21 温泉にいこう
「着いた——!待ちに待った温泉!」
「結構長かったねぇ~」
私たちが来ているのは私たちの家がある場所から結構離れたところにあるスーパー温泉。
体育祭の時に私が障害物競走で一位を取ったご褒美として七と一緒に来ている。
バスを降りてさっそく中に入ってみると、新しくできたばかりの施設だからだろうか、多くの人がいた。
やっぱりんみんな新しいものが好きなんだろうなぁ。
「まずどこから行く?」
「私たちはお風呂に来たんでしょ~なら最初はお風呂に決まってるよ~」
スーパー銭湯というのは言わずと知れた温泉を中心とした日帰りで楽しめる商業施設だ。
そんなに遠くへ来ていないのに旅行をしたような気分になれる。
位置にい余裕があればぜひ行ってみてほしい場所だと思う。
「おっけー」
「あっちみたいだよ」
七が私たちの歩いている先にある温泉の入り口を指さす。
そのまま行くと脱衣所に侵入することができた。
何故か恥ずかしい気分になってくる。何も悪いことはしてない……よね?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
残念ながら紳士淑女の諸君。
ここはカットとする。
女子高生が二人でお風呂。何も起きないはずがなく……、なんてことは一切なかった。
ただお風呂に入ってリラックスをしただけだよ。
うら若き私たちの肌を見せるわけにはいきません!サービスを期待していた人たちはごめんね!
私はまぁいいけど七の姿を見せるわけにはいかんのだ。
「結構いろんな種類があって面白かったね~」
七を見ると、着替えてから艶めかしさが格段にアップした気がする。
周りからふわふわなオーラが出ているのがわかる。
「露天風呂とか、サウナとか、岩盤浴もできたね。私岩盤浴って初めてだった」
私は指を折って体験したことをカウントしていく。
かなりの種類があって面白かった。
「最近は岩盤浴ができる場所って増えてきてるからね~」
「想像以上にゆったりできて、日ごろの疲れが吹き飛ぶーって感じだった。」
「藍ちゃんに日ごろの疲れってあるんだ……」
「あるわい!」
七は私のことを飛んでも生物とでも思っているのかな?
「それはそうと、リラックスしたところでやることといえば甘いものを食べることだよね~」
「ああ、ここっていろいろ店があったんだっけ」
「そうだよ~。面白そうなのがいっぱい売ってあったり、おいしそうなものが食べられたり。もはやアミューズメントパークなんだよね~」
そう、ここにはお風呂とかマッサージとかで体を癒したあとに楽しむことのできる場所が多くあるのだ。
よく考えられた施設だなぁと思う。
「七の狙いは何なの?」
「もちろん、ここ限定のパフェだよ~。そこそこの味でおいしいらしいんだ~」
「そこそこなのか……」
「それもまた乙なものなんだよ。ほんとにおいしいかどうかは自分で確認してみないとわからないしね~」
限定なのでここでしか食べられないというのは見ていて食べたくなってしまう要因の一つだと思う。
あと、七が言ったみたいにほかの人はあまり好きじゃなかったとしても、自分の好みになることは確かにある。
特別美味しいわけでもないのに好きになっちゃうものとかもあったりするよね。
早速二人で並んで買うことにする。
「すみません、ここ限定のパフェってあります?」
「はい、ありますよ」
高校生くらいの店員さんだ。
バイトなのかな?
「じゃあそれ二つで」
「かしこまりました。二品で、2200円になります」
私は七と一緒にお金を支払う。
少しだけ待つとすぐに注文したものができたみたいだ。
私はそれを店員さんから受け取って、二人で飲食スペースへと歩いていく。
「それにしてもパフェとかパンケーキとかってなんでそんなに高いんだろうね?」
「あ~、結構材料費とか高いし、人件費とかもかかるからねぇ~」
「コンビニとかで売ってあるのとかと違って手作りってところもあるってことか」
毎回おしゃれなスイーツとかって見かけたら必ず一回は食べてみたくなるから値段が高くて困ってしまう。
期間限定商品みたいなのは、時期によって定期的に変わったりもするから、お金が搾り取られている感じがする。
商売がうまいなぁと思いながらいつも注文しているのだ。
「ん!これ中に白玉が入ってるよ~」
「白玉?あっ!ほんとだ」
「こういう隠し要素?みたいなのが入ってたりするとテンション上がっちゃうよね~」
「宝を見つけ出したって思えるからうれしいよね」
「う~ん!なかなか美味でした。なかなかね」
七の評価は事前のものと変わらずなかなかだったようだ。
私の評価も七と同じにしておこうかな。
「さて、次はどこ行く?」
「もうあんまり時間もないしお土産屋さんに行かない?」
「それいいね!ここに来た記念にお揃いのものとか飼おうよ」
そういうことでお土産屋さんに行くことにする。
スーパー銭湯ってお土産屋さんもあるのかと思った人は私と同じ。
私もここに来る前に少し調べた時に初めて存在を知った。
ほかの遠い場所からくる人が多いとか、旅行気分を味わうためとかの理由があるのかな?
「お揃いにするなら定番のストラップでしょ~」
「ここオリジナルとかあるのかな?」
お土産屋さんを覗いてみると、ストラップ売り場をすぐに見つけた。
よくある四角くて、ぐるぐる回る感じのところにたくさん下げてある。
「これとかいいんじゃない?」
私が手に取ったのは、メロンがクマみたいにデザインされているご当地ストラップだ。
なかかな可愛い見た目をしている。
「お~かわいいね~ご当地ストラップとかって変なのが多いけどちゃんと可愛い」
「これにしない?」
「おっけ~どこにつけようかな」
近くにあるレジのところへ行って買う。
「私は学校のカバンにつけようかな」
私の学校に持って行ってるかばんには、この間黄とゲームセンターに行った時のエビ怪人がつけてある。
エビ怪人は黄とお揃いで、そこに七とお揃いのメロン熊を付けるつもりだ。
そう考えると、紅紫兄とのお揃いのものってあんまりないから、今度何か探そうかな?
「私もそうしよ~」
「一日だけだったけど楽しかったね!」
「うん。また来ようね~」




