表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
南興の赤星  作者: KKKI
第三章
28/63

第三章 第二話

 党本部では、政治局会議が続いていた。

「委員長、本当に周陣兵国家主席を呼ばなくていいんですか?」

「構わないと思います。但し、敢えて汪欽外相辺りは呼んでいいとは思います」

周陣兵は、中華人民共和国の最高指導者である。就任以来、その帝国主義的野心を隠そうとしておらず、アメリカや日本との軋轢を生んでいた。沙織も、その野望に強い警戒を示しており(逆に正朝は、彼との友好関係を主張していたが)、できれば距離を取りたかったのである。因みに汪欽は、表面上は反米・反日であるが、大学の日本語学科を卒業し、以前も駐日大使を務め、プライベートでは日本の高官とゴルフを楽しむなど、裏では知日家・親日家でもある。

「なるほど…、確かに汪外相なら、一定の配慮はしてくれるでしょうな。名案だと思います」

「有難う御座います。とは言いましても、流石にアメリカの高官は呼ばないつもりです」

「因みに、その心は」

「私も、そこまでアメリカとは近づこうとは思っていませんし。そうでなくても、代が変わっていきなり方針転換みたいに見られてしまうと、中国から圧力をかけられるでしょう。それに対して、アメリカが助けてくれる保証もないですから」

「委員長、いや、沙織様、その通りだと思いますよ」

「(少し照れながら)あ、ありがとうございます」

「もしこれが正朝様ならば、ここまで冷静に考えておられなかったでしょう。恐らくは、嬉々として周主席を迎え、西側諸国の高官を悉く参列させなかったでしょう」

「あ、忘れてました」

「どうされましたか?」

「一人だけ、日本の高官を呼びたいのですが。非公式でも構いません」

「ほう…。どなたでしょう」

「荒垣健防衛相です」

沙織は以前、日本を訪問した時に、森田正好邸で面会した時に『(南興労農党と)共に、中共の拡大主義に歯止めをかけたい』と、彼が言っていたことを思い出したのだ。

「ははぁ…。あの御仁ですか…」

「あの方は、割と我が国に対しては好意的です。まぁ、恐らくは下心あってのものでしょうけど。それでも、一回こちらから歩み寄ってみるのもアリなのではと思うんです」

「まぁ…。公式でも行けるでしょう。こちらから話してみましょう」

「間藤外相、お願いしますね」

その後、事務的な事項を確認したのち、会議は解散となった。


 会議が終わって、自邸に戻った沙織は、正顕、正藤とともに、正興の遺体が置かれている部屋に向かった(正朝も誘ったが、大嫌いな妹に誘われて一緒に行くはずもなく、即拒否された)。

そこで三人が見たのは、見知らぬ母子が、父の遺体の前に正座しているところだった。

「(この人たち、誰だろう…?)」

そこに、遠藤副委員長がやってきた。

「ああ、委員長」

「あ、あの…、ここでも委員長って言われてしまうと、私も緊張しちゃうので、私的な場では前と同じ話し方で…」

「わかりました。沙織ちゃん」

「それはそうと…、あの方たちは、どちら様で…?」

すると、それに気づいた母子は、沙織たちに向き直り、お辞儀をした。

「委員長閣下、初めてお目にかかります。私、勝村亜沙美と申します」

「娘の美桜と申します」

そして遠藤が、三人にとって衝撃的なことを口にした。

「実は亜沙美さんは…、前委員長の日本での愛人です。そして、その間から生まれた娘さんが、美桜ちゃんです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ