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真祖について

 一応アセナの義父という事で最低限のもて成しぐらいはする。

 茶を出して一服してからマコトは話しだした。


『え~っとどれぐらい先から話せば分からないけど……とりあえず最初から話すね。とりあえず僕は創造神。この世界を作った最初の神様って言うのオーケー?』

「オーケー」

『うんうん。だから僕は神様として世界を創造する事を始めた。途中様々なものを創造する為に途中子供とも言える神様達も僕は創り出した。その中には特に善とか悪とか僕もさっぱりだったから創ってないはずなんだけど、人間達が勝手に善悪を決め始めた』

「へ~。そう言うのってゾロアスター教的な感じで最初から決まってるものじゃないんだ」

『そんな意図はないって。炎を管理するために炎の神を創り出したり、水を管理するために水の神を創り出したり結構大雑把なものだよ。そのあと彼らも子供として、部下として細かく小さな神達を創り出したり生み出したりした訳だけど、その子達にも善悪の特性は全くないから』


 ふ~ん。

 そう言うもんか。

 あくまでも何かを司る存在として創り出したって認識でいいのか。


『でもね~ここからが僕にとっても誤算だったんだよ』

「誤算?」

『うん。誤算。世界を創造してそれなりに時間が経ったとき、自然と人類が生まれたんだ。で、誤算はここから。人間が神を祀る、その行為によって神としての格が上がる事が初めて分かったんだよ』

「え?それって最初から設定されている様な物じゃないの?」

『そんな設定する訳ないでしょ?僕結構面倒臭がり屋だよ?それにどれだけ格が上がったとしても僕には絶対勝てないから、逆立ちし様が徒党を組もうが僕の意思1つで殺すも生かすも自由自在。僕から見れば微々たるものだからね』


 ほ~。

 ん?それじゃ何でマコトは俺に頼み何て言うんだ?

 よく分からん。


『似たり寄ったりの時期に生まれた神同士では重要だけど、本当に最初に生まれた僕にはかなわない。そして仮に僕が創り出した神達を第一世代と呼ぶとすると、その中にアセナちゃん達も含まれるんだ』


 え?あ。

 そう言えばアセナ自身がさっき言ったじゃないか。

 私達を創ったって。


「それじゃ何でアセナは神様じゃねぇんだよ?他の連中は神様として認知されてるんだろ?」

『ここが最大の誤算。確かに僕はアセナちゃん達の事を僕の手伝いをしてくれる存在、つまり神様として創った。でも人間にとってとても都合が悪い存在として扱われたために、神として格が落ちてしまった。これにより僕の意思に関係なく魔物として存在する事になった。しかもこれまた人類の勝手により封印されたりどっか行っちゃたりして散り散りバラバラ、こうなっては僕の力だけではどうにもならない』

「1番凄い神様なんだろ?その辺は神様らしくチート一発で解決できねぇの?」

『むしろ力が強過ぎて色々大変なんだよ。確かにこの世界がきちんと形を得る前の状態ならチート一発でどうにでもなったよ?でも今じゃ人類の善悪が邪魔をしてうまく使えない部分もあるし、無理に使おうとすると子供達に止められるし……』


 大きな力と権力を手に入れ過ぎるとこうなってしまうのか。

 俺は力だけ手に入れて権力は手に入れない様にしよ~っと。


「で、俺は今の愚痴を聞けばそれで満足なのか?」

『それは……その、本題として……みんなの事助けてくれないかな?』


 ある意味想像通りの返答だ。

 なので平然と聞く。


「助けろって言ったって具体的にはどんな風に助ければいいんだよ?」

『基本的にはアセナちゃん同様に封印されているからその封印を解けば大丈夫。封印方法はそれぞれ違うけど大抵は『捕食』か『変質』で壊せる。それから今封印されている場所は――』

「ちょっと待て、アセナにも話を聞きたい」


 そう言ってマコトを黙らせた。

 アセナは不思議そうに俺の顔を見る。


「どうしたのタツキ?」

「アセナ自身はどうなんだ?お仲間助けたいか?」


 そう言うとアセナは少し目を閉じた。

 狼の耳をピコピコ動かしながら少し考えて、俺ではなくマコトに話をする。


「創造神。この事に関して他の神はどう考えてる」

『アセナちゃんと同じ時期に創った子達に聞いたけど特に動くつもりはないみたい。でも味方になる様子もない。我関せずって言うのが正しいかな?』

「他の小僧たちは?」

『話す訳ないよ、聞く必要がないからね。でも知ったらおそらく邪魔はしてくるだろうね』

「……他の姉妹達は全員封印されてるの?」

『全員だね。1部はアセナちゃんのように力の欠片を外に出して完全に封印される事を逃れてる子もいるけど……4人は完全に封印されてる』

「………………タツキ、私は姉妹を助けたい」


 アセナはそう俺の目を真っ直ぐ見て言った。

 なら俺がやる事は1つだ。


「なら俺も手伝う。アセナの姉妹は俺にとっても義姉か義妹になるだろうからな」

『本当!!本当に助かるよ~僕も正直封印されたままで過ごさせるのは心苦しかったから。それじゃ改めて封印されている場所を説明するね!まずは――』


 という事で説明が始まった。長いので箇条書きで説明する。


 まずカラスの真祖はここから南に位置するエルフ達が守ってる。

 次に狐の真祖は東の人間達に封印されてる。しかしアセナの様に1部封印から逃れてるので本人を探してから封印している所に探しに行った方がいいかも知れない。

 次にサメの真祖はちょっと大変だが海の底で封印されてる。人魚族が守ってるらしい。

 北の大陸に猫の真祖がいる。この子も1部だけ封印を逃れてるから仲間にしてから封印を解いた方がいいかも。

 最後に蛇の真祖が西に居るとの事だ。守っているのは教会らしい。


『――という事で分かった!』

「分かったが長い。後きちんと細かい場所を教えてくれ。この間の宝物庫の時なんかアセナを連れてなかったらスルーしてたぞ」

『あ~それは……あ、確かタツキ君ってスマホまだ持ってるよね?』

「そりゃ……一応。でも電波通じるはずないと思ってずっと電源切って放置してたからな……まだ使えるか?」


 そう思いながら俺の部屋に行き、俺お手製の引き出しからスマホを取ってくる。

 電源を付けようとしたが……流石に1年も放置していれば充電はとっくに切れているらしい。

 充電されていなければこんなのただの板でしかない。


 それをマコトが手にとって何か魔方陣をスマホに当てた。

 何をしたんだか分からないが、マコトは俺の手にスマホを戻す。


『はい。君のスマホを神器に変えておいたから充電の心配なし、落としても壊れない、無くしても念じれば掌に戻ってくるという何でもありのスマホの完成だ!!』

「何でもありって……具体的には?」

『マップ機能を使えば相手の結界とかそう言うの関係なし!辞書アプリの中にある使いたい魔法を選べば使える!通話アプリを使えば誰とでも念話し放題!電子マネーアプリを使えば残金がいくら残っているかも一目で分かる!』

「………………検索アプリは?」

『……い、一応神々の図書館に繫がるよ。でも結局はその……図書館用のパソコンとそんなに変わらないから……』


 それはそれで使えそうだが使いどころに困るって言うのもマジだな。

 歴史とかそう言うのも調べられるんだろうか?

 あとできればこれから敵対するであろう敵の人数とかその他もろもろ。


 とにかくこれで計画的に行動する事が出来るかもしれない。

 この間は行き当たりばったり過ぎた気がするし、安全に行動できるのであればそれに越した事はない。


「使い心地は実際に使ってみてから確かめるさ。魔改造スマホありがとな」

『これも真祖になっちゃったみんなを復活させるためだからね、気にしなくていいよ。むしろ頼んでる側なんだからもっと甘えて♪』

「甘えるならアセナがいい」

『うわ~こっちの口の中が甘ったるくなっちゃいそう。アセナちゃん』

「はい」

『ごめんね、僕が不甲斐ないばかりに封印されちゃって』

「気にしないで。封印されたって言う切っ掛けでタツキと出会えたから」

『そうか……アセナちゃんに取って甘えられる誰かをもう既に得られたって事なんだね。それじゃこれは結婚祝いだよ!』


 そう言ってマコトは指を鳴らした。

 するとアセナの身体が1度ビクンと震えて辺りを見渡すと、じ~と俺の事を見続ける。


「おい。お前アセナに何をした」

『大した事じゃないよ。昔性欲は要らないって言ってたからそれを通常状態に戻してあげただけ。それからタツキ君でもアセナちゃんとちゃんと子供は残せるから頑張ってね♪』

「は、はぁ!?な、何言ってやがる!!」

『それじゃ頑張ってね♡生まれたら僕の孫見せてね~♪』


 うっざ!!

 最後の最後にスンゲーウザい帰り方しやがった!!そのうち生まれたら見せてやるよ!!

 そう思っている間もアセナは何故かずっと俺の事を見続ける。

 その目線は妙に熱いというか、獲物を狙う目線と言うか、いつもの柔和な笑みとは違うと言うか……


「えっと、大丈夫か?」

「大丈夫じゃない」

「え。大丈夫じゃないって具体的には?」

「こう……身体中が熱くて、タツキが欲しくて堪らなくて、でもタツキの方から欲してほしいって思いもあって……」


 あ~これ何となくダメな奴かも知れん。

 ここで襲うのが正しいのか?それともヘタレと言われもいいから正気に戻るのを待つか?

 真剣に悩んでいるとアセナは俺に抱き付いてきた。

 するとアセナの身体から妙にいい匂いがする。

 女の子特有のいい匂いと言うか、それを1度嗅いでから俺の方も妙に興奮している。

 気が付けば俺はアセナの事を抱きしめていた。


「タツキ~どうしよう。自分で自分を抑えきれない……」

「えっと……アセナはいいのか?」

「いいって?」

「だから……その、そう言う事をしても」

「ん~分かんない。本能が叫んでるの、タツキと一緒に居たい。タツキともっと仲良くなりたい。タツキともっと近づきたい。タツキは……いや?」


 そんな上目遣いで見ないでほしい。まるで子犬が甘える様に俺を見るな。本能だけで襲っちゃいけない事だけは分かる。

 だから俺は最後の理性を振り絞って聞く。


「アセナは……俺の子供産んでくれるか?」


 あ、これダメじゃね?

 理性働いてなくね?

 だがアセナは満面の笑みで答えた。

 それはいつもの余裕ある笑みではなく、素直で魅力的な笑みだった。


「うん。産む。いっぱい産む!だから……教えて?」


 これで最後の理性はぶっ飛んだ。

 惚れた弱みとはこういう時にも適用されるのだろうか?

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