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頼み

 そんな感じで2時間ちょっとしたぐらいに、それなりに広い場所があったのでそこに降りて昼食を食べる事にした。

 と言っても超簡単なバーベキューみたいなものだが。


「ほ~れお前ら、肉焼けたぞ~」

「肉ー!!」

「僕もー!!」

「お肉~」

「ちゃんと野菜も食べなさいよ」


 ヒカル、カエル、トキは大はしゃぎだ。それを抑えるのはヒノ先生。

 ちなみに現在のソニックドラゴン達はのんびりと欠伸をして休んでいる。

 俺の細胞から作られたせいか食事を取るよりも俺の魔力を食べる方が好みらしい。


「どんどん焼くからちゃっちゃと食えよ~」


 今回の俺は焼く担当。日曜日のお父さん的ポジションである。

 とにかく野菜や肉を焼いていきおチビ達に渡す。俺の飯はこの後になるな。

 そう思いながら肉と野菜をバランスよく焼いていく。肉ばかりになるとヒノ先生から野菜も焼いて下さいと言われるからだ。

 焦げない様に気を遣いながら焼いていると、誰かに突かれた。

 誰かと思いながら振り返って見るとそこにはトキが居た。トキは焼き肉を箸で持ち上げながら言う。


「タツキ先生あ~ん」


 焼いてばっかりで腹減ってたからありがたい。

 俺は素直に肉をいただいた。


「ありがとなトキ」

「もっと食べる?お肉あるよ」

「俺は後でいいよ。まずは子供が先に食うもんだ」

「そうなの?」

「そう言うもんだ。まだまだ肉はあるから食いな。子供が大人に遠慮すんな」


 まぁ正確には親なんだろうけど。

 少し一緒に居て情が移っちまったし、親代わりとはこういう事を言うのかも知れない。

 ヒノ先生もおチビ達に野菜も食べろと追い掛け回し、男子、特にヒカルがよく逃げる。カエルは渋々食べている感じだ。ちなみにトキはバランスよく食べている様だが。


 そうやって食べている間におチビ達は満腹になったからか近くで寝ていた。

 不用心とも言えるが子供なのだから仕方ないだろう。

 俺とヒノ先生はようやく落ち着いて飯を食べ始める。


「ちょっと大変でしたね」

「はい。特にヒカルが野菜を食べようとしなかったですから……」

「あ~俺も子供の頃バーベキューだ~って時は肉ばっかりでしたし、仕方がないんじゃないんですか?」

「それは分かりますが……偏食はあまり褒められた物ではありません」


 そう言いながらヒノ先生はヴィゾーヴニルお手製の焼き肉のタレを付けて肉と野菜を同時に食べる。

 ヒノ先生は同時に食べる派だったのね、俺は肉と野菜交互に食べる派だ。


「大人になっても残る好き嫌いは子供の内に決まるって聞きますからね、出来るだけ色んなものを食べて欲しいのは俺もです」

「子供だからって甘やかすのもどうかと思いますから」


 って言うかヒノ先生結構食べるな。

 俺やアセナほどではないが人間の中では結構食べる方だろう。


「ふぅ。ごちそうさまでした」

「おそまつ様でした。少し休んでから行きますか?」

「そうですね。子供達も寝てますし、30分ほど休んだ後にまた向かいましょう」


 なら俺は軽く皿とか洗っておくか。

 俺まで寝たらダメだろうし、おチビ達も守ってやんないとな。


「手伝いますよ」


 そう思いながら水を出して洗っているとヒノ先生も手伝ってくれた。

 洗っている間はお互いに無言。特にこれと言った話題も見つからず、ただ食器を洗うだけの音がする。

 そんな沈黙がずっと続くと思っていたらヒノ先生が話しかけてくる。


「……あの、タツキ先生。今後も教師を続けていただけないでしょうか?」

「……そうですね……それは家族と相談してから決めたいと思います。危険は少ないですが家族が住んでいる所からは遠いので」

「そうですか。あ、でもこれは本当にただのお願いですので無理ならはっきりと無理と言ってくれて構わないんですよ」

「まぁ今すぐと言う訳にはいきませんけどね。ちょっと厄介な依頼を受けていますので」


 仮に教師をする事にしたとしても、真祖開放の方が先だ。アスクレピオスを解放したので残り2人、マップで確認すればどこにいるのかすぐ判明するが……その道中何事もないはずがない。

 でもおチビ達の事が気になっているのも事実だ。学園の雰囲気も悪くないし、危険がないと言うだけでも価値があるのかも知れない。

 でも俺はアセナ達と離れたくない。仮に人間の国に住む事になった際、アセナ達と別れなければならないとなれば俺はアセナ達を取る。


「随分長期的な依頼を受けているんですね。その間に私達の依頼を受けて大丈夫なんですか?」

「結構雑な内容だったので大丈夫ですよ。それにそこまで急がなくても大丈夫ですから」

「それならいいのですが……」


 ヒノ先生は不思議そうに言う。

 そして少し視線をさまよわせた後ヒノ先生は言う。


「実は私、かなりのお婆ちゃんなんです」

「え?」

「とある者に身体をいじられて……見た目だけは年を取らないんです。でも私には分かります。もうすぐ寿命を迎えるって。だから私の他にあの子達を守ってくれる人を探しています。正直に言えばタツキ先生、あなたにあの子達の保護者になっていただきたいのです」


 ………………どうやら俺の感覚は何も間違っていなかったらしい。

 初めて会った時の違和感は何も間違っていない。むしろ大正解だ。

 でも見た目だけか……不老と聞くと寿命も永遠に近い時間生きそうな感じがするんだけどな。そうではなかったのか。


「あの子達はあなたにとても懐いています。せめて……せめてたまに様子を見てもらえないでしょうか」

「…………正直に言うと難しいです。今住んでいる所はかなり特殊な場所ですし、仕事の関係上ヴァロンランドにちょいちょい来れる保証はありません。ヒノ先生はどうなんですか?」

「どうとは?」

「あの子達が大人になるのを自分の目で見届けたいのか、それとも見届けなくていいのか」


 少しズルい聞き方をした。

 こう言えば絶対見届けたいと言うに決まっているし、不安だと言っているのに見届けたくないはずがない。

 そして予想通りヒノ先生は悔しそうにしながら言う。


「見届けたいに決まっています。ですが無理なんです。どうしても」

「どうにかする事は出来ないんですか?」

「出来ません。あの子達が契約に成功したら私の寿命は尽きます。これは確定している事ですから」


 確定している?一体どういうことだ?

 寿命が近付く事は何となく察しがついたとしても、確定という言葉は普通使わないんじゃないか?


「ですからお願いです。あの子達の未来を私の代わりに見届けて下さい。お願いします」


 真摯に言うヒノ先生に俺は頷くしかなかった。

 何か事情があるのは何となく分かったが、どうしても確定する事情が分からない。

 これに関しては調べるしかないか。

 俺は皿を洗いながらそう決めるしかなかった。

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