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Story30 嫌な予感です。

本当にすいません。遅れました。

 『キギャァァァア!』


 依頼の『ゴブリン五匹の討伐』の内の四匹目を倒し、五匹目を探しに森の奥に進む。 

 普通ゴブリンは団体で移動するのだが、何故か出会うゴブリンが全員単独で森を徘徊しているのだ。

 因みに、スライムを倒せなかったあの後、ゴブリンを探しに森に来ている。

 この森は中央に大きな山があり、その周りに広がる様に森が形成されている。

 

 「良し、五匹目を探しに行こうか。……あ、そうだちゃんと経験値って入ってる?」

 「問題ないぞ、主」

 「私も大丈夫だよぉ」


 一匹目のゴブリンを倒した時に、ルナに教えて貰ったことだがパーティーを組んでいる人同士で魔物やモンスターを倒した時に手に入る経験値は共有されるそうだ。

 因みに、ルナのLVは22でステータスも平均らしい。

 どうにかしてステータスを上げられないかな、俺の『固有ユニークスキル創造クリエイション』で。

 

 「ま、とりあえずゴブリンを探しに行くか」

 「だが、これより奥に行くのは危険なんじゃないか?」

 「ん? そうなのか?」

 「うむ。森の奥の『ヒュージュ山』の近くに行けば行くほど魔物やモンスターに出会う確率も多くなり、強さも比較にならないほど強くなる。しかも奥地には、土属性の龍『峰山龍』がいると聞いた」

 

 『峰山龍』は俺が倒した『光聖龍』と同じ様なもので、『世界図書館ワールドライブラリー』によると、龍には魔法と同じ様に属性があり『光聖龍』は『光魔法』と同じ『光属性』。『峰山龍』は『土魔法』と同じ『土属性』だそうだ。

 しかも火・水・風・土・光・闇がいて、龍はどれも『光聖龍』と同じ様に不死身だそうだ。

 だから、そんな面倒臭い龍を相手にしている暇はない。

 

 「んじゃ、ここらでゴブリンを探すか。……おっ、噂をすればなんとやら」


 目の前の繁みがガサガサッと揺れ、その繁みの中からゴブリンが出てくる。

 そしてゴブリンがこちらに気が付くと、その緑色の瞳をギラリと光らせ俺たちに襲いかかる……事はせず森の奥に向かって叫びだした。


 『キギョォオアア!!』


 「やばい、仲間を呼ばれた!」

 「囲まれるぞ!」

 

 ゴブリンはその醜い見た目とは裏腹に結構な知能があり、初心者の冒険者が何人もゴブリンにやられている。

 今まで出会ってきたゴブリン達は皆、単独だったから油断していた。 

  

 「もうすでに囲まれてるよぉ」

 「それにしちゃあ、数が多すぎやしねえか?」

 「ざっと、三十はいるな」


 手前に剣や槍を持ち構えていて、後方に弓と杖を構えているゴブリンがいる。

 まるでパーティーメンバーみたいだな。

 

 「ま、関係ないけど。ルナ、姉さんちょっとしゃがんでくれる?」

 「了解だ」

 「うん」


 俺に各々返事をし、その場にしゃがむ。

 そして俺は『無限倉庫アンフィニハウス』から『黒蝶』を取り出す。

 さらに取り出した『黒蝶』の黒い刀身に、水魔法と風魔法を使い超高圧の水と風を纏うように付与する。

 そして、ゴブリンと周りの木々ごと切るように回転切りをする。

 『黒蝶』の長さは約三メートルだが、水魔法と風魔法の付与がゴブリンの後方まで届く程の長さになっている。

 だが俺が切ったのは木々と数匹のゴブリンだけで、殆どのゴブリンは切れていなかった。

 なんとゴブリンは俺の回転切りの速度についてきており、上に跳躍し避けていた。

 

 「んなっ……!?」

 

 思わず声が出る。

 まさか避けられるとは思わなかったからだ。

 そしてゴブリンは俺の隙を見逃さず、攻撃を仕掛けてくる。

 

 「くっ……!」

 

 周り全体からの攻撃を避けるために、ルナと姉さんを抱え上に跳躍する。

 攻撃するはずの対象が、いきなり消えた事に動揺するゴブリン達の上から、俺とルナと姉さんの全員で攻撃する。

 手前にいた近接系のゴブリンをあらかた倒したが、まだ弓や杖を構える後衛系のゴブリンは倒せていない。

 周りの木々は切られているので、『黒蝶』を振り回しても木に止められ事はない。追い打ちをかけるように『黒蝶』で切りかかる。

 がしかし、その攻撃は受け止められた。

 ……!? 俺のステータスより上の奴ってことか!?

 『黒蝶』を受け止めていたのは、ゴブリンを巨大化したした後、肥えていながらも筋肉がついている姿をしている『ゴブリンキング』だった。

 

 「ゴブリンキング!?」

 

 ゴブリンキングが現れた事に驚いたのではなく、ゴブリンキングが俺の攻撃を受け止めたことに驚いたのだ。

 どういう事だ? ゴブリンキングは確かに普通のゴブリンよりは強い。

 だが少なくともモンスターランクでは、ゴブリンはEランク、ゴブリンキングはCランクだ。

 あ、因みにモンスターランクは冒険者ランクと同じ様な感じで、SSが一番強い。

 だからゴブリンキングが俺の攻撃を受け止められる訳はないんだが……。

 

 「これ、やばいんじゃね?」

 

 ゴブリンキングがニヤリと笑い、『黒蝶』を受け止めている唯の棍棒を俺にぶつける。

 ぎりぎりよけるが、ゴブリンキングは追撃をしてくる。

 

 「何で、こんなに、素早いんだよッ!」

 「主! ゴブリンは私達に任せてくれ!!」

 「気を付けろよッ! たぶんそっちのゴブリンも、普通の強さとは大分違う筈だ」

 「了解だ!」

 「分かったよぉ」


 ルナと姉さんにゴブリンを任せ、ゴブリンキングとの戦いに専念する。

 右腕の棍棒を避け『黒蝶』で切るが、ギリギリで避けられる。

 そして、左腕の拳を腕で受け止める。

 しかしゴブリンキングの攻撃は想像以上に重かった。

 

 「クッ……!」


 『グオオァァ!?』


 「うおらぁ!!」


 俺が攻撃を受け止めた事に驚いたのか、一瞬の隙ができる。

 そしてその隙を逃さず『黒蝶』でゴブリンキングの頭を切る。

 

 「ふぅ……ルナ達は?」

 「大丈夫だぞ、主」

 「私も怪我はないよぉ」

 「そうか、よかった。それよりこの事ちゃんとギルドに報告した方が良いよな?」

 

 元ギルド職員のルナに聞く。

 ルナはその紅眼を細め、険しい表情にし顎に手を当てる。

 

 「うん、確かに報告した方が良いが、この様な事例は今までに……」

 「ま、とりあえずギルドに行こうか」


 そういって依頼達成とゴブリン達の行動、ゴブリンキングの強さを報告しにしギルドへ戻った。

 

 嫌な予感がするな……。

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