待たせ過ぎたツケ
俺はともかくジャックとアスクレピオスは当然飛べないので、再びソニックドラゴンを取り出して家に向かっていた。
長距離飛ぶならソニックドラゴンの方が楽なので一緒に乗っている。
そしてジャックは言う。
「この森の魔物ってかなり強いらしいけどどんなのが居るの?」
「俺が知ってるのではブルーバイソン、スパーキングレオしか名前知らないな。後はワニとか色々」
「うわ~確かに人間には討伐不可能って言われる魔物しかいないね」
そう言いながらもジャックは楽しげだ。
それに対してアスクレピオスは言う。
「いつの間にか大分生態系も変わっていたんですね。昔はこんな森なかったのに」
「それどんだけ前の話ですか?」
何桁生きているんだか分からない人に言われたら当然としか言いようがない。
この森に居る強い連中を思い出しながらジャックに一応言う。
「ジャック、この森には斬撃が効かない相手も多いから気を付けろよ。特にプラナリアみたいな奴」
「プラナリアってどんなの?」
「ぶった切った分だけ増える魔物。再生というよりは全部本体として復活するから気を付けろよ」
「え、何その私の天敵みたいな魔物。そんなの居るの?」
「居るから注意してんだ。10に切り刻んだら10体になり、100に切り刻んだら100体になる」
「……今度その魔物見せて。確認しておきたいから」
「了解」
自分の得意な攻撃が効かない相手となれば警戒するのは当然か。
アセナ達にあった後そいつらが居そうなところを案内しようと思った。
特に何て事無く家である神殿に着いて、ただいまーっと言おうと思ったらいきなり咥えられた。
咥えているのはアセナ。
久しぶりに本来の姿、巨大な狼の姿になっている。
「えっとアセナ?ただいま」
そう言ったがアセナは特に反応する事なく家に入る。
「ちょっと待ってくれ!蛇の真祖の他にジャックって言う俺と同じように、居世界から来た奴も居るからそいつの説明とかさせてくれ!」
だがアセナは聞く耳を持たず、歩き続ける。
ジャックとアスクレピオスも駆け足で追いかけながら言う。
「初めまして!ジャックです!」
「あのお姉さま!私です、蛇の真祖です!!」
そう言うがアセナは全く歩みを止めようとしない。
リビングに差し掛かると、そこには何故かぐったりとしているヴィゾーヴニルにヤタ、トヨヒメも居る。
「ただいま!何かよく分かんないけど大丈夫か!?」
「こ、これはタツキ様。お帰りなさいませ。そしてお気を付けください」
「え、何を?」
「現在アセナ様はタツキ様が居なかった事によるフラストレーションがとても溜まっています……どうか、お気をつけて」
そう言ってヴィゾーヴニルは倒れた。
アスクレピオスやジャックも駆け寄るが気絶している様子。
と言うかヤタとトヨヒメに関しては相当体力が削れている様に見えるが何があった!?
あいつらも真祖だぞ!本当に何があった!?
なんて思っている間に俺は俺とアセナの部屋に連れて来られた。
アセナは俺をベッドの上にそっと置くと、人型になって俺に寄り掛かる。
俺としてはただ甘えてきているだけの様に感じるだが……何がヤタ達をあそこまで疲弊させたと言うんだ?
そう思っている間もアセナは俺にしがみ付いて俺の匂いを嗅いだり、首を舐めたりとちょっと積極的ぐらい。
でもアセナの顔はそれだけなのにどこか蕩けた様な表情と、熱い視線を送ってくる。
そしてようやくアセナは声を発した。
「………………タツキの匂い」
「ただいま、アセナ」
「……遅い」
「それに関しては悪かった。色々と大変でな」
そう言うとアセナは俺を押し倒した。
そして真剣な表情で言う。
「遅すぎ。ずっとずっと、待ってた」
「本当にごめん。でも今日からまた一緒だ」
そう言って頭を撫でると心地よさそうに、くすぐったそうに表情を崩す。
俺は忙しくて大変だったが、その分アセナを心配させ過ぎてしまったらしい。
でもアスクレピオスやジャックの事を説明するために起き上がろうとしたが起き上がれない。
理由は簡単。アセナが俺が起きれないように重心を支配しているためだ。
「アセナ?ちょっと起きさせてくれないか?」
「タツキ、今から愛し合おう。もう我慢できない」
そう言いながらアセナは俺の服を脱がそうとする!
「ま、待ってくれ!アスクレピオス、蛇の真祖の事とか聞いてほしい――」
「雄が群れのためにエサを狩りに行き、雌は縄張りを守る。この事に対して文句はない。当然の事。でも放ったらかしにし過ぎはダメ。寂しくて、悲しくて、狂って、壊れて……だからこれは罰。私を放ったらかしにしてた罰」
「なんか微妙に矛盾してませんかね!?文句ないって言わなかったか?」
「理性と知性は別。だから壊れた分治してもらう。だから今回は1週間エッチに挑戦」
「無理!色んな意味で無理!腹は減るし喉だって乾く!無茶だって!!」
「大丈夫。ヴィゾーヴニルに持ってきてもらう。食べながら、飲みながらならきっとできる。そして寝る時も絶対にはなれない」
「色んな意味で嫌だ!!知り合いにエロい事してるところを目撃されたくない!!」
「でもタツキ、全力で抵抗してない。なら合意」
俺を脱がし終えるとアセナも服を脱いだ。
相変わらずその美貌とスタイルの良さには眼福と思ってしまうのは何故だろう?
今まさに命の危険に近い感情を持っているのに。
「いただきます」
アセナはそう言った。
-
結果だけ言おう。マジで1週間した。
と言っても途中の記憶がないので所々あやふやなのだが……日にちだけ見ると確かに1週間経っている。
覚えているのは蕩け切ったアセナの顔と行為だけ。
そんなアセナは今まで離れていた反動か、少しでも身体が接している面積を増やそうとしていた。
抱き締めたり、俺に寄り掛かるように言ったり、俺の身体を舐めたり噛んだり。色々だ。
そして現在は俺の上で穏やかに寝ている。
ついさっきまでの激しさはどこに行ったんだろう?
ようやく疲れ果てた感じですか?
俺は……とにかく疲れた。
アセナの奴本当に体力あり過ぎだろ。
何度か気絶した様なしなかったような……
「おはようございます。生きてられますか、タツキ様」
「ヴィゾーヴニル。どうにか生きてる」
疲れ果てているせいか起き上がれない。
アセナは軽いはずなのにそれ以上に俺の身体がだるいのだ。
多分この部屋中酷い臭いが充満しているだろうに、ヴィゾーヴニルは嫌な顔一つしないで窓を開けた。
涼しい風が入り込むと何だか心地いい。
「まずはお風呂に入ってきた方がよろしいでしょうね。アセナ様は大丈夫ですか?」
「多分?むしろようやく落ち着いたって感じだし、むしろこれからいつも通りに戻るんじゃないか?」
俺の上で寝ているアセナ。でも本当に寝ている訳ではない。
ただ俺の上で横になり、目を閉じているだけだ。
だからこの会話も聞こえているし、俺が頭を撫でると嬉しそうに尻尾を振るのは当然なのだ。
「それじゃ風呂上りに改めて今回の旅について報告しておかないとな」




