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純度99%の魔石の価値

 暗闇のせいで朝か夜か全く分からないので、起きた今を朝とさせてもらう。

 流石に堂々と真祖の事を調べるとどうなるのか分からないのでこっそりと調べる。

 狼の事を毛嫌いしているのは真祖がいる事が原因かもしれないし。

 とにかく起きたら飯食う。


「アセナ、飯だぞ」


 そうアセナに呼び掛けると寝起きのせいかフラフラとした足取りだがちゃんと来た。

 もうアセナって名前を覚えたのか。本当に賢いな。

 それから俺がつけた名前に反応してくれるのは結構嬉しいな。


 アセナはゆっくりとしたペースで肉を食う。

 やっぱ寝起きはそうなるよね。


 朝っぱらから肉を食うというのは健康的にどうなんだろうか?

 この世界の野菜ってマジで不味いから最近食ってない。

 根菜類は硬いだけだし、キャベツみたいな葉物はみずみずしさないし。

 前の世界じゃ別に嫌いって言う程じゃなかったんだけどな……


 飯を食った後はアセナと一緒に町へ出かける。

 狼嫌いの根源を探れば意外とその根源の近くにあるかも知れない。

 もしくはこの国の図書館の様な物はないだろうか?地元の資料館みたいな感じでもいいからさ。


 そう思いながら街を散策してみるが……どこも武器ばっかり売ってるな。

 イングリットでは様々な店が並んでいたが、この国じゃ武器屋の割合がとても多い。

 武器屋ではなくても細かいアクセサリーを施された細工屋や、刃物の店が多い。

 資料館的な物はないのかな……


 そう思いながら歩いているととても暇だ。

 暇潰しに武器屋に寄ってみた。


 現在俺の戦闘は武器に頼らない戦闘方法で簡単に言えば殴って蹴るだけ、武器が必要な時が来るのかも知れない。

 そう思ってぼんやりと武器を眺めているのだが、妙な事に気が付いた。

 同じロングソードと書かれている武器を見付けたのだが、値段がまるで違う。

 片方は銀貨数枚で済むのにもう片方は金貨数枚というボッタクリ価格だからだ。


「いらっしゃい。武器をお探しで?」


 俺が狼を連れているのを知っているくせに、店員と思われるドワーフがやって来た。

 邪険にする必要もないので素直に聞いてみる。


「この2つのロングソード何でこんなにも値に違いがあるんだ?」

「それは魔石を利用しているからですよ」

「魔石?」

「はい。魔石です」

「悪いが俺は田舎者で魔石の事をよく知らない。説明してもらってもいいか?」


 買う気など全くないが常識として知っておいた方がいいだろう。

 そう言うと店員は説明を始める。


「左様ですか。それでは説明させていただきます。魔石とは魔力を含んだ石であり、様々な魔道具や武器に使用されます。ある意味魔物の素材で武器を作るのと同じですね。魔石を砕いて鉄と共に鍛え上げる事で出来た武器がお値段の高い方のロングソードとなります」

「魔石を使うと何がいいんだ?硬度か切れ味がよくなるって所か?」

「それも当然ありますが、魔石を利用する事で武器は成長する事が可能となるのです。分かりやすく言うなら……使用者に合わせて切れ味や硬度が変化するようになる。っと言った所でしょうか」


 使用者に合わせて変化するって本当にファンタジーだな。

 普通無機物に成長なんてありえないだろ。

 でも興味は沸いたな、その魔石を使えば俺にあった武器が自作できるかもしれない。

 俺は店員に言う。


「魔石って言うのはどんな石なんだ?」

「光を通さない程の漆黒の鉱石です。と言ってもほとんどの魔石は他の鉱物と混じっている事が多く、そこから不純物を取り除く必要があるので採掘できた鉱石から……およそ1割ほどの大きさの魔石が取れればいい方でしょうか」


 漆黒の鉱石?

 まさかと思い、俺は小指の爪よりも小さい俺が加工した真っ黒な石を別腹から取り出す。

 見た目は真っ黒なとても小さい真珠の様にも見えるか。


「店員。魔石ってもしかしてこれか?」

「はい?え、あ、確かにこれが魔石です。お持ちだったのですね」

「使い道が分からなくてな。これって売れるのか?」

「売買に関しましては当店では……ん?少々失礼してもよろしいですか?」

「ん?ああ」


 店員は俺の魔石を食い入るように見てから「失礼します!!少々お待ちください!!」と言って店の奥に行ってしまった。

 魔石は今も俺の手に収まっているがどう言う事だろう?

 アセナと顔を見合わせて、お互いに首を傾げる。

 するとさっきの店員の他に、随分とがっしりとしたドワーフが姿を現した。

 そのドワーフはドワーフの割には随分とデカい。170cmぐらいはあるか?

 そしてそのドワーフは言う。


「失礼。俺、じゃなくて私はこの店のオーナーをしているドリューと言う者です。店員が言うには魔石をお売りに来たとか」

「売るかどうかはまだ決めてないが……価値があるなら売るぞ」

「それでは立ち話もあれなので店の奥にどうぞ」


 何と言うか無理に丁寧語を使っているのが分かる人だな。

 俺はアセナと共に店の奥に入り、宝石の鑑定室?の様な所に通された。

 そこには近代的な機械が部屋中にあり、何かの実験室の様にも見える。


「どうぞお座りください。今お茶をお持ちしますので」

「はぁ、どうも。あと無理に丁寧に話さなくても大丈夫ですよ?」

「で、ですが……」

「それじゃ俺もため口で話すのでそちらもため口で」


 そう言うとオーナーは息を思いっ切り出すと普通に話し始めた。


「すまないな。気を使わせちまって」

「正直さっきの変な言い方よりは今の方がいい。と言うかこの店じゃ魔石の買取はしてないんじゃないのか?」

「まぁな。普通は鉱山夫達から買い取るのが普通だから持ち込みの買取はしてねぇんだよ。一応規定もあるからな」

「ならなおさら大丈夫なのか?俺から買い取る何て言って?」

「お前を通した店員な、元魔石の研究者なんだよ。今も魔石の不純物を出来る限り取り除く研究をしてる。そのあいつがだ、お前の魔石を買い取ってほしいって急に言って来たんだよ。一体どんな魔石か見せてくれないか?」

「分かった。でもかなり小さい魔石だぞ」


 そう言って俺はさっきの魔石を取り出した。

 何度見てもとても小さな魔石。確かにこれも出来るだけ不純物を取り除いたが、1%ぐらいはまだ不純物が混じってるぞ?

 オーナーはポケットから肩眼鏡を取り出してじっくりと見る。

 まるで宝石の鑑定だな。

 じっくりと見終えたオーナーは椅子に思いっきり寄り掛かってから言った。


「確かにこれはすさまじい純度だ。お前が不純物を取り除いたのか?」

「ああ。スキル頼みのやり方だから教えようがないが、そんなに凄いのか?」

「当然だ。現在のドワーフの最先端の研究所で取り除けているのはおよそ85%程だ。なのにこの魔石の純度は99%、さらにこの綺麗な球を作り出すのも難しい程だ。本当に売っていいのか?」

「だって俺鍛冶職人じゃないし、持ってたって精々宝石代わりに売るぐらいしか思い付かないからな」


 本当はそれ以上の量を持っているが言わない方がいいだろう。しかも鎧に使用した魔石の純度は99.9%

 今手にしている奴から徹底的に取り除いた様な物を見せない方がいいだろう。

 ぶっきらぼうに言うとオーナーは頷いた。


「そう言う事なら遠慮なく買い取らせてもらう。そうだな……白亜金貨3枚でどうだ?」

「白亜金貨?」


 また初めて聞く金貨の名前が出てきた。

 初めて聞くのが伝わったのかオーナーは言う。


「白亜金貨って言うのは大金貨の10倍の価値ある金貨だ。それを3枚で譲ってくれねか?」


 大金貨の10倍…………とんでもない額って言うのだけは分かる。


「そ、そんなに払って大丈夫なのか?この武器屋そんなに売れてるのか?」

「その辺は気にするな。俺は武器屋より宝石店の方が売れてるからな、金はある。それにこの魔石を国に売ればもっと大金が手に入るだろうよ。もしくはこの魔石をそのままティアラやネックレスに加工するのもいい。まぁその場合あいつが全力で止めそうだけどな」


 そう言って扉の方を見るので俺も見て見たらさっきの店員が泣いていた。

 まるでそんな風に使わないで下さい。他に使い道ありますよっと言ってる様な感じだ。

 でもオーナーも無理に金を出している訳ではないのなら問題ないだろう。


「それじゃ売るよ。白亜金貨3枚で」

「よし!買取成立だな!ちょっと金庫から金貨を取ってくるから待ってくれ」


 そう言ってオーナーは部屋から出て行った。

 にしてもあの魔石1つ……いや1粒で白亜金貨3枚か。流出には気を付けておこう。

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