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始まりを告げる神器戦と終わりを告げるポリゴン片

セイクリッドソードガール狩りの帰り道。

「荷物を置いていけば命までは奪わないであげますわ」

凉忌の言ったように盗賊が出た。

「だから大人しく荷物を置いていきなさい。……べ、別に置いていかなくても奪うだけだから!」

うわっ…このツンデレ要素要らね……

「殺り会うつもりなのかい?2対22で。僕らは『閃鳥の盗賊団』。PKランキング最上位クラスのギルドさ。平均レベルと女性所属者の割合もトップクラスだね。君達に勝ち目があるとは思えないけど?」

盗賊……というか忍装備の女が言った。

「勝てると僕らは思っているが可笑しいか?」

凉忌が言った。……目が怖いです。

「総員戦闘態勢!A班はあの剣士、B班はあの魔術師を殺れ!」

俺を狙ってくる3人の剣士と一人の戦士。振り下ろそうとしていた剣は、鎖に縛られて止まる。

「ウェポンバインドか!C班は剣士を押さえておけ!D班はC班の援護!あの魔術師を殺る!」

まず凉忌を殺ってから俺を殺ろうと考えたらしい。こいつらは読みを幾つか外している。凉忌は魔術師ではない(凉忌が勘違いさせるために誘導しているようだが)。そして凉忌の狙いは自らが切りかかられること。凉忌の2つの神器が牙を剥く。

A班、B班……あとはE班だろう、は凉忌に斬りかかる………もその剣は1つも届かない。厳密にいえば剣が届かなくなってしまったのだ。

凉忌の神器、「化学反応の白衣(White coat of Chemical reaction)と組成判別眼鏡(Discrimination composition glasses)」前者は白衣が触れているものを用いて化学反応を起こす。後者は元素の組成を判別する。このゲームの神器の特徴に倣って弱点がある。前者は触れている物質しか使えない。後者は組成しか見えなくなる。そしてどちらも知識があってもまともに扱えない(普通は知識から微妙)上に自らも反応に巻き込まれ兼ねない。

凉忌は白衣の内側を魔法の鞄と繋ぎ、触れている物のみの条件をクリア。レンズを片方のみにすることで組成もクリア。あと2つは凉忌の実力によって保たれている。

「なっ………」

「剣が………」

「退いて!私がやる!神器解放・『飛刺鳥槍』!」

すると彼女の持っていた槍?が光り、その先から鳥のような光が飛ぶ。凉忌を狙った刺突を凉忌は簡単に避け……切れなかった。かすった。突きの光が曲がったのだ。そしてその光が上昇。180°回り再び凉忌を襲う。凉忌の方は流石というべきで2度目はかすることなく、難なく避けてみせた。

「こうなったら、コンビネーション、行くよ!ターゲットはあと一人の方!」

「了解!神器解放・『残刺雷符』!」

凉忌ではなく俺の方に飛んでくる刺突の鳥。

「カミツキ!魔法はアンチ及びパフのみ!あれを引き付けて!その間に決着を付ける!」

了解だ。凉忌。

そう心の中で呟き走る。あの鳥は刺突。そしてあの札の力は刺突の軌道に雷撃を停滞させる。みたいだ。札の弱点は多分MP消費量だろう。剣士が使うと保たない。かといって魔法使いは刺突可能武器を装備出来ない。あれはエンチャントと神器の併せ技と神器の併せ技だろう。

凉忌は多分、あともう一人の神器の弱点も得ているのだろう。……そういえば、先程から鳥は1羽だけである。1羽しか飛ばせないとかそういった弱点だろうか。凉忌の攻撃魔法禁止令から、魔法の魔力を奪ったり消したりする力を持っているとも推測できる。そもそも、なぜ凉忌がそんな弱点を知っているのかはわからないのだが。

(ならばっ……)

狙うのはあの鳥が正面から来た一瞬。

「中々しぶといわね………これで、どうかしら!!」

槍から放たれた鳥は先程よりも速い。普通ならそう選択する。だが、その時を待っていた。

「神器、 力を返す鏡!(エネルギーミラージュ)!」

この神器の特性は盾に当てた神器を除くの攻撃をそのままの威力で跳ね返す。ただ、盾は小さい上に、止めて、同じ威力で返す、つまり、反作用が2倍になり返ってくる。

――だから。

鳥の横を掠めるように動く。鳥も追ってくるが慣性によって追い切れない。

盾を後ろから当てる。鳥はその力を増し、加速する。もう、簡単には曲がれない。

そして、俺は倍の力で加速する。

加速し、宙を舞う。

切りかかろうとすると、隣の盗賊がレイピアを構える。

(しまった………)

「………させない。」

凉忌の声が聞こえたような気がした。途端、足場が消え、レイピア使いも、鳥の槍使いも体勢を崩す。俺の足元も無くなってはいるが、既に宙にいる以上、関係ない。

(ナイスアスシト!)

凉忌に伝わったかどうかは分からない。だが、それでも良い。

俺は剣を右手で左から振り抜き、武器を弾く。それでもさっきの速さは止まらない。

振り抜いた剣に左手を添えて、手首を返し。

右上段から、思い切り振り降ろした。

着地する音と、ポリゴンに変わる音が、そこに響いた。

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