久々のマコトとの話
帰宅後、俺は冬場にしては珍しく働いている。
理由はウェールズさんからもらった魔道具が原因だ。あの医療機器もどきはアスクレピオスだけではなくジャックも興奮状態で、すぐさま医療用施設の部屋をせがまれたからだ。
これにより俺は変質でいくつもの部屋を作らざる負えなくなり、結果保健室の様な物からどこの医療現場?っと言いたくなる様な部屋の数と規模になってしまった。
ちなみに製作には俺だけではなくスノーも被害者だったりする。
医療用だからか、部屋を出来るだけ無菌に近い状態にするために結界関連の術者、つまりスノーの力が必要だった訳である。
微弱な死の力、細菌やウイルスはその部屋に入ってもすぐに死んでしまうが、人間ぐらいの生物ならそこに住んでも体調などに問題が起きないように調整したのはアスクレピオスだ。
っとまぁこんな感じでアスクレピオスとジャックの要望した医療用設備室はこうして作られたわけである。
ないよりはある方がいいのは分かるが……全員自己再生スキルがあるので実はあまり意味がなかったりするのだが……現在ちょっと怖い感じで利用されていた。
ちょっと怖いと言うのはジャックがそこで森に居る魔物を捕まえて研究したり、実験したり、解体したりを繰り返しているので作ったけど使われていないと言う状況にはなっていない。
それしアスクレピオスも自分自身の毒がどのような有効性を出すのかの実験を繰り返している。より分かりやすく言うと回復薬の製作及び、解毒剤の製作だ。
アスクレピオスの毒で他の毒を持つ魔物の毒を中和する実験をとにかく繰り返している。
我が家のマッドサイエンティスト2人は生き生きと実験を繰り返しているが、俺やそうではない者達はいつも通りのまったりした生活を送っている。
ちなみにドラゴン達は国ごと帰った。また元の赤道付近で温かく暮らすのだろう。
そういやあいつらが恒温動物なのか変温動物なのか確かめてなかったな……
俺が作ったソニックドラゴン達は俺が作ったのであまり手掛かりにはならない。
あの場で最善と思える作りにしたのだから仕方がない。
こたつでまったりとし、スノーの本体を見付ける計画を考える。
分かっているのはスノーの本体はあのホワイトシーの先にある島だかに存在し、どこかに閉じ込められていると言う事だけだ。
その辺をざっくりと探るためにスマホで調べたりするが……今までで1番強固な造りになっている。
その理由は土地柄のせいであった。
夏だろうと冬だろうとほぼ1年中雪に包まれているこの国の敵は気候そのものと言ってもいい程に厳しい。
なので自然とこの国の家から城まで頑丈な石で作られており、冷たい隙間風が入らない様にしているので文字通り隙がまるでない。
無理矢理ぶっ壊して入る事も可能だが……出来ればドワーフの国の時みたいに電撃作戦がいいのだが……ってアスクレピオスの時以外は全部電撃作戦だな。
数が少ないからどうしても隙を見て一気に攻めるのが楽になってしまったのだが、もうちょっとなかっただろうか?
何というかこう、見せ場的な?そう言うのがあってもいいんじゃないかな……
っと言ってもそんな悪天候の多い国で今行くのは文字通り自殺行為。
なんせスマホで年間の天気を調べてみたら冬の間は曇りか吹雪き、夏だったとしても晴れて草木が生えるのはほんの20日程度だけと出てきた。
そんな時期に潜り込むとか無理だろ。船だって嵐のせいで出たないみたいだし。
そうなると……狐の真祖でも先に復活させるか?でもそうしたら本気でスノーが拗ねそうなんだよな……
こう言う考えてもどうしようもない時は素直に諦めよう。無理して進む様な物でもないし。
『いや~本当にここは平和だね……それに君が居た世界のアイデアもあって温かいし』
「何でしれっとマコトが出てるんだよ」
しれっとこたつに入ってくる様は何だか慣れ親しんでいる様に感じた。
ちなみに俺の他に今はこたつに誰も入っていない。丁度いいタイミングで入ってくるとか狙ってたのか?
『ん~?まぁ色々あるし、こっちの報告とかもしておかないといけないと思ってね』
「こっちの報告って神様サイドで何かあったのか」
『簡単に言うと僕達神様でも君に就く者、敵対する者と分かれてきたからその報告かな。かなりの戦力差だけど』
「戦力差ってどっちの方が大きいんだよ」
『断然タツキ君の方が強いよ。僕が君に側に着いたからって言うのも大きいけどね、それでも君の事を個人的に気に入った神もそれなりに多いよ』
そう言いながらマコトはミカンを剥いて食べる。
お供え物として出してないのにいつの間に勝手に食べれるようになった。
まぁ在庫はまだまだ残ってるけど。
「ちなみにどんな神様が俺の仲間になってくれてんだよ」
『破壊神とか、豊穣の神とか、主に自然に関する神様が多いね。最近の人間は調子乗って好き勝手してる個体も多いし、過激な神達は真祖達に数を減らすよう君越しに伝えてもいいんじゃないかって言う神もいるよ』
「意外と神様って人間ぶっ殺せ的な事言うんだな。俺はてっきり擁護する神様の方が多いとばっかり思ってた」
『あ、一応言っておくと数的には擁護派の方が多いよ。だって僕から見れば孫とかひ孫?みたいなおチビ達は人間の信仰心がないとやってけないのが多いし、そりゃ擁護するし多いよ。あくまでもタツキ君の事を気に入っているのは僕みたいなもっと古い神だけ、信仰心が揺らいだぐらいで力を落とす事のない強い神様がね』
どうやら俺を気に入ってくれている神様は古い神様ばかりらしい。
なんでかは分からないが……考えるのも面倒なので神のみぞ知るって事にしておこう。
実際に神様みたいだし。
『あ、ちなみに死神もいるけど怖がらないでね。彼、君に味方する理由が他のみんなと違うから』
「死神もいるのか。それにしても違うって?」
『僕がこの世界に呼んだジャックちゃんがいるでしょ。彼ジャックちゃんの事をすごく気に入っててね、あれなら不要な魂を狩り、必要な魂を救う事が出来るってすごく気に入ってるんだよ。ジャックちゃんに加護をあげる申請書を出してきた時は驚いたよ』
なんでそんなところだけ役所じみてるんだよ。
まぁ細かいツッコミは置いておくとして、ジャックに死神の加護か……
字面からは不吉な匂いでぷんぷんなのだが、一応聞いてみよう。
「ちなみにその加護ってどんな良い事があるんだ?」
『メリットは……そうだな。寿命による死とそうでない死を見分ける事が出来る点かな?寿命による死は救えないけど、寿命ではない死なら回避する事が出来るよ。っと言ってもそこから先は手術とか薬とか色々必要になるけど』
「つまり努力次第では生きながらえる事が出来ると」
『そうだね。あ、でも一応言っておくけど寿命だからって老衰で死ぬとは限らないからね。言ってしまえばそこで死ぬ命かどうかって言うのが分かるだけだから、若いから寿命のはずがない!って言われても困るからね』
「寿命か……作品によっては抗う物だけど、実感がないから抗う必要がないんだよな……」
まったりこたつに入って話をしているこの時間がいずれ終わる物とは到底思えない。
『所詮寿命なんて力のない人間の後悔だから気にしなくていいよ。神様が本当に数億人分のシナリオを矛盾なく書いてると思う?そんなのできっこないって。最低でも僕はそんな面倒な事する気ないから』
「人によっては悲しくなる様な事を平然と言うなよ神様。寿命だ、運命だと思って諦めていった人間がどれだけ多かった事か」
『死ですら何も干渉してないよ。確かに死ねばその魂は死神に任せてるけど、それ以外の人生はどう生きようが自由さ。これだけは保証してあげる』
「ジャッジは自由を求めてなさそうだが?」
『あれは本当に僕の考えとは真逆だから。それじゃそろそろ帰ろうかな』
そう言うとマコトの姿が薄くなり始める。
俺はミカンの皮をむきながらマコトの事ちらりと見ただけで特に何もしない。
「そうか。また何かあったらよろしく」
『うん。あ、それから一応言っておくと、かなり強い新人女神も君の事を見守ってるから。古い神だけじゃなくて新しい神も気に入っている者は居るから。それじゃあね』
そう言ってマコトは消えた。
さて、春になるまで大人しく待ちますか。




