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目標を決めた

 マルダの案内で色々見て回った後、マルダ紹介の宿に1泊する事にした。

 だが……何と言うか酷いな。

 部屋にあるのは簡素なベッドだけで布団なども申し訳程度しかない。

 朝晩の食事付きと言うので食べに行ったらあんまり美味しくない。

 ないない尽くしの寝るだけの宿って感じだ。

 期待していなかったが何だかな……


 堅いベッドの上で明日以降の考えを纏める。

 とりあえず北東にあるドワーフの国に行ってみる。そこで武器を作ってもらうつもりははっきり言ってそんなにない。

 なんせ俺の変質によって食った魔物の力をそのまま使えるのだから必要性を感じないからだ。

 ただ鉱山地帯特有の魔物がいる可能性があるのでそちらには期待している。


 とりあえず今の俺の目的は旅をしながら様々な魔物を食って強くなる事。

 そのためにいろんな場所に行って様々な魔物を食う。

 ぼんやりとした目的だが他に思い付く目標がない。


 あ~あ、なんか目標が見つかるようなイベント起きないかな~


 -


 朝飯を食って一応教会に行く。

 ジャンヌとマルダに挨拶をするためだ。

 ちょっとだけの関係とは言えこのぐらいはしておくべきだろう。

 そして教会に着くとそこには丁度2人の姿があった。


「おはよう~!」

「あ!タツキさんおはようございます!!」

「おはようございます、タツキさん」


 マルダが元気に挨拶し、ジャンヌが丁寧に頭を下げた。


「これからドワーフの国に向かおうと思ったから挨拶に来た」

「え、もう行くんですか?」

「ああ。急いでる訳じゃないが思い立ったが吉日ってノリで早速向かってみようと思ってな。そういや昨日の人のケガ大丈夫か?」

「傷は塞いだので後は体力だけです。改めてジョージさんの事を助けていただきありがとうございました」


 そう言うジャンヌに俺は手を振る。


「そういう畏まったのは止めてくれ。苦手なんだ」

「ですが命の恩人にそんな……」

「俺はただ血を止めただけ、そんな事で恩着せがましくするほど腐っちゃいねぇよ。と言うか何であの森に居たんだ?危険なのは分かってるんだろ?」


 あんなデカいだけの猪に苦戦するような力しかないのに何故あの森にいたのか気になった。

 騎士と名乗っている者が冒険者と同じような理由で森に入るとは思えない。

 それにジャンヌがいる限り無謀とも言えそうなことを行うとは思い辛い。

 聞いてみるとジャンヌは気まずそうに目を逸らした。

 その代わりの様にマルダが答える。


「実はあの森には仕事で行ったんです。最近森から出てくる魔物が多くなってきていて、その原因を探る仕事中だったんです。でも途中でビックボアに見つかり、襲われちゃって」

「不幸な事故って事か。で、原因って大雑把でもなんか目星はないのか?上司だって何の情報もなしに行動させないだろ」


 人の命を預かっている者が無謀な事はさせないと思いたい。

 そう聞くとマルダとジャンヌは少し相談した。

 こそこそと話しているつもりかもしれないが、俺にはばっちり聞こえている。

 聞こえていないふりをした後ジャンヌから話しだす。


「教会には高位の預言者様がおられます。その方曰く、魔物の活発化が予言されたのです。詳しい原因は不明ですが上位の魔物が活性化した事による副作用だと予言されたそうです」

「副作用?それって元々周囲の間もに影響を与える魔物の仕業って事か?」

「それを調べるためにあの森に入ったのですが……実力が足りず、あの場面でタツキさんに出会ったという訳です」


 ふ~ん。そう言う事か。

 でも俺があの森の中心部に居た時、そんな周囲に影響を与える奴いたかな?

 周囲に影響を与えるとなると……あの軍隊蟻が怪しいが……同じ巣の仲間にしか効果なさそうだったしな……

 他に影響を与えそうなのは……アルラウネに似た植物型の魔物。でもあれは匂いで獲物を呼び寄せて食べるだけだったし……使役するって感じでもなかった。

 後はどいつもこいつも同種だろうが何だろうが食い合いだったし、自分が生き残る事が最優先だったからな……使役する系に思い当たる節はない。


「タツキさんって森の中心部に入れるほど強いんですよね?何か知りませんか?」

「ん?ああ、今考えてたところだが思い当たる節はないな。確かに匂いで獲物を呼び寄せる植物型の魔物とか居たけど、活性化させるって事はないんじゃないかな?」

「そうですか……情報ありがとうございます」

「え?彼ってそんなに強いんですか?」

「そうですよジャンヌさん。だってあのスパーキングレオの骨を持ってきた人ですよ。強いに決まっています」


 はっはっは。それなりには強いぞ。毎度死闘だけど。

 するとジャンヌは驚いた表情をした。


「驚きました。タツキさんがそんなに強いだなんて」

「ま、運もあるけどね。それじゃそろそろ行ってくる」

「また来るときは寄って下さいね!」

「次来るときはもてなさせてください」

「おう。そんじゃまたその内な!」


 こうして俺はイングリットから離れ、ドワーフの国を目指すのであった。


 -


 急ぐ事も無いのでのんびりと歩きながら今後の予定を決める。

 どうも教会という組織は俺が思っている以上に強い組織のようだ。

 マルダとジャンヌがこそこそ話している内容を盗み聞きしたのだが、どうやらこの世界には真祖と呼ばれる魔物が存在するらしい。

 全ての魔物の母、世界中の魔物の祖先を調べれば必ずその真祖にたどり着くと言うものらしい。


 つまり今現在の魔物達は全てその真祖と呼ばれる魔物の子孫と言える事になる。

 現在その魔物がどうなっているのかは分からないが、かなり有名の様だ。少し調べればあっさり出てくるかもしれない。

 例の冒険者カードを使えば図書館なども利用できればいいんだが……それは行ってから確認しよう。

 真祖とは1体だけなのか、複数存在するのか、俺は全く知らない。


 とりあえず強くなりながらそいつらの事を探してみよう。

 上手くいけば俺はそいつを食ってさらに強くなれるかもしれない。


 あの森で学んだ事は強くなければ何もできないという事だけ。

 弱ければ選択肢があったとしても選ぶ事が出来ず、強制的にその選択肢を選ばざる負えなくなる。

 それはあまりにも惨めで虚しい。


 この世界ではそんな風に生きたくない。

 ならばどうするか?簡単だ。強くなればいい。

 俺のスキルを利用して強くなり続けて上を目指し続ける。

 財力とか権力とかはどうなるか分からないが、武力なら他の魔物を食って力を得続ければそれだけで済む。最もお手軽な強化方法だ。


 さてと、それじゃ最終目標は真祖を食って世界最強になる。

 マコトも世界を掻き乱せって言ってたぐらいだから、このぐらいの規模がいいだろう。

 やるなら思いっきりバカでデカい事がしてみたい!!

 それじゃまずはドワーフの国を目指しながら真祖について調べてみますか。

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