縹渺たる春(ひょうびょうたるはる)
想いの丈は枝垂れ桜
花びらは宙をなぞり
ほろほろと雨をぬぐう
春が見えにくいのは
雨のせいではなくて
必要なものは存じているのに
空音の陽光はやさしく触れて
光りの中にこそ幸せはあるのだと
池の鯉は水音を響かせる
果たしてそうだろうか
咲き誇るごとに意味をまし
散りゆくごとに意義をさす
幸せとは遷ろうもの
満開である使命は輝き
朽ちてゆく果せる美に
目の前は幽微である
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本当に見えなかったのだろうか
見ていなかったのだろうか
背景がどんなに変わろうとも
実は何も変われないこと
軸であるのは私であり
貴方が変わらなければ
たとえ桜吹雪の中でさえ
花弁は掴めない