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ヘルウェルティア魔術学院物語  作者: 鈴木颯手
第一章【ヘルウェルティア魔術学院編】
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第四話「ステータス」

「ステータス、ですか?」


聞いたことがなかったのか、一人の少女が聞き返す。声には出さなかったがそれは俺も同じ気持ちだ。公国にいたころあんな物を俺は見た事ないしステータスという言葉も聞いたことがない。…まあ、公国は他国よりも魔術面では遅れているからあれが魔道具なら見た事ないか。因みに魔道具は魔力を使い発動、使用できる物の総称だ。前に言った鉄道も一応魔道具に入るな。


「この水晶に触れ魔術を流す事でステータス、お前らの能力を数値にして映すことが出来る。最近合衆国の魔術学園で開発された物でな。今年から導入される物だ」


成程、なら分かる訳ないか。最悪一般の人も知らないだろうからな。しかし、自分の能力を映す、ねぇ。今まで漠然としか分からなかった自分の体を知ることが出来るのはかなり良いな。


「では早速行う。呼ばれた者から順に前に来い。先ずはエリクだ」


「は、はい!」


俺の後ろに座っていた奴が立ち上がり教卓に向かう。物が多いせいで木箱や机の上を歩く事になりかなり不安定だが何とかたどり着く。


「魔術を使う要領で魔力を流し込んでみろ」


「はい」


エリクはそう返事をして水晶に触れると魔力を流していく。すると水晶は輝きを増し水晶から文字が浮かんでくる。


エリク・ド・グランジェ

体力:C+ 魔力:C+

筋力:D+ 俊敏力:C

魔術

・ウォーターボール(下・水)

・アクアウォール(中・水)

スキル

・遠視Lv1


「…ふむ。まあ、魔術師としては能力は低いな。戻っていいぞ」


「ぐっ!は、はい」


先生の無慈悲な言葉にエリクは涙目で戻ってくる。その様子にクラスメイトは何とも言えない顔をしている。まあ、ステータスが分かった時にあんな事を言われたんじゃ凹むしな。


「…よし、次だ」


そして順番に進みいよいよ俺の番となった。


「エルナン、前へ来い」


「はい」


ここまで半数近くやったが皆がみんな撃沈している。殆どの者が平均C以下で偶にBを出す奴がいる位だ。自分は一体どのくらいの数値なのだろうか?クラスメイトの実力が分からないしあの(・・)スキルのせいで上手く魔術が使えないからな。


「見ていてわかっただろう?この上に手を置いて魔力を流せ」


「分かりました」


俺は水晶に手を置き魔力を流す。相変わらずなのか慣れたと言えばいいのか上手く魔力が使う事が出来ない。俺は魔力を更に増やし無理矢理流し込む。最初の内はこれで通っていたがスキルのレベルが上がったのか最近は全力でやらないとだめになっていた。


「っ!?これは…!?」


俺の魔力量に反応したのか一瞬先生が驚くがその瞬間水晶に俺のステータス情報が映し出された。


エルナン・ハルフテル

体力:B+ 魔力:S+

筋力:C+ 俊敏力:B

魔術

・ファイアボール(下・火)

・フレアショット(中・火)

・アイスボール(下・水)

・サンダーボール(下・雷)

スキル

・魔力抵抗Lv10

・詠唱短縮Lv2

・見切りLv1

・回避Lv1


「しゅ、俊敏力以外B越え!?」


「凄すぎだろ!」


「で、でもなんでGクラスに…?」


俺のステータス情報にクラスメイトはざわめくが俺はそれよりも気になったスキルが一つあった。


魔力抵抗Lv10


これが俺の魔術師としての道を阻んでいる物だ。効果はその通り魔力に対する一切の抵抗。つまり魔術を使用する為に魔力を使おうとすると上手く練ることが出来ずそのまま霧散していしまう。だから魔力消費が少ない下級魔術を使用すれば俺の場合魔力抵抗を上回る魔力を使わなければいけないため上級魔術並みの魔力を使用せざるをおえない。中級魔術何て使用すれば二、三発で魔力が空となってしまう。


簡単に説明すれば土を丸めて球にしようとするときに俺がやるとほぼ水の泥水か水分がすっからかんの乾いた砂でやろうとしている状態だ。さらに言えばこのスキルは

レベルが上がりやすいのかどんどん上がっていき三年前にはマックスまでレベルが上がっていた。


これさえなければ俺は魔術師としてもっと成功していたかもしれない。まあ、そうなれば公国からはもっと早く出ていただろうしな。…いや、公国を出る前に殺されていたかもしれないな。祖国はそう言う国だからな。


「…成程、な。珍しいスキルだがかなり厄介だな。戻っていいぞ。次」


俺のスキルに気付いたのかディートハルト先生は納得し詳しい追及はしなかった。先生、先程は失礼しました。いきなり目の前で上級魔術並みの魔力を出せば誰だって驚きますよね。これ、もし俺が生徒じゃなかったら今頃拘束若しくは反撃が飛んできていたな。


そうやって俺のステータスで驚きはあったがその後は特に何事もなく順調に進み最後のルナミスの番となった。


ルナミスは細い手を水晶に乗せ既に見慣れた文字が現れる。しかし、今度は少し様子が違った。


ルナミス

体力:C- 魔力:B+

筋力:D- 俊敏力:C+

魔術

・アイスボール(下・水)

・ウィンドボール(下・風)

・グラビティ(下・無)

・ストーンウォール(中・土)

・ロックボール(下・土)

スキル

・翻訳Lv1(無効化)

・毒耐性Lv1(無効化)


呪い

スキル無効化


魔力はGクラスの中では俺の次に高く筋力や体力も女子という事を鑑みれば納得の数値だ。だけど、最後の呪いと言う文字が引っかかる。


呪いは確か禁忌の魔術や一部の魔獣の発する瘴気を浴び続ける事で発動する物だったはず。だけどルナミスは特に魔術学院、どころかベルンから出た事は無いと言っていたし禁忌の魔術を使用する機会があったとは思えないし何より禁忌の魔術を見る機会なんてないだろうからな。


だけど、スキル無効化の呪い、か。どういった物かは分からないけどその名の通りスキルが無効化されるんだろうな。実際ルナミスのスキルは無効化と書かれていたし。もし、呪いを変われるなら変わってやりたい。そうすればスキルは使えるだろうし俺の魔力抵抗のスキルが無効化されるだろうからな。本来ならかなり酷い呪いなのだろうけど俺には有用にしか見えない。


本人はあまり触れてほしくないかもしれないがこの後一度聞いてみるか?


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