ユウキは【スキル・合成】を手に入れた。
別の連載の息抜き的な感じで書いてみたら意外と設定ができて驚いた。
別の連載が優先なのでこちらは本当に気が向いたらでしか投稿しないことをご了承下さい。
あと今日の18時にもう一本投稿します。
〈ユウキは【スキル・合成】を手に入れた。〉
「は?」
とある日の昼下がり。ボクが炬燵に入りながら蜜柑を食べていると突然そんな文字が目の前に浮かんでいた。
おそるおそる指で突っついてみると文字は消えてしまった。
「スキル?それに【合成】?……ボク、疲れてるのかな」
仕方ないよね。最近は色々と面倒臭いことが多かったし
というか【スキル】か。ファンタジーみたいな話だね。こう言うのだと『ステータス』とか『メニューコール』だとかで何か出てくるのが定番だよね。
まぁ出てくるわけがないんだけど
戯れで小さくつぶやいてみる。
「ステータス」
数秒経つも何も起こらなかった。まぁそんなファンタジーな現象起きるわけがないよね。
ボクが気を抜いたその瞬間に
〈ユウキのステイタスコールを確認しました。情報を獲得……完了。ステータスを表示します。〉
文字が現れたかと思ったら文字が消えてまた新しく文字が表示された。
《ステータス》
名前:藤宮悠姫(15)
職業:学生
状態:困惑(中)
○スキル
【合成Ⅰ】
「なぁにこれ?」
ボクの目の前にとても簡素なステータスが表示、表記?された。
本格的に幻覚でも見始めたかと思ったがどうやら症状はかなりやばい段階のようだ。
「………」
合成。合成か。ゲームだったら二つのアイテムを一つにするとか、そんな感じのスキルだけど……。
ボクは目の前にある蜜柑を両手に持つと一言「【合成】」と呟く。
すると蜜柑が淡い光を纏い、左手にある蜜柑が浮いて右手の蜜柑と接触する。
少し光が強くなったかと思うと光が止んで右手には一回りくらい大きくなった蜜柑の姿があった。
「わぁお」
うん。まぁ、こう言うこともあるさ。柔軟性を鍛えないと今の時代なんか生きていけないんだ。合成スキルを得た程度で驚いていたら、いざ社会に出たら使えない社会人と認識されてしまうからね。
合成された蜜柑。合成蜜柑の皮を取ってその身を食べてみる。
程良く甘酸っぱい柑橘系の味と香りが鼻を抜けて行く。少し普通の蜜柑よりも美味しくなったような気がした。
「……まぁいっか。」
美味しければそれでいいのだ。面倒臭い話はそこら辺の犬にでも食わせておけばいい。
〈【スキル・合成】の初使用を確認。ランクをⅡに上昇。〉
〈ユウキの【スキル・合成】が派生し【スキル・鑑定】を手に入れた。〉
……どうやらこの文字はボクが油断している時に現れるらしい。
にしても鑑定か。なろう小説では定番と言ってもいいほどのメジャーなスキルだ。
ボクは今、食べている。合成蜜柑に向けて鑑定を使ってみる。
「【鑑定】」
《アイテム》
名前:蒲郡みかん+1
状態:熟している
【解説:蒲郡産の蜜柑がユウキの手により、合成されたもの。甘味と酸味が強化されて程良く美味しくなった。』
なるほど。つまり美味しいと……地味にボクの住んでるところが愛知県ってばれてる……。
まぁいいさ。重要なのは物の状態が見れたと言うこと、じゃあこの今だに浮かんでいるステータスはどうなのだろうか?
〈ステータス〉という文字に向けて【鑑定】
《ナレッジ》
名称:ステータス
【解説:この世界に住む全てのものに宿る状態を見る力。基本的には見えないが別世界からの干渉などで見えるようになることがある。】
ステータスについては何となく分かったけど……新たなワードが増えたんだけど……。
『別世界』はまぁうん、何となく分かるし後で良いや。次は職業について
《ナレッジ》
名称:職業
【解説:誰もが持つもの。生計を維持するためにしている日常している仕事。】
おかしいな。鑑定が急に仕事をしなくなってきた。取り敢えず学生は?
《ナレッジ》
名称:学生
【解説:学ぶことがまだ多い未熟な者。学問の神からの祝福により、若干学習能力が上がっている。】
中々に面白い情報があった。学問の神。どうやらこの世界には本当にあるか不明な神様が実在したらしい。
さてさてお次は状態
《ナレッジ》
名称:状態
【解説:そのものの状態を示すもの。】
うん。まんまだね、地味に困惑(中)から混乱(小)になってるし、ボクは別に混乱なんかしてないやい。
テンポ良く行かないと、次はスキルだ。
《ナレッジ》
名称:スキル
【解説:特殊な力を持つ能力。】
わー、解説が解説してない。気にせずに合成を調べてみる。
《ナレッジ》
名称:スキル・合成
【解説:複数の物を1つにすることができる。】
お前もか、次だ、次。
《ナレッジ》
名称:スキル・鑑定
【解説:スキル・合成から派生したスキル。世界の記憶に干渉してその知恵を借りることができる。】
うっわー、なんかなろう読んでたら一度は出てそうな単語が出てきたんですけど……アカシックレコードって世界の記憶でこの世界の始まりを永久に刻むとか言う厨二病チックなやつでしょ?
マジで存在してたのか……
さて、とボクは一体何をすれば良いのだろうか。ボクはただの受験生だ。夢で神的な存在に世界を救えとも異世界で活躍した存在だとかそんなことはなく本当に普通の、一人称がちょっと男子に近い至って普通の女子中学生である。
ハッキリ言ってボクは暇だ。受験勉強なんて片手間で終わるしそもそも頭の中に全て入っている。
そんな時にこんな力を手に入れたのはこれで遊べという神の心意気なのではないのだろうか?
……まぁ、取り敢えずだ。このスキルを使って目の前にある蜜柑をどれだけ美味しく出来るのかを挑戦してみることにしよう。