買物です
初めての旅行はとんでもない豪華なものになってしまったが文句はない。
ただアセナが付いて来れてない。
いきなりの超豪華内容に戸惑っているのか、はたまたただ単に人間のやり方がよく分かっていないだけなのかよく分からん。
とにかく今日の宿でアセナはずっと呆けていた。
今日は旅行会社だけだったが、明日からそのリゾートに行くために服やら何やらを揃えるために買い物に出かけなかればならない。
一応前金として全額払うとの話だったので白亜金貨1枚を出したら恐る恐ると言った感じで受け取っていた。
ちなみにキャンセルした際にはこの金の半分は貰っていくぞ!と言う意味も含まれているとか。
せっかくの旅行をキャンセルにしてたまるか。
という事で明日は今日狩ったクモをアヴァロンで売り、また金に換えて旅行資金を増やすつもりだ。
にしても……
「アセナ~今日はもう寝るぞ~」
アセナが呆けてるばっかりだ。
いい加減意識ぐらいはっきりさせてほしい。
そう思って何度も声を掛けるとようやくアセナが反応した。
「タツキ……どうしよ」
「何がどうしようなんだ?」
「だって……1番色々できるコースにしちゃったんでしょ?妹を助けること覚えてられる自信ない……」
「あ~そう言う事。俺がちゃんと覚えておくから大丈夫だ。明日から少し忙しいぞ」
「クモを売ってお買い物……だっけ?」
「そう。パンフレットを読んでみたらな、どうもドレスコードとかちゃんとしないといけないらしい。ここは運良くエルフの国だし、俺のスーツやアセナのドレスを買いに行くぞ」
パンフ読んでたらそう言うのが必要と書いてあった。
多分晩飯のコース料理とか、ミュージカルだかを見に行く時に着るんだろうが……朝飯の時も必要なのかな?
超高級リゾートなんて初めてだからよく分からんぞ。
あ、よく読んだら飯の時は大丈夫って書いてあった。よかった~マナーとかこの世界の場合よく分かんなかったんだよね。
元の世界のマナーでいいのか全く分かんないし。
「それずっと着ないとダメなの?」
「そうじゃない。ただ着る必要がある場所があるから持って来いよって言う感じだ。そういやアセナの服ってどうやってるんだ?」
「ん?」
「人型になった時から気になってたんだけどさ、その服ってどうなってんの?それも神様仕様?」
俺はいつもと変わらないマコト仕様の制服を着ている。
そしてアセナは初めて人型になった時と全く変わらない黒のズボンとシャツ。
健康的な色気、ボーイッシュ、などと言えば聞こえはいいが、悪く言うと化粧とか着飾ったりする事が全くない人だ。
そう言うとアセナは「あ~」っと言いながら答える。
「これは自分の体毛を変化させたものだから自分で作ってる。タツキの『変質』と似たり寄ったり」
「なる程。それはそれでド定番だな。それじゃイメージ次第でいくらでも服装を変える事が出来るのか?」
「一応。でも面倒臭い」
「そっか。それじゃ明日の買い物はちょっと大変かもな」
アセナは不思議そうにするが俺は何となく予想できたので一緒に寝る。
明日は色々と大変そうだ。
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次の日、アヴァロンでクモ3匹売ったら白亜金貨4枚と大金貨5枚になった。
おかしい……クモ3匹で白亜金貨4枚大金貨5枚ってどう言う事だ?
マジでか、と思っていると傷がない事が1番の理由らしい。
ごくたまにこのクモ、昇天蜘蛛は売りに出される事があるらしいがほとんど傷だらけで糸壷以外値打ちがないらしい。
本当は優秀な外骨格も価値があるんだが、大抵は戦闘によりボロボロの状態で価値がとても下がった状態だとか。
でも俺達が狩ったクモは傷らしい傷は全くなく、外骨格から糸坪まですべて売れる状態だそうだ。
なので価値は上がってこの値段になったそうだ。
さらに言うと解体も自分で行っていればさらに値は上がるらしい。
でもそこは面倒なので任せた。
解体費を引いた値段で白亜金貨4枚と大金貨5枚になったのだから十分である。
資金は十分なので時間が掛かりそうな服屋から回る。
既にある服を買うだけなのは分かっているが、こういう時女の買い物は長いと相場は決まっている。ならば体力があるうちに片付けてしまうに限る!!
と言う訳でお高そうな服屋に行く。
「いらっしゃいませ!」
エルフの店員さんが俺達に向かって言う。
その内の1人である女性店員が俺達の方に来て頭を下げた。
「いらっしゃいませ。本日はどのような服をお求めでしょう」
「1か月後に来る人魚の国に観光で行く事になったから礼服を見繕ってもらいたい」
「承知しました。お2人は……カップルでしょうか?」
「いえ、俺達は――」
「夫婦です」
アセナが俺の腕にくっ付いて主張する。
人間とかエルフとか関係ないのか、エルフの女性店員は耳を上下に動かしながら面白そうに言う。
「それは失礼いたしました。では奥様、旦那様、どのような礼服がよろしいかお選びしましょう、どうぞこちらに」
と言う感じで俺達の礼服選びが始まった。
俺の方は出来るだけシンプルなのがいいと最初から決めていたのでスーツみたいな礼服で決まった。
そして俺よりも時間が掛かったのは当然アセナ。
アセナ自身服についてよく知らない事もあり、店員のおすすめやら何やらを試着し続けている間に気背替え人形の様になっている。
礼服と言うだけあってあまり派手な物は無かったが、それでも細かい違いはあってスカートの長さとか袖の長さとか細かい違いの中から選ぶのは大変だと思う。
そして最終的にはアセナの手足の長さを生かした、上はノースリーブで下は短めのスカートのドレスに決まった。
やはりアセナは元々美しいので無理に手を加える必要はなかったという事だな。
日本的な引き算による美、それを見事に体現して見せた。
「えっと……どう?」
「俺の嫁は世界1の美人」
そう言うとアセナは慌てて試着室の中に戻った。
お互い服は決まったので細かい部分を直すのにおよそ1週間かかるそうだから、その間に水着なども買っておく。
水着に関してもアセナはよく分からない、という事で俺の趣味全開で決めさせてもらった。
アセナの水着はシンプルイズベスト、という事で真っ白なビキニ。
やっぱり黒と対極的な白がよりアセナの綺麗な黒が目立たせる。
と言う訳でそれを買った。
俺の水着?どこにでもあるトランクスタイプの水着ですよ。
はいお終い。
そんな感じで1週間あれは必要か、必要でないか相談して巡りながら買い物を済ませた。
終えるまでに2週間もかかったのは予想外である。
そして現在は直してもらった礼服を別腹にしまって宿のベッドでぐったりとしていた。
「…………買い物って疲れる」
「……知ってる。しかも俺達の場合ほとんど全てだからな……私服はともかく細かい物全部買い揃えなきゃだし」
アセナは完全にお疲れモードのようであり、俺の上に乗っかって動く気が全くないらしい。
できれば1か月間遊びまくるのだから、もう少し資金稼ぎをしたい所なのだが今日は……いいか。
あと2週間で目的地が向こうからやって来る。
後は新婚旅行兼真祖開放の準備をしなければならない。
でも……今ぐらいゴロゴロしてたっていいよね?




