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ドラゴン襲来

 現れたドラゴンの色はピンク色のドラゴンだった。

 なんかかわいい色合いではあるが、その気配はとても怒っている。仲間をやられたのだから当然と言えば当然だが、攻めて来た側に怒られると逆ギレのように感じるからどうも納得できない。

 それでも戦いを仕掛けると言うのであれば戦うしかない。

 俺は真祖4人分の力を変質で身に宿す。これである程度は戦えるはずだ。


「タツキ。行くの?」

「おう。1体だけならんとかなると思う。それに他に厄介な奴が居るみたいだし、そっちが出てきたらそっちを頼む」


 恐らくドラゴンの調停者と言う奴が国に残っているんだろう。あいつに勝つのは……俺には無理だ。

 恥ずかしい話だが惚れた女に頼るしかない。

 その事を恥じているとアセナがそっと俺の手を握ってくれた。


「アセナ?」

「タツキはカッコイイ。大丈夫」

「……ありがとう。行って来る」


 そう言ってからヤタの翼を広げて俺は正面からドラゴンに立ち向かった。

 ドラゴンは大きな口を開けて俺を噛むつもりのようだがあいにくと俺は人間、勝てるかどうか分からない戦いで正面から堂々と叩く気などない。

 俺は防御魔方陣で足場を作り、蹴って避けた。

 流石のドラゴンも急な方向転換には付いて来る事はできなかったようで、そのまま俺よりも下に行く。


 そこで俺はトヨヒメの電撃をドラゴンに向かって放った。

 肉体的な問題で、まだまだこの電撃の放出を上げ過ぎると自分自身が痺れたり焼けてしまうのであまり出力を上げられない。

 その分数で補っているが……あまりダメージはないらしい。

 ドラゴンは嫌がる素振りを見せるが雷に構わず再び突っ込んできた。


 こうなると危険だが接近戦で仕留めるしかない。

 捕食は……どうするかな。俺個人は使ってもいいと思っているのだが問題は上にいるドラゴンの調停者だ。

 目の前のドラゴンに勝てたとしても、後から出てきた強いドラゴンに関しては俺では絶対に勝てない。ならばできるだけ怒らせない様にしたいが……捕食使うと確実に殺しちまいそうなんだよな。

 うまく使うとすれば捕食による丸のみ。これぐらいしか思いつかない。


 そうなるとちまちまとした攻撃でしのぐしかない。

 いや、普通の相手なら真祖の攻撃を模倣したものでも十分高火力なのだが、結局得意なのは捕食による攻撃なのでどうしても決め手に欠ける。

 殺すのが目的ではないし、それでも問題ないだろうけど。


 とにかくこいつは追い返す方向で考えるものとする。

 下で気絶しているドラゴンは他の小さなドラゴン達が拾っていた。まさか……救助部隊?そんな物がドラゴン達の中にもあるのか?

 仮にそうだとしたら相当知能があるな。

 小さなドラゴン達は4体1組で気絶したドラゴンを運び、おそらく飛んで来たであろう城まで飛ぶ。


 俺はそんな彼らを巻き込まない様にしているが……ピンクのドラゴンはそんなのお構いなしだな。

 俺が長距離系攻撃をしているからと言って、ブレスをぶっ放しちゃいかんでしょ。俺の後ろに小さいドラゴン達が居るってのに。

 この構図は逆じゃないか?何で俺が敵の救助部隊守ってるの?ピンクのドラゴンが守るべき状況じゃないのか?


 疑問を持ちながらも俺とドラゴンの喧嘩は続いて行く。

 そして救助部隊が全ての気絶したドラゴンを回収し終えてから俺は思いっきり殴る事にした。

 どれだけ魔物を食っても所詮大元はただの人間。空中よりも地上の方が戦いやすい。

 なので防御魔方陣を足場にして飛び回りながらドラゴンの背中に向かって拳を振り下ろした。

 これによりドラゴンは地上に向かって落ちていくが、四つ足で大きな音をたてながら着地したのでダメージはあまりなさそうだ。


 でもまずはこれでいい。

 これで俺の方が戦いやすくなる。


 俺も地上に降り立ってから高速で動きながらドラゴンに攻撃を加える。

 硬い鱗があるので今回は爪による攻撃はなし。それよりも鱗を貫通する様に殴って鱗の奥にある肉体にダメージが届く様に重く、深く、響かせる。

 どうやらこの攻撃方法ならドラゴンの硬い鱗など関係なくダメージが届くらしく、ドラゴンは痛がっている様に見えた。


 これなら行けると思い、俺はとにかく殴る殴る殴る。ドラゴンの腕を、腹を、顎をとにかく殴り続けた。

 やがてドラゴンの鱗にひびが出来る様になり、所々割れてそこから血がにじんでいる。

 もちろんドラゴンも攻撃しているがアセナの攻撃に比べると遅い、アスクレピオスの様に気配を遮断する事もない、ヤタのように飛んで俺が不利な状況を作ろうとはしない、トヨヒメの様に攻撃が光速なのに比べるとブレスも遅いし弱い。

 負ける要素が何1つ見つからない。いい加減終わらせよう。

 そして実験だ。


 俺の爪を変質させてアスクレピオスの力を使う。

 もちろんアスクレピオスの力とは毒。今回は内臓などの重要な器官などには影響のない麻痺毒だ。

 爪の部分に毒腺を作り、毒を注入するための道を作った。そして体内で麻痺と言っても致死性のない物、そして量を調節する。

 量が多過ぎると解毒後に後遺症が残る可能性があるからな。


 そしてドラゴンが怒りの踏み潰しをしようとするが、やはり遅い。俺はあっさりとかわしてから俺の拳で鱗が砕けてなくなった生身の部分から爪をドラゴンに突き刺した。

 悲鳴を上げるドラゴンだが俺は構わず毒をそのまま体内に注入する。

 アスクレピオスは蛇である。よってどうしても直接体内に毒を注入せざる負えない。


 蛇の毒の弱点は直接口の中に入れても何の害もない点だ。

 簡単に言うと傷のない皮膚に蛇の毒を塗っても問題ないし、もっと言えば飲んだって問題ない。

 蛇の毒は体内に入れる事が前提となっている。なので基本的に蛇の毒は牙にある毒腺から噛むと同時に毒を流し込んで弱らせる。

 傷を作ってから毒を注入するのでどうしても牙に毒腺があるのだ。

 まぁ珍しいので毒を噴出させるのもいるけどな。その蛇は基本的に敵の目に向かって毒を噴出して失明しつめいさせるので要注意だ。

 ちなみに毒を注入させられたドラゴンは少しずつ動きが鈍くなり、とうとうピクピクとしか動けなくなった。


「流石アスクレピオスの毒。ドラゴン相手でも普通に効果出るのな」


 何て確認を取っている間にドラゴンの血を舐めた。これでも捕食によって解析できるんだから本当に便利だよな。

 そう思っていると何だか違和感を覚えた。こいつの肉体構造が俺と似ている。

 より正確に言うと真祖の力に似たものがこのドラゴンにも混じっていると言った所か。

 なんでだろうと考えているとアセナが後ろから抱き付いてきた。


「タツキ、お疲れ様」

「お疲れさん。それでこいつ……どうする?一応調停者の1人の眷属って事で動けないようにしただけだけど」

「多分それでいい。傷付けたけど、殺してないから怒ってない」

「怒ってないって調停者?」

「ん。多分これ、その娘」

「え、こいつ雌だったの?」


 性別なんて気にせず戦っていたから気にしてなかった……そういやこいつの匂いは確かにメスの放つ匂いがする。

 でも何と言うか……薄いな。雌の匂いが全然しない。これは一体どういう事だろう?


「なに悩んでる?」

「言われてから気付くぐらい雌の匂いが薄いのは何でだろうな~っと考えてた」

「これ子供。ジャックぐらい」

「え、マジで?子供が俺に向かって喧嘩売ってきたのかよ」


 まぁそれでも平然と殺す時は殺すけど。ジャックの時だって殺すつもりで戦ったし。

 これからどうするかと思いながら空を見上げると……デッカイ地面がこちらに向かって飛んできていた。国1つと言う事が正しいのは見て分かる。

 それにしても……こうして実際に見てみると意外と小さいな。

 と言っても人間の国と比べてと言う訳ではなく、今ここに居るドラゴンを基準に考えると狭い様に感じたからだ。単にドラゴンそのものがデカいのだから、もっと国も多きないといけないのではないかと言う漠然ばくぜんとした感想だ。


 俺が見る限り大地の広さはおよそ直径100キロぐらいか?円を描く様になっているので分かりやすい。真下から見ると超巨大UFOでも見ているかのようだ。

 それに国の中心と思われる場所に半円球状の丸っこい物がくっ付いている。国の半分ほどはその球体がくっ付いている様だし、あれが飛んでいる秘密だろうか?


 そして俺達の周りには、救助部隊と俺が勝手に呼んでいた小さなドラゴン達が顔を見合わせながら相談している様に見える。

 鳴き声は出さないし、見ているだけだとアイコンタクトを取っているだけに見えるがあれが会話である事は知っている。普通の動物だってこの方が多いし。

 そう思っていると1体の小さなドラゴンが丸めた羊皮紙を咥えてやって来た。

 それを受け取るとドラゴンは大慌てで逃げ、ギリギリ身体が隠れている様な気がしなくもないぐらいに森の中に逃げ込む。明らかにこちらを気にしているから何か返答が欲しいのだろう。


 そう思いながら羊皮紙を開くと、そこにはドラゴンの国へ行く招待状と書かれていた。

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