国に呼び出されました
当然の事だが次の日から学校は休校となった。
無事ワイバーンの討伐が終わり、残ったワイバーンは逃げ去ったと言う事で事なきを得た。
だが突然現れたソニックドラゴンにより国を守る結界が破壊、修復まで1週間はかかるらしい。それに今回の件を踏まえてAランク以上の魔物の攻撃にも耐えられるように結界をさらに強固にするつもりだそうだ。
そのため今は人による国の守りが行われいる。
空中から来たため、国を守る壁その物は無傷の部分が多いが結界がないため不安は大きい。
また空中から魔物が攻めてきた場合守る術がないため大変なのだ。
魔法による遠距離攻撃もあるがやはり距離が遠すぎると当たらないし威力も落ちる。なので完ぺきとはいかないが、簡易的な結界を張り直したそうだ。
それからソニックドラゴンを食った結果、上空を生身で行動できるようになった。
簡単に言うと成層圏で活動できるようになったと言えば分かるだろうか?
人体に有害な紫外線とかそういう太陽からの直接来る何とか線をはじくような皮膚になったし、風に関する魔法も効率よく行う事が出来る様になった。
しかもあのドラゴンは自分自身に魔法を付与させて能力を引き上げるタイプだった様で、さらに都合が良い。
俺も自分自身を強くする方が得意なタイプだからな。
そんな感じで今ヴァロンランドは大忙しである。
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ドラゴンが襲ってきて2日目、学校は1週間休校なのだが仕事は当然ある。
預かっている生徒達への連絡、説明用の書類製作、1週間のずれによる勉強をどうやって教えるかなど、社会人は辛い。
ドラゴン食った翌日から普通に仕事があるのでマジでだるい。
全力の一撃は身体への負担も大きかったらしく、疲れが取れきっていない。
あ~あ。また温泉に行きて~な~。温泉でまったり癒されてぇな~
どれだけそう願っても周りは許さない。
この1週間は仕事して帰って寝るの繰り返しになりそうだ。
「タツキ先生。お客様です」
欠伸しながら資料を作成していたら他の教師に呼ばれた。
ヒカル達は普段から寮にいるので、正直休日だろうが何だろうが学校に居る事の方が多い。
「ちょっと失礼します」
他の忙しい教師達に断ってから席を立った。
職員室を出て教師に聞く。
「俺に客って誰です?」
「教会騎士団長だ。」
「あ~教会騎士の人か。今大変だろうに」
教会騎士は現在国の防衛のために忙しくしていると聞く。
なんせ結界が消えたので教会騎士がメインで城壁を守っているとの話だ。当然冒険者もその依頼を受けている者は多いのだが、負担としては教会騎士の方が大きいと聞く。
そんな時に来ると言う事は何か俺仕出かしたかな?
特に悪い事はした覚えはないんだが……まぁ話を聞けば分かるか。
他の教師に導かれて来た場所は応接室。前に俺が面接を受けた場所だ。
そこには校長先生と騎士団長も居て話を聞く体制がとても整っていた。
「やぁタツキ君。教会騎士の団長が君に話を聞きたいそうだ」
「はぁ。お久しぶりです、騎士団長さん」
「久しぶりだな」
俺は空いている席に座りながら聞く。
「忙しいはずの教会騎士団長がどうしたんです?」
「少し君に聞きたい事があってね。ソニックドラゴンを倒したのは君かね?」
「あ、はい。そうです」
あっさりと認めると少し意外だったのか、騎士団長は驚いていた。校長先生も驚いていたけど。
「あっさりと認めたね」
「今日明日ってつもりではありませんが、そのうちアヴァロンで買い取ってもらうつもりでしたから。そうしたらこの場で否定してもすぐバレるでしょ?」
「そうだね。確かに売るのであればどちらにせよバレるか。それではまず、この国を救ってくれたことに感謝する」
「……そう言うのは苦手なんですけどね。この国を救うと言うよりは生徒達に何か起こる前にっていう方が正しいですし」
「なんにせよ結果だけ見ても立派な英雄だ。それにこの学園の子供達を守ろうとしたのなら動機としても十分だと思う」
「そう言うものですかね?」
正直英雄になりたいなんて思った事はない。
生徒達を守ると言うのは小さな動機だと思っているのだが?
「それでここから相談なのだが、感謝状を受け取っていただけないだろうか」
「感謝状?教会騎士から?」
「この国からだ。この国の国王がぜひ国を救った英雄に――」
「あ、そういう面倒なのは間に合ってます」
「……だがこれは国王の指示だ。理由もなしに断る事など出来ないし、君も受け取らない訳にはいかない」
ん~何だか面倒な事になってきた。
俺はそんなドラゴンごときで恩着せがましくしたくないし、そんな事で目立ちたくもない。
それに俺動かなかった場合、アヴァロン本部に居る誰かが討伐していた可能性の方が高い。そりゃそうなったとき被害はもっと大きなものになっていたかもしれないが。
「つまり俺は断れないと」
「そうだ。国王としても救国の英雄に何もしなかったっとなれば面目が立たない。なので感謝状と礼として何か望みを叶えると言っている。そう悪い話でもあるまい」
「でも俺そう言うので目立つのは苦手なんですよ。つまり表彰されるんですよね?大々的に行なうんですか?」
「そのつもりだと言っている。できればパレードを開きたいとか」
「無理無理無理無理!!俺は子供達を助けるためにがんばってるだけですから!平民にそんな事して目立つ勇気はありませんよ!!」
「まぁ今のはそういう事をしたいぐらい感謝していると言う事だ。実際今直ぐそのような事を行うのは厳しいだろうからな。国に直接的な被害はなかったものの、新たな結界を張ったり、城壁の人件費、ドラゴンが襲ってきた理由の解明などお忙しい立場にいるからな」
つまりパレードを開く余裕はないと。それなら一安心だ。
「だが何らかの形で感謝を告げたいと言っている。拒否はできない」
う~ん。そうなると本当に面倒だな。
感謝状だけはまぁ受け取るのは問題ないのだが、その後のパレードとかは面倒だ。
となると……精霊の召喚者を紹介してもらう?いや、そうなるといざ蛇の真祖を連れてきた時に面倒になりそうだ。
となるともっと違う形で……そう言えば。
「ちょっとお聞きしてもいいですか?」
「どうぞ」
「ドラゴン丸々1体ってアヴァロンで買い取ってもらえます?」
「無理ですね」
「即答ですか」
「状態はどうであれドラゴンの鱗1枚で金数枚とまで言われているのですから、頭から尻尾までとなると買い取れるのは本当の大富豪か、国家規模でしょうね」
「あ、ならそれでお願いします。この間仕留めたドラゴンを1体買い取ってもらう。感謝状は目立たずもらえればいい」
「それが願いか?」
「はい。鍛冶に関するスキルはもってないですし、もってても焼いて食うぐらいしか出来ないので」
「そんな勿体無い事をするつもりだったのか?なら分かった。国王にはそのように伝えておく」
こうして逃れられない感謝?のために王様と会う事になった。
あ~面倒臭い。そんな事より仕事片付けたいってのに。
「それでは3日後、王城に来て欲しい。最も地味にとなると国王陛下から直々に感謝状を受け取る事になるだろうからな」
「それでも王様直々ですか。はいはい、仕方なく受けますよ」
俺個人のために動いた事なのに何で表彰されるんだか。
そしてお国と関わるのはやっぱり面倒だと強く思ったのだった。




