俺の知らない所で問題が起きています
ちょっと真剣な話をした後俺はアセナとユウガを連れて子供達の元へ向かう。
アセナは真祖組のリーダー的な感じなので当然連れて行くし、勇者に関しては子供達へのサプライズ的な感じで連れてきた。
案内をしてくれるメイドは全員居るという部屋に案内してくれた。
「お~いお前ら、いい子にしてるか?」
「あ!タツキ先生!スゲーよこのベッド!スゲー弾む!!」
「ふわふわ!お布団ふわふわ!!」
「こーら、タツキだけじゃなくて他の人も居るんだから落ち着きなさい」
はしゃぐヒカルとトキに注意するのは意外にもアラドメレクだ。
ヒノ先生は席を外しているのか見当たらないが、カエルはソファーに座って大人しく本を読んでいる。
あれって確か魔法の教科書だよな?授業中以外で教科書読んでる奴って初めて見た。
「ヒノ先生は」
「トイレ。それよりその2人は……勇者と誰?かなり強そうだけど」
「その紹介のために来たんだよ。まぁとりあえず分かりやすくこっちの優男が勇者ユウガだ」
「初めまして、勇者をやってるユウガです。こういう紹介久しぶりだな」
何て言うユウガに子供達、特にヒカルとカエルが強く反応した。
「スゲースゲー!!本物の勇者様だ!!」
「あ、あの!僕はヴァロンランドの学校から来たカエルって言います!よ、よろしければ色々とお聞かせ願えないでしょうか!」
「分かった分かった。とりあえず1人ずつ頼むよ」
この反応に勇者はたじたじとなっているが、慣れているのかヒカルとカエルを落ち着かせてから話をする。話と言うよりはヒカル達の質問にユウガが答えるという感じだけどな。
そしてアセナは俺の袖を引っ張てから聞く。
「勇者、大人気?」
「人間から見ればそりゃ大人気だろ。わっかりやすい英雄様だからな。何してんのか俺よく知らんけど」
調べれば出てくるだろうが正直具体的にどんな行動をしているのかはよく分からない。
そうつぶやくとヒカルとカエルは信じられない様な表情をして俺に勢いよく振りむいた。
「タツキ先生勇者様の活躍知らないの!?」
「色んな国や街を守った本物の英雄ですよ!と言うか生きてたら普通にそういう話題を聞きますよね!?」
な、何やら強く言われているが知らないものは知らないし、あの森の中で勇者の噂が入ってくるはずもない。
それに俺とは関係のない所での人助けだった様だし俺が知ることはかなり少ないだろう。
「いや~俺が住んでる所マジで人気ないから。俺たち家族でひっそり住んでる様なもんだからそう言うの届かないんだよね……」
「どんだけ田舎に住んでるんだよ先生。グランドボアとか、悪魔退治とか凄いことしてんだぞ!」
ヒカルは本当に勇者のファンの様だ。ヒカルの熱い演説にユウガの方が顔を赤くしている。
そうしている間にヒノ先生がトイレから帰ってきた。
「タツキ先生。そちらの方々は?」
「ヒノ先生。全員揃ったので改めて紹介するぞ。こちら、勇者のユウガ君です」
「初めましてヒノ先生。僕は勇者をしています、ユウガと申します」
「ご丁寧にどうも。私はアヴァロン自由学園教諭、アオイ・ヒノと申します」
なんか日本人同士の挨拶ってほっとする。
お互いに頭を下げて挨拶するなんてこの世界じゃないからな。基本的に握手の方が多いし。
「で、次の俺の嫁であるアセナだ」
「タツキの妻、アセナ。よろしく」
そう短く言った。
「いや、アセナ?もうちょっと自己紹介的なのあってもいいんじゃない?」
「そう?……私は狼の真祖。かなり強い」
胸張って言うのも可愛いですけどね、他になんかないのかな……
元々おしゃべりじゃなくて無口な方だし、長時間話す事なんて稀な方だけどもうちょいないかな……
そう思っていると真祖と言う言葉に反応できたのはアラドメレクと意外にもヒノ先生だった。
アラドメレクは悪魔だからその辺の知識は持っているとしても、ヒノ先生も知っているとは思わなかった。
人間の場合物語り上の存在としか思われてなさそうだし、知っていても物語り上の存在に憧れているとかそう言うかそういう印象になると思っていたんだが……
ほんの少しの静寂が何故か生まれた後、ヒカルとカエルは俺に向かって滅茶苦茶驚いた表情をしながら言う。
「先生こんなきれいなお嫁さんもらってたのか!本当に!?」
「それ以前に結婚してたんですね……そんな雰囲気感じなかったから知りませんでしたよ」
「あれ?普通に家族がいるって言わなかったけ?」
「てっきり僕は親兄弟の事を指してると思ってましたよ」
あ~そういう考えもあったか。
でもこの世界じゃ成人したら親とは違う家で暮らしてる方が普通だと思うぞ。
そして……いつの間にかアセナを睨んでいるトキを不思議に思う。
アセナの方は涼しい顔でいるが……トキの視線から離れようとはしない。
これあれだ、動物がメンチ切り合っている感じとよく似てる。
……アセナとトキがメンチ切り合う理由って何?
「……あなたがタツキ先生の奥さん……」
「そう。唯一無二の、妻」
「…………」
「…………」
「「…………」」
え、何この状況。アセナとトキの間に一体何が!?
「あ~タツキ。今後相当大変な事になりそうだよ」
「おいユウガ。なんだその悟り切った表情は」
「僕の周りでもよくこういう状況になったから、その前に言っておこうと思って」
ユウガの周りでよくあった?
女同士で睨み合い、ユウガの周りでよくあった……
1つの結論に達しようとしたが俺はないとユウガに言う。
「いやいやいやいや、それはないって。アセナはともかくトキが?子供特有のお父さんのお嫁さんになる~的なただ単に親しい間柄感覚の物じゃなくてか?」
「うん。僕はそう思ってる。ヒジリと僕を狙う女の子との一戦を思い出した」
「いや早過ぎるだろ。だってトキは今年で10歳になるんだぞ?同い年の女の子同士ならともかくアセナと張り合うって――」
「実際今してるじゃん。どっちも引かない攻防戦が」
まっさか~。どうせ今だけだって。
あと5年もしない内に他にカッコイイ男の子と付き合うようになっていつの間にか大人になってるって。
もしかしたらそこにいるヒカルとかカエルと一緒になるかも知れないし。その方が可能性として十分あり得るだろ。
俺とかありえないって。
「そう思うのは普通だろうけどさ……僕の眼にはそうとしか……」
「止めてくれ!事案になりそうなことを言うのは止めてくれ!教え子に手を出す教師ってマジで最悪じゃん!!そう言うのは妄想の中だけで十分なんだよ!!」
エロ同人誌とかそう言うので十分です!現実でそう言う事したいと思った事は一切ありません!!
そりゃ将来トキは美人さんになりそうな雰囲気はあるが……だからって教え子に手を出すなんてな。
とりあえずこれ以上は俺が怖いので無理矢理止める事にした。
「という訳で他にも色々いるが、各リーダー格はこの2人だから何かあったら2人に相談する様に。ちょっと気恥しいって言うのならジャックとアスクレピオスもいる。だから何かあったら遠慮なく相談する様に」
「「は~い」」
ヒカルとカエルは返事をしたが……トキはまだアセナを睨んでいる。
こりゃ先は大変そうだ。




