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勇者と再会

 翌日、お城からお呼びがかかった。

 今日は勇者の精霊契約の日、城から呼びかかるとは思ってなかったので今日は子供たちの遊び相手になろうと思ってたんだけどな。


「先生どこ行くの?」


 トキはそう俺に聞いた。

 昨日買ってあげたアクセサリーを既に身に付けているので相当気に入ったのだろう。


「ちょっとお城に呼ばれたから行って来る。昼頃には帰れますかね?」

「はい。お時間は取らせません」

「っと言う訳でちょっと行って来る」

「いってらっしゃい」


 そう言われて俺は手を振りながら馬車に乗る。

 そして俺は隣にいるジャックに聞く。


「で、お前は何を当然そうに一緒に居るんだ?」

「お兄さんの護衛だよ。これでもパーティーメンバーだからね、知らない所で殺されちゃ困るし。最近出番ないし」

「殺される予定はねぇよ。出番が少ないのは我慢してくれ。そして最低でも子供達を救ってアセナの姉妹を全員解放するまでは死ねない」

「カッコいい~!そのまま私の事も守って!!」

「護衛が守ってもらうって変なセリフじゃね?」


 なんて話をしながら王城に着く。

 俺達は国王ではなくどこかの部屋に通された。

 その部屋の中には案の定勇者が居た。


「タツキ!久しぶりだね!!」

「久しぶりだなユウガ。あれから……1ヶ月か?それとも2ヶ月?」

「3ヶ月に近いんじゃない?でも本当に久しぶりだね!」


 そう言って俺の手を取る勇者は本当に嬉しそうだ。

 ブンブンと手を上下に動かすのだからその嬉しさはよく分かる。


「ユウガ様。彼が同郷のご友人で?」


 そう冷たい声が聞こえてきた。

 おそらく彼女が聖女なんだろう。服装は前に見たシスター服ではあるが顔は隠していないのでよく分かる。

 金髪碧眼美少女様。肌も白いしまさに異世界美少女だ。

 ただし彼女の瞳はどこか黒いものが混じっている様な気がする。


 それに気付いたのか勇者は慌てて言う。


「そうだよ!彼が同郷の友人タツキ。パレードの時に見かけたからつい国王様に頼んじゃったんだ」

「存じてます。それにしても私の時よりも喜んではおりませんか?1ヶ月ぶりに帰って来たかと思えばタツキタツキと、妻への愛情より男の友情を取るのですね……」

「そんな事はないよ!ヒジリ!!僕は君を愛してる!!」

「ユウガ様!!」


 そう言って抱き締め合う2人にちょっと気になる事があるのですが。


「ユウガ、今ヒジリって言ったがそれって聖女の名前か?」

「そうだよ。彼女の先祖から名前を取ったらしい」

「タツキ様のお察しの通り私の先祖は転移者です。初代ヒジリさまは回復の力で様々な方を癒している間に聖女と呼ばれるようになったと伝わっております」


 過去にこの世界に召喚された人がいるのか。

 それともその人もあの集団転生の中に居たのだろうか?

 同じ時代に転生するとは聞いてないしな。

 まぁ俺とユウガは転移組だけど。


「とりあえず初めまして。俺はタツキです。よろしくお願いします」

「ヒジリです。あまり夫を振り回さないようにお願いします」


 あはは~。むしろ遠ざけてるんだけどな。

 俺達一応敵対関係な訳だし。

 何て挨拶を交わすと勇者は聞く。


「ところで昨日はどうしたの?何だか小さな子を連れてるみたいだったけど……それからその子も」

「依頼でな、ちょっとこの国の精霊に用があったんだよ。ちなみにこの子はジャック、旅の途中で拾った」

「ジャックです!男の子みたいな名前だけど女の子だよ」

「それじゃジャックちゃんだね。よろしく」

「よろしくお願いします!」


 ジャック……お前猫被るの上手すぎないか?

 もしそれが素でやってるとしたら相当恐ろしいんだが。

 ジャックは子供っぽさ全快で勇者と聖女の目をごまかす。

 女って怖ぇ~。


「それで他の子達は?依頼ってどんな?」

「子供3人に精霊と契約させるのが依頼。だからこの国に来たって訳」


 嘘はついてない。

 だが子供達を救うためとかそう言う話は不要だろう。

 そんな事を言って興味を引かれたら困る。


「精霊契約か。僕もこれから行うつもりだよ。精霊には色んな種類が居るらしいけど、どんなのが来るのか楽しみだよ」

「勇者様は勇者様らしく光とか炎とかそのあたりじゃないか?聖属性とか聞かないし」

「確かに。そうなったら精霊じゃなくて天使がやって来るかもね」

「それはそれで夢があるか?偉大なる天使長と契約を結んだ勇者!みたいな?」

「それは光栄かも知れないけど来ないと思うよ?だって精霊を呼び出すために来たんだから」

「それもそうだな。所で契約はヒジリさんも?」

「いいや、契約に来たのは僕だけ。流石に余裕がないし、それに聖には重要な仕事があるから」

「仕事?」


 どんな仕事だろうと聖女を見る。

 聖女は俺の疑問に答えた。


「私の最大の仕事は予言です。未来の幻影を見る事が出来るので、それをお伝えするためにこの国へ来たのです」


 聖女は癒し系じゃなくて予言系だったのか。

 そしてこういう時は大抵ろくな事がない。


「それで内容は?」

「申し訳ありませんが……私の予言は重要機密となっていますのでお伝えする事は出来ないのです」

「そっか……それは残念だな。それじゃ簡単な事に答えてもらってもいいかな?」

「なんでしょう?」

「それって良い予言?それとも悪い予言?」

「……悪い予言ですよ。そうでなければお伝えしにまいりません」


 やっぱ悪い予言か。なんで良い予言って物はないんだろうね?いっつも悪い物ばっかり聞く。

 だがもうすぐ悪い事が起きると言う事だけが分かったのは良い事だろう。

 俺も警戒しておかないとな。


「それだけでも聞けて良かったよ。それじゃ俺は行くな」

「え?もう帰るの?もうちょっとぐらい……」

「お互い儀式が終わったらまたのんびり話そう。準備できたみたいだからな」


 そう俺が言うと扉がノックされる。

 勇者は「どうぞ!」っと言うとメイドが現れて言う。


「儀式の準備が整いました。儀式場にご移動願います」


 だそうだ。

 なら俺達もおいとまするべきだろう。

 俺は勇者に言う。


「邪魔するのもまずいし、今日は帰るよ」

「そうか……落ち着いたら王城に来てよ。1週間ぐらいは居るつもりだからさ」

「了解。そんじゃお互いうまく契約できるといいな」

「そうだね。僕も頑張るしその子達にも頑張れって伝えといて」

「分かった。勇者様も応援してたって伝えておくよ。そんじゃ行くぞジャック」

「分かった。それじゃあね!勇者様!聖女様!」


 ジャックはそう言いながら手を振りながら部屋を出た。

 俺とジャックは並んで歩きながら聞いてみる。


「ところでジャック、お前勇者の事殺せそうか?」

「殺せるだろうね。お兄さんと戦った時は意味なかったけど、ジャック・ザ・リッパーを表現するために罠に反応しなくなるスキルもあるから侵入はいつでもできるよ。後はこっそり来てこっそり殺すだけ。でも勇者だからな~、主人公補正みたいなスキルがないといいけど」

「流石にそれはないんじゃないか?そんな事言ったら転生、転移してきた俺達全員主人公みたいなものだろうし」

「それもそっか。あ、そうなると私とお兄さんが出会ったのって補正かかってたのかな?運命的な感じで」

「あんな運命は嫌だな……」


 運命の出会いならとっくにしてるし。

 さっさと子供達救ってアセナの顔見たいな……

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