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2 パンケーキ①

思ってたより長くなったので分けます。

いつも通り長くて眠い授業も終わり今は放課後だ。

黄と約束したパンケーキを食べに行くところ。

最近のパンケーキというものはすごい。

おしゃれな店でホイップクリームがたくさんのっていてフルーツもいっぱい入っている。

まるで天上の食べ物かってくらいに豪勢だ。


だけど大きな問題点が一つある。

めっっっっっっっっっっっっっっっちゃくちゃに高い!!!

パンケーキ一つ食べるだけでそこそこいいご飯がファミレスで食べれるくらいの金額がする。

初めて友達に連れられて食べに行ったときは、お金のことで頭がいっぱいになっていてしっかり味わえなかった。

友達は全くそんな雰囲気はなかったので私だけかもしれない。これは男の感性によるものなのかな。

ちょっと気になる。



まぁ、そんなことはとりあえず、おいといて…………


だぁぁ———————————っがしかし、今日は違う!私たちの財布として紅紫兄を連れていくのだ。

思いっきり楽しんでやるぞ——————!


「……今日お前、テンション高くないか?」


「ふふ……ふふふふふ。覚悟するがいい。お主の財布はもう空前の灯よ!」


「紅紫兄ちゃん今日はありがとう!受験勉強頑張てるのに来てくれるなんて」


黄がきれいな目をして紅紫兄を見ている。

もちろん、黄には私が無理やる連れてきたなんてことは言っていない。

そんなことをしたら、純粋でかわいい黄が汚れちゃう。


「……たまには生き抜きも必要って藍も言ってくれたしな」


紅紫兄がこちらをちょっとジト目で見てくる。


「いいってことよ~」


…………それとなく返すことにした。


学校の前から話しながら帰って徒歩3分。私たちの家に到着だ。


私たちが目的としているパンケーキ屋さんは、学校の近くにある駅から数駅ほど行ったところにある。

紅紫兄が【紅】ちゃんにならないといけないので、一度家に帰ってから行くことにした。

今日は学校が少し早く終わる日課だったのでタイミングもよかった。やったね。


最初は学校から直で行くつもりだったので制服で行く予定だったが、せっかく家に帰ってきたのだ。

3人とも制服じゃなくて私服で行くことにする。




「よーし、準備おっけーだ。早くいかないと日がくれるから、さっさと行くぞー」


紅紫兄は準備ができたようだ。学校から帰ってきてまだ15分くらいしかったっていない。

メイクとか服選びとかめっちゃ早くないか?!と驚いておく。紅紫兄のメイクの速さは異常だ。

おかしいのだ。今度裏技でも聞こうかな。


「はーやく。藍姉ちゃーん」


うわ……、わたしが一番遅いのか。急いで玄関に向かう。

何か全く同じ光景を朝に見た気がするぞ。







◆◇◆◇◆◇◆




あっという間にパンケーキ屋のある駅前まで到着だ。

家が都会にあると学校の終わった後でも遊びに来れるから便利だなとしみじみ思ってしまう。


「むっ……駅を出てから何か視線を感じる」


駅を降りてからは人通りが多い。

私たちと通りすがる人たちの視線が過ぎた後もこちらに向いている。

ちょっとすると、すれ違った人じゃない周囲の人たちですらこちらを見てくるくらいにまでなってしまった。


「わかるか?愚妹よ。この視線がいいんだよ」


「ちょっと、恥ずかしいね」


紅紫兄は調子に乗って変態ムーブをしている。ちょっと強めにわき腹をつついておく。

恥ずかしがった頬を少し赤くしている黄はとてもかわいい。なでなでする。


周りの人たちがこちらを見るのは当然だ。

私は自分のことをそれなりに可愛いと思っているが、黄は言うまでもなく天災級に可愛い。隣の変態も見てくれだけはめっちゃ美人。

これで人目を引かないということ自体がおかしいのだ。

これも自然の摂理かぁ————


「ほら、囲まれる前に早くいくよ!」


二人の腕を引っ張って目的地に急ぐ。

駅から降りて徒歩2分。こっちが言うのもなんだけど、あからさまに巻きドラマの撮影をしているみたいな立地をしている店だ。私たちの家もそうだけど。


「あっ!見えてきたよ!」


黄が店を発見したことを知らせてくれる。

パンケーキとなんとも女子高生受けしそうな字体で看板が書かれている。


カランカランと扉を開けるとベルの音が鳴る。


「何名様でいらっしゃいますか?」


店員さんがあいさつをしてくれる。


「3人です」


紅紫兄が返事をすると、店員さんは関江と案内してくれた。

メニューを見ると高級デザートたちが目の中に飛び込んでくる。


「うわ、これキウイが丸ごと一個使われてるんだって」


「すごい!お姉ちゃん。こっちはケーキみたいになってるよ」


「1800円だ……と?……パンケーキってこんなに高かったのか」


それぞれ一つずづ頼むことにした。

わたしはフルーツがいっぱい乗っているやつで、黄はイチゴとチョコレート、紅紫兄は怖気づいたのか、普通のパンケーキである。

店員さんに注文すると少し時間がかかるとのこと。

雑談タイムだ。


「藍こんなに高いって知ってたか?」


「ふふふ……もちろんさぁ」


「くっ、コイツにはめられる日が来るとは思わなかった」


「私はいつも成長しているのだよ【紅】ちゃん」


「ぬぅぅぅ。今度仕返ししてやるからな」


「やれるもんならやってみぃ」


「そのくらいにしておいたほうがいいよ。二人とも」


黄の静止が入る。いつも私たちがほかの人の迷惑になりそうなら止めてくれるのだ。

全くよくできた妹だなぁ。


「ああ、そうだ。黄、この間モデルにスカウトされた話どうするんだ?」


紅紫兄が黄に問いかける。その内容は私も気になっていたこと。

先週だったかな?女の子と間違われて雑誌のスカウトを受けたと言っていた。


「あ、その話なら受けようかなって思ってるよ。お父さんとお母さんもいいって言ってくれたし。読者モデルって感じで出ることにしたんだ」


「あれ?じゃあ、女の子としていくの?」


黄は男の娘のモデルとしても女の子のモデルとしても活躍できるだろう。

男性モデルは?って? こんなかわいい子に男物を着せろと申すか。不敬であるぞ。


「んー。今のところはユニセックスの服のモデルで、性別不詳ってことでどうか。ってファッション誌の人も言ってたから、それにしようかなって」


「へーそうなんだぁ。でも今までそんな話断ってきたよね。なんで今回は受けるの?」


「あはは……お父さんたちににこの事を話したら、そろそろ、いろんなことを経験しておいたほうがいいぞって言われたの。それに他のモデルさんたちを見学させてもらったんだけど、全部の仕事に真正面から全力で向かってて、あんなふうになれたらなって思ったから」


黄はちょっと照れながら話す。

新しいことに挑戦しようとする黄はとってもかわいく思えちゃう。


「じゃあ、頑張らないとね。今回のパンケーキはそのお祝いだ!」


「そのセリフはおごるやつが言うんだぞ……。黄、レディースファッションも楽しいからな!いつでもこっちに来ていいからな!」


紅紫兄はいつもこうだ。黄のことを女装させて仲間にする気が満々だ。

わたしも黄の女装は見てみたいけどね。


「ありがとう。できるだけ頑張ってみるね」


おお、頑張ろうとする姿の黄もかわいい。モデルデビューしたら大忙しになりそうだ。


「藍は何か新しい事初めないのか?」


紅紫兄が私に聞いてくる。


「新しい事かー。何か始めようとは思ってたんだけど何かちょうどいいものないかなぁ」


「始めるなら早めにしたほうがいいぞ。3年になったら補習とかあるから。めっちゃ時間削られる」


「そうだねぇー音楽とかスポーツとかかな?」


「藍は何でもできるからな。うらやましい限りだ」


「ふふっ。私は完璧美少女だからね!」


「ほーん。じゃあ、この間の卵焼きは何なんですかねえ」


「ぐっ」


この間卵焼きを作った。ダークマターが出来上がった。以上。


「先月のカレーも覚えてるぞ」


「ごほっ」


先月カレーを作った。真っ赤な地獄が出来上がった。以上。


「ぐううう。黄、たすけてぇ」


私はウルウルとした目を向けて黄のことを見る。


「あはは…………」


天使すらも私の料理の腕を見捨てるというのか……。


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