出するなど、戦後日本より神道、仏教、カトリックを支援していると言えなくもなかった。やはり楠木家が、元々南朝の忠臣の家系であったことが影響していたのだろう。

「ここが、興城神社…」

「靖国並みに、デカいな…」

洋介も悠斗も、興城神社の荘厳さに圧倒されていた。

「私たちは毎年、本殿の中にお参りすることになっているの。神社の本殿の中、入ったことある?」

「俺は無いです」

と、悠斗。一方、洋介は、父:幸一に連れられて、靖国の本殿に一度だけ入ったことがあった。

「まだ小1とかだったけど、やっぱり神聖な雰囲気だったのを覚えています」

「靖国かぁ…。私、行ったことないのよね…」

「近くに博物館がありますよ。戦時の資料とかも色々ありますし」

「次、お忍びで東京に行くときに、寄ってみようかな」

「是非是非!」

「俺たちが案内しますよ」

 その後、神社の本殿で参拝した後、洋介と悠斗は、楠木邸で楠木家の面々と高宮家の面々と共に昼食を食べることになった。楠木邸に到着すると、楠木家の女性たちと正藤は、おせちを作っている最中であった。

「日本のおせちと、全然変わらないですね」

「それに、注文とかもせずに、自前で…」

「そうよ。お正月は基本的に、家族で過ごすものでしょう?だから、一般家庭同様に、家族の中でも女性の人たちで作るの。そこも、日本と同じだと思うわ。それでもうちは、次男の正藤が自主的に手伝ってくれてるけどねぇ」

沙織の母で、前大統領:正興の妻であった涼子が言った。楠木家では、基本的におせちは涼子、正顕の妻と愛人、正藤とその妻の5人で作っていた。因みに正顕たちが成人する前は、涼子、沙織の異母姉である佳歩、そして正興の母と姉の4人で作っていたが、正興の母が6年前に亡くなったのを機に、現在の形になったのである。

 その後、洋介と悠斗は、夕方まで正顕の子供達と遊んでから、高宮家に戻った。


 三が日が明けると、そこからまた数日、仕事体験があった。二人が南南興を去ったのは、1月7日の朝であった。

「悠斗君、洋介君。また南南興に遊びに来てね」

「沙織姉貴。今回はありがとうございました!今度は旅行目的で来ます!」

「沙織さん、本当にいい経験になりました。また来ます」

「悠斗君、文彦さんによろしく言ってね」

「勿論です!姉貴もお元気で!東京に来るときは言ってください!」

こうして、洋介と悠斗は、日本へと帰っていった。


(第三.五章 完)


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