第三章 第三話
遠藤の言葉に、兄妹は驚愕した。
「つ、つまり…、美桜さんはお父さんの…?」
「はい。美桜ちゃんは、前委員長の御落胤で、委員長、いや、沙織ちゃんの腹違いの妹ということになります」
「親父…」
「マジかよ…」
目をぱちくりとさせる沙織と、思わず頭を抱えてしまった正顕、正藤を見て、美桜は…、
「と、突然、こんなところに来てしまって、申し訳ないです…」
「い、いや、そんな、美桜ちゃんは悪くないのよ!」
と、沙織は慌てて言った。
「今回、亜沙美さんと美桜ちゃんをここに呼んだのは私です。と言いますか…」
「君たちに黙っていて申し訳ない」
「おじちゃん!?」
後ろから、正純が現れた。
「実はな、俺と遠藤だけ、前委員長から知らされていたんだ。日本に愛人がいて、隠し子もいるってな」
「そうだったんだ…」
「まぁ確かに、正朝なんかに知らせたら、なぁ…」
「後継者のままだったら、裏で何するか分からないし」
「まぁ、そういう事だ。で、後継者が沙織に代わったことで、遠藤にこの人たちを呼んでもらったんだ」
すると沙織は、奇妙なことを言い出した。
「ねえ、私、この子どこかで見た気がする」
「はて、そんなはずはないと思うが?」
「う~ん、美桜ちゃんはどうですか?」
「私も、会ったことはないはずですが…?」
遠藤の質問に、美桜はそう答えたが、その場の雰囲気は、えも言われぬものになった。それが数分続いたとき、沙織の携帯が鳴った。
「(何だ、青空坂のメッセージアプリか)」
そう思って、携帯をしまおうとしたが…、
「待って、もしかして…」
また携帯を開いて、青空坂のホームページをクリックした。
「まさかと思うけど…」
そして、とあるページにたどり着いて、美桜の顔を見た沙織は…。
「あーっ!?」
思わず大声を出してしまった。
「そっか、道理で見たことあったわ!」
「ど、どうかされました?」
美桜が不思議そうに聞くと、
「美桜ちゃん、この前、青空坂の2期生に合格したでしょ?」
「は、はい!確かに、この前青空坂に加入しました!」
何と、勝村美桜は、アイドルグループ『青空坂34』の新メンバーだったのだ。しかも、2期生のお披露目がなされたのも、丁度1週間前だったのだ。
「いやぁ…、まさか美桜ちゃんが新人アイドルだったとは」
「こういうこともあるもんだな」
正顕と正藤は言った。
「遠藤さんは知っていましたか?」
「いえ、実は私も、把握しておりませんでした」
「申し訳ありません…。娘のオーディションの最終審査前にお知らせするべきでした…」
亜沙美が頭を下げた。
「でも、私は嬉しいですよ。これからいつでも美桜ちゃんをテレビや動画で見られるんですもの」
沙織は嬉しそうに言った。
「私も一アイドルオタクとして、応援しますよ」
「有難う御座います!」
美桜が言った次の瞬間、部屋の扉が開いた。そこにいる人物に、皆凍り付いた。




