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こんな感じでユーラニア国王と会った後、町はずれの祭儀場まで俺達は送ってもらった。
ジャックとアスクレピオスは元気にしているだろうか?
まず俺とヒノ先生が降りて、子供達にとってちょっとだけ高い段差を持ち上げながら降ろしていると。
「あ、お兄さんが帰ってきた!」
「タツキさんお帰りなさい。そこの子達が例の子達ですか?」
「お、ジャック、アスクレピオス。連れてきたぞっと言うかいい子で待ってたか?」
音もなく2人が現れた。
相変わらずのアサシンスキル、元気そうで何より。
「タツキ先生。彼女達は?」
「紹介します。髪が白い方がジャック、旅の途中で拾いました。もう片方がアスクレピオス、今回強制的に上位精霊を召喚する協力者です」
「彼女がですか?」
その一言にヒノ先生は困惑する。
まぁ見た目だけなら子供達とほとんど同じだし、戸惑うのは仕方がないだろう。
だがこう言う時のために用意しておいたセリフがあるので問題ない。
俺はヒノ先生にしか聞こえないぐらいの声で説明する。
「彼女は見た目を誤魔化しているだけです。実際は結構年食ってるんでご安心ください」
「はぁ……見た目の誤魔化し……結構年食ってる……」
あれ?何かヒノ先生がダメージを負ったような感じがする。
そこに小走りでやって来たのがこの祭儀場を管理している人だ。
「お帰りなさいませタツキ様。無事お戻りしたようで何よりです」
「ただいまです。ジャック達は何か迷惑をかけませんでしたか?」
「そのような事はございません。むしろ家事や祭儀場の掃除など手伝ってくれた程です」
「それならよかった。それで大人1人と子供3人追加なんですが……」
「大丈夫ですよ。大部屋でも構わないのでしたら」
「十分です。ありがとうございます」
ヒノ先生はそう言う。
子供達は部屋よりもジャックとアスクレピオスの方に夢中な様で、部屋に対して強い要望はなさそうだ。
ただ意外だったのはジャックとアスクレピオス。2人ともこっちの大部屋に来て一緒に泊まりたいと言う。
「いいのか?せっかくの部屋なのに」
「修学旅行のノリで私達だけ別な部屋に寝るってないよ!たまには見た目らしい事がしたい!!」
「わたくしも雑魚寝と言うものを経験してみたいです……」
「それはヒカル達に聞いてみてからだけど……いいよな?」
「いいぞ」
「僕も構いません」
「私も大丈夫」
という感じであっさりと決まった。
ちなみにジャック達が使っていた部屋は俺とヒノ先生が使う事になる。教師部屋だな。
ただヒノ先生は俺と一緒で嫌がらないか気になったのだが、気にしないと言う。
冒険者時代では異性と同じ大部屋に寝る事もあったからとか。
思っていた以上に冒険者と言うのは大変な職だと思う。
俺の場合は真祖を解放するだけなので衣食に対して大変だったのは……意外とあるな。
ドワーフの国の時とか、この国に来るときに野宿した時とか。
そしてジャックを含む子供達全員が腹の音をならしたので急いで調理する。
まぁさっさと食えるものとして面倒だからステーキにしておいた。
俺の別腹空間で熟成肉になっていたブルーバイソンのステーキ500グラム。付け合わせは洗って拭いただけのサラダと黒パンである。
「いただきます」
「「「いただきます!」」」
こうして焼いただけの肉は評判だった。
男子チームはフォークを持って食い千切ろうとしているし、女子チームでも美味しい美味しい言いながら食べている。
流石高級食材。焼いただけでもここまでの威力を出すとは。
「あの、私もいただいて宜しいのでしょうか?」
「部屋を貸していただいたりしているんです。食べて下さい」
「そう言う事でしたらいただきます」
管理人さんもそう言ってから食べ始める。
それでもちょっと遠慮気味なのは何でだろ?食っていいって言ってるんだから堂々と食えばいいのに。
「タツキ先生!冒険者になったらこんな美味い肉毎日食べえれるのか!?」
「流石に毎日は食べないぞ。飽きる」
「贅沢な話ですね。こんなおいしいステーキを飽きるって」
「どこで買ってきたの?」
「俺の家がある近くの森でだ。そこに居る野生の牛だよ。凶暴だからお前らじゃまだまだ倒せるようになるのは当分先だろうけどな」
「へ~それじゃ俺その牛を倒せるようなるのを目標にする!そして毎日美味い牛肉食べるんだ!!」
ヒカルがそんな事を言い出す。
食うために冒険者になる事は悪い事ではないだろうが、牛肉のために冒険者になるとは面白い事を言う。
「それなら牧畜でもしたらどうだ?農業しながら」
「え~それじゃカッコわりぃじゃん。冒険者の方がいい」
「でも危険な事だってあるぞ?上手く依頼をこなさないと違約金を取られる事だってあるし、何より実力至上主義の世界だからな。強ければ生きていけるがそれをどれぐらい続けられるかはまた別問題だぞ」
「それじゃ……おっさんになるまで冒険者する!」
「その後は?」
「え、その後?」
「おっさんになったって金は要る。どうやって稼ぐ気だ?」
「そ、それは……その……」
ヒカルのワタワタした様子にちょっと笑いを堪えながら言う。
「もっとちゃんと考えておけよ。今度行う上位精霊を憑依させればお前達は他の人間同様に生きられる。それは逆に言ってしまえば長期的な計画を持つ必要がある。その事を忘れるなよ」
そう言うとヒカル、カエル、トキは真剣な表情で頷いた。
ガチガチにさせるのも何なので一応こんな事も言っておく。
「だからしっかり健康にも気を付ける事。てなわけで男子2名、ちゃんとサラダも食え」
「「え~」」
「え~じゃない。嫌いな物を残しておくからそう言う事になるんだ。トキ達女子チームはちゃんと食べてるぞ」
「そうよ。ちゃんと食べなさい」
「「は~い」」
渋々と言う感じで男子達はサラダを食べる。
ちなみに俺は嫌いな物から食べる質なので既にサラダはない。
そして今度はトキが聞いて来る。
「いつ精霊さんと会うの?」
「一応勇者が儀式を終えて1日開けるから……明々後日だな」
「勇者様いつ来るんだ?」
ヒカルがサラダを嫌々食べながら聞く。
「明日来て歓迎パレードをするって話だ。で、その次の日に儀式をして、1日儀式の準備をする人達を休憩させて俺達の番だ。ただ強制的に上位精霊を召喚させるから1日1体にしておくから3日はかかる。順番はお前達で決めとけよ」
誰から行うかまではこちらで決めていない。
その辺は子供達で決めてもらった方がいいだろう。
そして問題はその勇者なんだよな……
俺と知り合いでおそらく真祖を解放している事はバレている。
俺に出会ったらいきなり斬りかかって来るって事がないといいんだけどな……
まぁ気性は俺に比べて大人しいし、そう言う事はないか。
だが何事もないと楽観視する事も出来ない。
仮に勇者が何事もなかったとしても、周りの連中がどうなのかまでは分からない。
流石にその辺は出会ってみないと分からないって奴だ。
「それでパレードの予定は何時からですか?」
「それは……何時だっけ?」
「午後3時と聞いています。なので午後からパレードを実施すると、国中でお祭り騒ぎです」
「だってさ、カエル」
カエルの質問にアスクレピオスが代わりに答えてくれた。
いや~その辺の事詳しく聞いてないから分かんなかったんだよな。
「ありがとうございます。アスクレピオスさん」
「いえ、知っていた事を答えただけですので」
「それじゃ明日はこの国でお祭りか!タツキ先生!」
「そうなるな。多少は遊ばせてやるから大人しくしてろよ?」
「いよっしゃー!!」
ヒカルは既に大はしゃぎだな。
そんな感じで夜が更けていく。
……祭りでこの大金消費出来るんじゃね!?




