Story5 ブチ切れました。2
最近文が短いです。すいません。
ミッシェルが泣きながら走り去ったのを、俺は追いかけはしなかった。
「ただいまー」
帰ってきたら絶対言う言葉を言い、玄関に入る。
因みにこの世界では靴は脱がない。
少し抵抗はあったが、地球の外国も靴を脱がず家に入るので受け入れた。
「あら、ジンお帰りー。ねぇ、ミッシェルが泣きながら帰ってきたんだけど何か知らない?」
リビングに入るとおっさんの奥さん、ローレルさんが声をかけてくる。
そしてローレルさんは、泣きながら帰ってきたミッシェルについて質問してくる。
そう俺がミッシェルを追いかけなかった理由は、ミッシェルの走り去った方向が家だったからだ。
「うーん……しらないよ?」
ミッシェルの現状を素直に話すと、ローレルさんは恐らく倒れるだろう。
だから俺は知らないふりをする。
まだ五年しか家族になっていないが、この家の人達は俺に優しくしてもらっている。
勿論家族だからだろう。
なので家族には余り迷惑をかけたくない。……勿論おっさんにもだ。
夜おっさんが、仕事が終わって帰ってきた。
そしてミッシェルはあれからずっと自分の部屋にこもっている。
一度ミッシェルの様子を見に行こうと思い、ミッシェルの部屋に行く。
するとドアの向こうから、ミッシェルの泣いている声が聞こえた。だから何もせず、暫くその場に立っていた。
自分に何ができるかを考えるために。
……でもやっぱりこれしか思い浮かばないな。
「お父さん。大事なお話があるんだけど、僕の部屋に来てくれる?」
覚悟を決めておっさんに話があると言い自分の部屋に来るように言う。
「んー? 何だ? 好きな人でも……。わかったよ。今行く」
おっさんは途中までふざけると、俺の目を見て態度を変える。
それ程俺の目は真剣だったんだろう。
そして俺の部屋に入りおっさんは椅子に座る。
「で、何だジン話って。……まぁ、恐らくだが……ミッシェルの事だろう?」
さすがおっさん、勘が鋭いな。
逆に鋭すぎて、じゃっかん怖いけど。
だがそんな事はどうでもいい。俺が今やる事は
「僕を一週間でもっと強くして」
おっさんに稽古をつけて貰う事だ。
おっさんはこの村で一番強いと言っても過言ではない。
だから俺はおっさんに、今より強くなる為に稽古をつけて貰おうと思ったのだ。
「まぁ、まずは話をしてみろ」
「うん」
それから俺は全てを語った、ミッシェルが苛められてる事、その理由。
そして俺が何て呼ばれてるのいかを。
「……良し、この村を焼き払うか」
「だめだよ!? お父さん本当にしそうだから絶対だめだよ!?」
「冗談だよ。……いや冗談じゃないな」
「…………」
「なるほどな、まぁ大体の理由は分かった。だけど、何でジンが強くなりたいんだ? 自分の所為だと思ってんのか? だったらそれは違う、ジンの所為じゃない。それに俺はやろうと思えば、ミッシェルを苛めた糞餓鬼共、お前を『黒髪』とか言ってる奴らを殺す事ができるんだぞ?」
おっさんは完全に怒っている。
だから俺がやらなきゃいけないんだ。
「だから、僕が強くなるんだよ。前に話してたよね? お父さんがこの村に来た理由って、冒険者の依頼でこの村の護衛で来たって、しかも今もその依頼は続いてるって。だから村の人達には手を出せないでしょ?」
「そんなの関係ない……って言ったら?」
「僕が全力で止める」
「……ジンには無理で、無駄だったとしても?」
「たとえ無理で、無駄だったとしても。全力で」
俺とおっさんは暫くの間見つめあった。
別に変な意味ではない、どちらも引かないってだけだ。
そしておっさんは俺が引かないのに諦めたのか、観念した様にため息を付く。
「はぁ……分かったよジンを強くしてやる」
「ありがとうお父さん!!」
しかし良かったと思ったのも束の間。
おっさんの次の言葉で、俺の思考は停止した。
「それで? お前は誰だ?」