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13 ゲームセンター①

「久しぶりに来たね。藍姉ちゃん、何からやる?」


ちょっと雨が増え始めたころ、私たちはゲームセンターにやってきた。

今回は黄と二人で遊びに来た!

最近は黄が忙しくなって昔みたいに、沢山遊ぶ機会がなくなってきたからね。

少しずつだけど黄が私から離れて行ってるのがよく感じてしまう。

これが世に聞く姉離れかな。

寂しいけど、時の流れはそうさせてしまうんだろうなぁ。

そんな、ブラコンじみたことを思いながら、私は黄と今日の日を楽しみにすることを決意する。


「そうだねー!まずは肩慣らしに音ゲーはどう?」


「おっけー。じゃあそれにしよう」


黄は賛成してくれたみたいだ。

私がゲーセンに来た時に個人的に思うのは、音ゲーは一番最初にするものだよねってことだ。

なぜかはわからないけど、初めにしたくならない?……あれ?私だけ?


「じゃあ、いつものしようよ」


黄が音ゲーコーナーに進んでいく。

私たちがいつもするのは、立方体型でperfect判定が緩いやつ。

私は四角いデザインがとても好き。

百円を入れてゲームをスタートさせる。

選んだのはこのゲームのオリジナル曲だ。そういうのって、そのゲームでしかできないから、他の曲より選曲回数が無意識のうちに増えてしまうんだよね。


「あんまり腕は鈍ってないみたいだよ」


黄はずいぶん長い間触れていないはずなのに、私よりうまい。

なぜなんだ……。わたしはたまにきて練習しているというのに……。

黄は音ゲーみたいなのが昔から得意だった。

絶対に勝ってやろうと一時期めっちゃ練習した時期があったのは内緒。


「くぅぅ。やっぱり黄は上手だよね」


「そういう藍姉ちゃんだって」


ちょっと話しながら続けていく。

音ゲーをしている間に話すことができる人たちって本当にすごいと思う。


最初に選んだ楽曲が終了して結果が表示される。


「やった!僕の勝ちだよ」


成績は黄の方がよかった。

精度がかなり違ったのだ。くやしい。


「むむむ……次こそは勝つからね」


練習をする為にゲーセンに通いつめようかなと少し思った。

次に来た時はお姉ちゃんの威厳を取り戻して見せる!

まあ、そんなことは置いといて、次のゲームに行こう。


「さてオードブルは終わったし、次にやるやつは何にしようか」


「オードブルの次ってスープだよね。じゃあ、あれにしようよ」


黄はプリクラを指さす。


「プリクラ?なんで?」


「僕一人だとやりずらいでしょ」


黄は私の手を引っ張っていく。引きずられている感じだ。

……結構力強いな。こんなに可愛くても男だというの思い出させてくるよ。


「へぇー。こんな感じになってるんだ」


黄が機械の中で目をきょろきょろさせている。


「やったことなかったっけ?」


「うん。これが初めて。一回やってみたかったんだ」


「黄なら、一人で入っても何も思われないでしょ」


「そうじゃないの。心の問題だよ。藍姉ちゃんが男になったらわかるよ」


「あー、そうかも」


「そうそう」


確かにそんな気がする。男一人じゃ入れる気はしないと、私の心が大賛成をしている。

前世だったらはいれたんだろうか。いや、入れなかっただろうなぁ。


「うわ!いろんなオプションがあるんだね」


黄がいろいろいじっているみたいだ。

そもそも私は機能が多すぎて何が何だかわからん。

前に七とやった時にも思ったことだけど、最近は目の色とかもきれいに変えれたりするんだって。

ひゃー、ハイカラだなぁ。


「うーん、これでいっか。藍姉ちゃん、準備できたよ」


「おっけー」


プリクラの機械が3,2,1と、とるタイミングを教えてくれる。

何枚か取れるとここからは編集の時間だ。編集より盛るって言ったほうがいいのかな。


「猫耳があるよ!これめっちゃ可愛い。あっ、まつ毛の長さも変えれるんだー」


黄が女子みたいにはしゃいでいる。いつもは見られない表情だからちょっとうれしい。


「最近のやつはすごいんだねー」


「藍姉ちゃんは七さんとかと一緒にこういうのはしないの?藍姉ちゃんはともかく、七さんとかはしそうだけど」


「……私が女子っぽくないみたいな言い方をされた気がするよ。この間引っ張られて連れてこさせられたことはある。けどそのときは全部、七のお任せだったんだよ」


「じゃあ、実質初めてってことだね。あと藍姉ちゃんは正直普通の女子じゃない感性をしてると思う……」


直接言われると来るものがあるけど、私の心は男だしね仕方ないね。


「藍姉ちゃんも何か書いてみたら?」


黄が私にペンを渡してくる。

そうだなー。何と書けばいいんだろうか。チャリで来たとかしか思いつかないや。

ズッ友とかも書かれているのを見る気がするな。

そんな感じで書くべきなのか……うーん。もう姉弟とかでいいんじゃないかな。

もう何も考えが出なかった私はそう書くことにする。

私たちの後ろに姉弟と書いて、猫耳を付ける。これでそれなりだろう。


「どうよ。お姉ちゃんの力作は」


「猫耳はいいけど、姉弟ってちょっとダサくない?」


ぐっ。ダメ出しをされてしまった。

やっぱりプリクラってゲーセンの中にあるゲームの中でい一番むずいかもしれない……。


「けど、このセンスのなさが藍姉ちゃんって感じがするなー」


「私ってそこまでセンスなかったっけ……」


「なんというか、これを見ると藍姉ちゃんだなって感じる」


ちょっと落ち込みそう。

センスを磨く方法を後で調べようかな。そもそもそういうのって磨けるものなのだろうか。


カチャンと、取り出し口から完成したものが出てくる。


「おもしろかったー。初めてだったけどうまくできてよかったよ。藍姉ちゃんはこれいる?」


「私はいいかな。私が持ってたら忘れ去っちゃいそう」


「じゃあ僕がもらうね」


「どこかに貼るの?」


「スマホケースの裏に入れようかと思って」


「あー、それしてる女子結構いるよね」


プリクラをスマホケースの裏とか、筆箱の中とかに入れてる女子って結構数がいるんだよね。


「ちょうど僕のケースも透明だし、いい感じでしょ」


もうすでにさっきのやつを入れたみたいだ。

なかなかかわいいし、おしゃれな感じ。それに黄の猫耳が入っていると思うと私も欲しい。

私のスマホケースにも黄を閉じ込めたいよ。

少しどころじゃなく、かなりやばいことを一瞬考えてしまった気がしたけど、そんなことは知らない。


「かわいいね。それ私もしたくなってきた。もう一回撮ろ!」


私はちょっと女子高生に近いた気がした。これがJKの気持ちなのかな。

なかなか悪くないものだね。






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