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ソースが欲しい

「タツキ様、ヤタ様、みな様お帰りなさいませ。スノー様のお迎え、お疲れさまでした」


 ホワイトシーから帰って俺達はヴィゾーヴニルに出迎えられた。

 俺は別腹内に収納してある魚たちを巨大冷蔵庫に保管すると同時に買ってきた物のリストをヴィゾーヴニルに渡した。

 現在では食糧管理しているのはヴィゾーヴニルなので、こう言う物は全てヴィゾーヴニルに教えている。

 どの魚がどの名前なのか言いながら保管したのでもう覚えただろう。

 そして最後のタコなのだが……


「最後に生きたデーモンフィッシュって言う魔物が居るんだが、食えるよな?」

「まずは見せていただいて宜しいですか」


 流石にあのタコはデカいので1度外に出てからタコを外に出した。

 巨大タコを見上げながらヴィゾーヴニルに聞く。


「どうよ?食えそうか?」

「初めて見る魔物ですね……タツキ様はどのようにお食べになるおつもりで?」

「そりゃ……ぬめりを取った後に刺身で食うなり、厚く切った後に火を通して炒めるとか、マリネとか、小麦粉の生地に包むとか?」

「小麦の生地とはクレープの事で?」

「そうじゃなくてな、丸い凹みを作った鉄板に溶いた小麦を入れて……」


 何てヴィゾーヴニルと話をしている間にタコが俺に向かって触手を振り下ろそうとした。

 締めるのが先かと思ったが、俺達を通り越して電撃がタコを襲った。

 誰の電撃か確かめるために振り向くと、そこには人差し指をタコの眉間に向けたトヨヒメが居た。

 トヨヒメは普段ののんびりした雰囲気を感じさせない感じでタコを見ながら言う。


「それ、私の好物。早く食べよ」


 どうやら俺以外誰も食べないと言うのだけは回避できたらしい。

 俺は当然のように聞く。


「あれは食糧だよな?」

「当然食糧」


 俺とトヨヒメはハイタッチで友情を深める。

 とりあえず死んだタコはこのまま冷蔵庫送りだ。その前に足1本を切断して今日の飯として確保しておく。


 そして今日の昼はタコ焼きパーティーとなった。

 タコの調理方法がよく分からないっと言う事で俺はヴィゾーヴニルに説明しながら下ごしらえを進める。

 グルメマンガの受け売りだが、タコのぬめりは塩を揉む事でぬめりを取る事が出来る。身が引き締まっている状態だと大根おろしも使うとか?

 この巨大タコは触っただけでも結構筋肉質の様な感じなので実験と称して大根おろしでも一応揉んでみた。すると意外と柔らかくなったような感じがする。


 その後は刺身でつまみ食い。俺はともかくとしてヴィゾーヴニルはこれからこれを調理するのだから、そのままの味と言うのも味わっておいた方がいいと思ったから進めてみた。

 そして食ってみたヴィゾーヴニルは一言。


「切った厚さによって大分食感が変わりますね。味はたんぱくなので色々と調理し甲斐がありそうです」


 うんうん。それがタコの良い所。

 そして何となく視線を感じたのでそちらを振り向くと、ヤタにアスクレピオス、それから珍しくトヨヒメも居た。

 3人に手招きしてタコの刺身を食べさせる。

 トヨヒメは美味しそうに食べたが他2人は微妙な表情だ。

 まぁしょうゆも付けずに食べたからな、あまりおいしくは感じないだろう。


「次はこの魚醤を付けて食べな」


 醤油は見つからなかったので代わりに見つけたのがこの魚醤だ。

 これを付けて改めて食べた3人はさっきよりもおいしそうに頷いた。ちなみに俺とトヨヒメは付けなくても美味しいと感じる。

 この先刺身関連でトヨヒメと仲良くなれそうな気がする。


 そして今日の主役であるタコ焼きもどきを作る。

 何故もどきかと言うと、ソースがないからだ。ソース……思い出そうとしても何が原料なのかさっぱり思い出せない。

 ブルドックでも、おかめでもそうだが意外と再現してみろと言われるとどうすりゃいいのかさっぱり分からない。

 今回はない物はないという事で仕方なく別のもの、とりあえずその場にあった大根おろしとか魚醤とかでしのぐ。

 とんかつソースとかお好み焼きソースとかの開発が望まれる。


「それじゃ始めるぞ~」


 こうして始まったタコ焼きパーティー。焼くのは当然俺。

 鉄板を偏食で丸い凹みを作り、そこに溶いた小麦を投入。少し焼けるのを待ってからぶつ切りにしたタコ投入。

 また焼けるのを少し待つ。

 火加減は魔法で行なっているので全体に満遍なく同じ熱量なので端が焼けにくいという事はない。

 タコ焼きをひっくり返すあの針状の物も作ったし、コロコロと丸めていく様子はヤタとトヨヒメに強い興味を引いた様だ。

 そしてこんがりと焼き上がってから言った。


「よし。焼き上がったのから好きにくいな」

「「「「「いただきます!」」」」」


 こうしてパーティーは始まった。

 全員持ち合ったかける物をかけて食べているが、鰹節とマヨネーズは用意出来たが青のりとソースがな……

 俺と同じように思う者が1人だけ居た。


「やっぱりタコ焼きにはソースだよね~。ちょっと物足りない」


 ジャックである。

 見た目こそ西洋人の子供だが中身は立派な日本人。ソースが付いてないタコ焼きにご不満なようだ。

 俺は半眼を向けながら言う。


「それならヴィゾーヴニルと協力してソース開発でもしてくれよ。最近わざと魔物を半殺しにして持って帰って来てるの知ってるんだぞ」

「あれは全部研究用。メスで解体しながら構造調べてるんだから完全に別ジャンルだよ。それに綺麗に解体してるから無駄にしてる事もないし」

「それでももっと日常的な生活向上に役立ってくれよ。専門的な知識過ぎて俺にはさっぱりだ」


 ジャックの話し相手はもっぱらアスクレピオスだけ。

 他の者では使えているから原理など知らなくてもいいっと言う者がほとんどで話に参加しようとしない。

 俺の場合は既知識不足で話に付いて行けないのだからどうしようもない。

 だがアスクレピオスだけは豊富な知己があるし、知りたいという知的欲求も十分にある。

 なのである意味異世界交流を続けられるのはこの2人だけなのだ。


「でもオートファジーとか1部専門的な事は知ってるじゃん」

「それ全部漫画の受け売りだから。さらっとこういうことだと何となく分かっても、詳しく説明しろと言われたらできないって」

「その代わりに医療系の技術は相当上がったよ。今度回復薬の作成に入るから研究所広げて」


 可愛く言っているつもりかもしれないがなジャック、内容が怖い。

 ジャックとアスクレピオスは仲が良過ぎる。なので暴走する時はとんでもないぐらい暴走する。

 例えばアスクレピオスの毒を試してみたくて魔物に注入したり、その毒が注入された事によりどんな風に死ぬのかを研究していたり、結構マッドな感じがする事がある。


 俺研究してる間の2人が怖くて仕方がない。

 ジャックに関してはよく俺の肉片を使って研究したいと言い出しているし……


「広げるのはいいが危険物が外に出ないよう徹底してくれよ」

「大丈夫だって、その辺は徹底してるから。ヤタちゃんとか触っちゃいそうでしょ?」


 うん。精神お子様感があるヤタが特に怖い。

 好奇心という意味では……スノーはどうなんだ?

 好奇心は猫をも殺す。だったか?


 それでふとスノーに視線を移したのだが……タコ焼き相手にビビってる?

 丸っこいから転がして遊ばないかどうかも気になってたが……これはどういう反応だ?


「スノー。何してんだ?」

『だ、だってこれ、熱いんだもん!よくこんな熱々なの食べれるわね!!』


 …………あ、猫舌か。


「それなら魔法でそよ風起こすなりなんなりすればいいだろ」

『それでも中はかなり熱いじゃないの……美味しいけど食べ辛い』


 そう言いながら慎重に食べるスノー。なんだかんだで気にってくれたようで何より。

 それよりも問題は……あのタコ足か。

 実はキッチンの方にあのタコ足がまだ残っている。しかも半分以上。

 その理由は単にあのタコ足がデカ過ぎるだけ。

 先の方は俺が知っている普通のタコ同然なのだが、根元に近付ければ近付ける程太くてぶっとくなる。

 そのままでは流石にタコ焼きの生地の中には入らないので細かく切ったのだが……それでも半分以上残っている。

 仕方ないので残りは冷蔵保存するしかない。


 ちなみにトヨヒメはいつの間にか俺よりもうまくタコ焼きを焼いていた。

 食べる時は器用に口の中を魔法で絶妙に冷まし、火傷はしないが熱いまま食べるという神業を使っている。

 大変気に入ったようで嬉しいが……やっぱりタコ焼きソースが欲しいな。

 原料なんだっけな~?

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