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作戦準備

 宝石が入った箱を客室に持って帰り、国王に言われた事を伝えた。


「タツキ。つまりあの牛丸々1頭食べれない?」

「まず食い付くのはそこか。まぁこの国の食糧事情を見る限り、ちょっとはおすそ分けしておかないとヤバいだろうからな。その代わり美味しい部位は食わせてくれるってさ」

「石よりお肉」

「その言い方は止めておかないか?その言い方だそこら辺の石と交換したみたいじゃん」


 物々交換してもらった宝石を見せるとアスクレピオスが鑑定する。


「全部本物の様ですね。これなら色々使えますよ」

「色々って何?装飾品として加工するのか?」

「宝石って魔法を使う際の触媒にもなるんですよ。まぁかなり贅沢な使い方なのでもうこの時代じゃ廃れてるんじゃないんですかね?その辺はヤタの方が詳しいと思いますけど……」

「どうなんだヤタ?」

「最近で私が知ってるのはあのエルフの女の子が使ってたのしか見た事ないよ。純度とかによって魔術の媒体に使えるかどうかも決まるし、1番は大きさかな。小さい宝石じゃ大した魔術をめられないし、かと言って宝石に魔術を込めるよりも詠唱した方が安上がりだろうから使う人はほとんどいないよ」


 どうやら魔術の媒体に使われている事はなさそうだ。

 となればこれは実物資産として保管しておこう。別腹内に収納して保管保管。

 そしてあの国王から聞いた話をスノーから確認してみたいと思ったのだが……いないな。


「所でスノーはどこ行った?聞きたい事があるんだけど」

「スノー姉さまはこのお城の中で行く場所があるそうです。具体的にどことは聞いていませんが」


 そうトヨヒメがお茶を片手に言う。

 何と言うか……そう言う令嬢的ポジションスゲー似合うのな、トヨヒメって。

 普通にそうしてればどこぞの令嬢だろ。


「そうか……面白い話を聞いたからちょっと確認してみたかったんだけどな」

「面白い話?」

「ああ。何でもスノーがこの大陸を狙った戦争を終わらせたらしい。本当にそんな事したのか気になってな」


 そう言うとジャック以外の真祖メンバーたち全員心当たりがあるのか、「あ~」っと言う言葉を漏らした。


「何か知ってるのか?」

「そう言うのってスノーお姉ちゃんだけじゃなくて全員に似た様な話があるんだよ、お兄ちゃん。私もあのエルフが大切にしてる木に巣を作ったら、私を追い出そうとしてエルフ同士が手を組んで仲良くし始めたしね」

「ん。狼の獣人の争い止めた」

「わたくしにも似たような話がありますよタツキさん。まぁ人間達が勝手に怖がっていただけですけど」


 なんて感じでみんなエピソードがあるそうだ。

 こう言うのを呉越同舟って言うんだよな。ヤタが言うのは完全にそれだろうし。

 でも人間の戦いを真祖が結果的に止める、か。そんなつもりは一切なかっただろうけど。

 そう思っていると扉がほんのわずかに開き、そこからスノーが現れた。


『あ~寒かった。暖炉暖炉』

「スノー、お前どこ行ってたんだ?」

『大した場所じゃないわよ。久しぶりに戻ってきたからちょっと挨拶したい相手の所に行って来ただけ』


 そんな相手が居たのか。

 それよりも国王の話だ。


「所でスノー。今王様から聞いたんだがお前がこの大陸の戦争を止めたって本当か?」

『え?何の事?私と争っている人間なんてそこら辺に居たけど……』

「そうじゃなくてこの大陸を狙った人間同士の戦争の事だって。止めたって王様が言ってたぞ」

『あ~あ?そんな事もあった様ななかったような……この大陸を縄張りにしたばっかりの頃の話?』

「そう言ってたな」

『それなら確かにしたわね。私が季節を止める前は住み心地の良い土地だったから独占しようと大陸に侵入しようとしてきた人間達を手あたり次第追い払ってたわね』

「多分それだと思う」


 っとなると本当にスノーが結果的に、この大陸を賭けた戦争を終わらせた人物と言えるんだろうな。

 それにしても当時の勇者はクソだな。封印した後は知ったこっちゃありませんってか?無責任すぎるだろ。


「さて、そんな感じでスノーの本体を解放しに来たわけだが……どうやって開放すればいいんだ?」

『どうって、普通に開放すればいいじゃない』

「そうじゃなくてさ、今までパターンが違い過ぎるんだよ。アスクレピオスは教会が解放してた、ヤタとトヨヒメは完全に封印、アセナはスノーに似ていたが、封印していたのはあの小さい球に本体を封印されてた。今回は丸出しじゃん。鎖につながれているぐらいにしか封印されている気がしないんだが?」


 つまり鎖をぶっ壊すだけでいいのかどうか、その辺をはっきりしてもらいたい。

 アセナはあの球を飲み込むと言う形で本体と元に戻ったが、スノーの場合はどうすればいいのか分からない。

 そう思って言うとスノーは言う。


『あ~そう言う事。あの鎖から解放してくれれば後は私が元に戻るから鎖だけをどうにかしてくれればいいわ。あの鎖、魔物の動きを封じる効果があるからあれが邪魔で本体ともう1度1つになる事が出来なかったのよ。だからあの鎖を破壊するか解いてくれれば後は私1人でどうにでも出来る』

「なるほど。それって人間にしか出来なかったりする?」

『そうね。あの純度となると姉やアスクレピオス達でも多分無理ね。できなくはないだろうけど……かなり時間はかかる』

「となると人間は俺とジャックだけか……ジャックはあの鎖壊せそうか?」

「私のナイフで解体できない物はないよ」


 やっぱそのセリフは怖いけど心強い。


「なら大前提として鎖の破壊は俺かジャックが行う。流石にジャックが強者とは思われないだろうから、俺が動けない時はジャックが鎖を破壊してくれ」

「はーい!久しぶりに解体し放題だー!!」

「それは止めような。俺達の目的はあくまでも真祖の解放、大量殺人じゃないから」


 ジャックを注意する。

 恨みを買うのは間違いなくとも、回避できる物はできるだけ避けたい。悪い事をしているのは分かるが、だからと言って無感情に人を殺すほど冷酷でもない。

 余計な事はしたくない。


「いつ動く?」

「そうだな……2日後がいいんじゃないか?この国の事ちょっとは見てみたいし。準備もあるし」

『準備って……私達が動けばなんて事ないでしょ。姉やみんなが居れば負けないだろうし』

「人間の目線だと負けないだけじゃ不十分なんだよ。と言う訳で準備だ。確実に勝てる様に」


 俺は笑いながら言った。

 客観的に見ればにやけていると言った方が正しいか。


「悪い顔」


 アセナ?自覚あるから追い打ちは止めていただけません?

 どうせ俺の笑みは怖いですよ~だ。


 ――


「準備せよ、決戦は2日後である」

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