第三.五章 第三話
7週間ぶりの投稿です…
(リアルが忙しすぎた…)
翌日から、洋介と悠斗は奈穂の下で『インターン』を始めた。基本的に書類整理が主で、その他来客へのお茶出しも行った。
「基本的に、日本で聞いていた官僚仕事と似ているな」
「ですね。ただ、早口で、しかも訛りがあるので、ちょっと聞き取りにくいです」
南興の日本語には独特なアクセントと、スペイン語からの借用語があるため、日本人の洋介と悠斗からすれば理解しづらいことが時々あった。
「それでも官僚の方々は、ちゃんと標準語に言い直してくれたりして、助かっています」
「確かに。やっぱりエリート層は違うんだな」
南興の高等教育機関では、南北かかわらず標準的な日本語で教育が行われているため、殆どの大卒の人たちは標準的な日本語を訛りなく話すことができる。これは、現在でも変わらない。
「さて、昼飯食いに行くか」
「ですね。お腹すきました」
向かったのは、中央委員会ビルの第一食堂。
「お、パエリアがある」
「ほんとだ。確かに、日本領になる前はスペイン領でしたから、ここにあっても不思議はないですよね」
「せっかくだからそれ食べるか」
「ですね」
こうして二人は、食堂の中では比較的高価(日本円換算でおよそ七百円)ではあったが、昼食にパエリアを堪能した。
「あの食堂のパエリア、美味しかったでしょ?」
仕事場に戻った二人に、高宮奈穂が話しかけてきた。
「あ、はい。美味しかったです」
「奈穂先輩も食堂で食べてたんですね」
「そうよ。私もたまに食べるけど、高いからいつもはカレーとかうどんを食べることが多いかな。時々定食も食べるけど」
「値段も安いですもんね」
「カレーもうどんもが二百円切るって、日本の外食では殆どないですよ」
「でしょ?まぁ、うちは原価が安いのもあるけど、安くなきゃ、この国は意外と貧乏だから、満足に食べられないからね…」
「確かに…」
「食事の内容が日本と大差ないので、錯覚してました…」
この時の南南興の物価は日本の半分から七割程度、一人当たりのGDPは三分の一程度であった。それでも、建国当初から農業政策が成功していたため、飢餓に苦しむ国民はほぼ居なかったのが(それどころか食料の輸出も行えた)、南南興にとっては幸いであった。
「さて、あと4時間、頑張って!」
「「はい!」」
二人の仕事時間は、午後五時きっかりに終わった。
この日の夜、洋介と悠斗は楠木沙織大統領に招かれて、3人で食事をした。
「初日はどうだった?」
「やっぱり南興弁の聞き取りが難しかったですが、それも含めて勉強になりました」
「俺も、政治家を目指す人間として、官僚の仕事の一部を体験することができて良かったです」
「国家の性質上、もしかしたら日本の官僚とは勝手が違うかもしれないけど、参考になったなら有難いよ」
「沙織姉貴、差し支えなければ、今日は何をされていたのか、教えて下さい」
「あ~。朝は政治局の会議があって、その後地方から上がってきていた報告に目を通して、昼食食べた後は軍の視察に行った後に、家に戻ってまた書類作業してた」
「なるほど…」
そのあと、悠斗と沙織は、他愛もない話を続けていたが、昨日同様、洋介はその様子を黙って見ながら、食事に舌鼓を打つのであった。




