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Story20 旅立ち。

 只今、俺の年齢は『十五歳』です。

 隣村の隣村に引越した後、何も無かったので飛ばしました。

 はい。申し訳ありませんでしたぁぁーー!!

 本当に何も無かったし。この村おばさんとおじさん、お婆さんとお爺さん。

 後ちょっとの男の人しかいないから、女の子とのキャッキャウフフは無かった。

 そして今日!! 七歳から十五歳まですごしたこの村を出発します!

 なので今現在、俺は村の出口に立っている。

 荷物はこの村に引越した時と違って、『無限倉庫アンフィニハウス』に入れてある。


 「ジン、忘れ物は無い? お弁当は持った? 水筒は持った? 救急箱は?」


 俺の目の前にいるお母さんが、物凄い心配をかけている。

 一応確認しておくか。えーっと……うん全部ある。


 「全部ちゃんと持ってるよ、お母さん。後、救急箱は『回復魔法ヒール』があるから大丈夫だよ」

 「でも、もしかしたら『回復魔法ヒール』で治らない傷とかがあるかも知れないでしょう?」

 「俺の『回復魔法ヒール』で治らなくても、ねえさんの『回復魔法ヒール』があるから大丈夫だし、『回復魔法ヒール』で治らないんだったら救急箱でも無理でしょ」


 そう姉さん……ミッシェルは言った通りに、俺と一緒に冒険者になるらしい。

 しかも姉さんの『回復魔法ヒール』は現在『LV9』だ。俺の修行の傷や、村のお年寄りの腰痛とかを治していったら何時の間にかなっていたらしい。

 因みに今は、親父と姉さんを待っている所だ。

 それにしても遅いなぁ。


 「ジンくぅ~ん!!」

 

 姉さん達を待っていると、手を大きく振って走ってくる女の子の姿があった。

 その女の子は、遠めでも分かるほどの胸の双丘。

 少しウェーブのかかった、腰まで伸びる金髪。

 声音は少しおっとりしているが、それが逆に大人の色気を出している。

 果たしてその正体は!? 

 

 「ごめんねぇ、ジン君。荷物が思ったより多くてぇ」

 「ううん、大丈夫だよ姉さん。それで、その多い荷物はどこ?」


 はい。ミッシェルこと、姉さんです。

 八年の間に、見事な大人の女性になりました。

 因みに姉さんは現在、十七歳で俺の二個年上です。


 「うん。お父さんと村の人にお願いして、持って来て貰ってるのぉ」


 姉さんが、後ろの方を指差して答える。

 姉さんが指差した方を見ると、そこには親父と村の男の人達が、荷車に載せてある大量の荷物を運んでいた。


 「何あの量……」

 「ちょっと、ジン。すまないけど、こっちに来て『無限倉庫アンフィニハウス』に入れてくれないか?」

 「お、おう。分かった」

 

 辛そうな声を出す親父の元に駆け寄る。

 親父のあの筋肉でも重いのか、どんな物を荷物に持っていくつもりなんだ、姉さんは。

 

 「ふぅ、とりあえず全部入ったな。……しっかし、良くその細腕でこの荷物を持てるな」

 「まぁね」

 

 俺が『無限倉庫アンフィニハウス』に姉さんの荷物を全部入れ終わると、男の人が話しかけて来た。

 この八年で俺の『ステータス』はLVアップで成長したり、 『曙の女神の加護』の能力で朝日を浴びてHPが上がったりしたからな。後はこの村を何回か、盗賊や『魔物』が襲ったりして来たのを迎撃したりしたからな。

 でも、俺の『ステータス』はまた今度です。

 あ、『魔物』って言うのは自然にいる動物達に魔力がある固体や、突然変異によって生まれた動物のことだ。

 『魔物』は主に『魔界』という所にいるらしい。

 因みに『神界』があれば『魔界』もあり、『神』がいれば『魔王』や『邪神』もいるとの事だ。

 まさにファンタジーですね。

 

 「さて、行きますか!」

 

 俺がそう言うと、姉さんが頷く。

 

 「なぁ、ジン。本当に馬車じゃなくて良いのか? 『王都・グラリア』までは結構あるぞ?」

 

 親父が、俺に聞いてくる。

 俺と姉さんがこの村を出発し、向かう場所は『王都・グラリア』という場所で、この国の王都だ。

 俺と姉さんはそこに行き『冒険者ギルド』で冒険者登録をするのだ。

 

 「大丈夫だよ。歩いていきたいし、『魔物』とかなら余裕で倒せるしね」

 「うん。私もそう思う」

 

 姉さんも俺の意見に賛同する。 

 

 「そうか……じゃあ行って来い! 我が息子と娘よ!!」

 「何かあったらすぐ戻って来て良いのよ?」

 「俺たちも待ってるからなぁ!」

 「行ってらっしゃぁい」

 

 親父とお母さん、村の人達に送られる。

 ……こういうのは苦手だな。泣きそうになる。

 横の姉さんを見ると既に泣いていた。


 「姉さん。また戻ってこれるんだから、涙はだめだよ」

 「そうだぞミッシェル。まぁ、戻ってくる時は凄い冒険者になって戻って来いよ」

 「グスッ……グス……。分かっ、た。……行ってきます!! 皆、病気や怪我には気をつけてね」


 まだ少し、目元に涙がある姉さんが元気に言う。

 そして俺たちは、村の出口から『王都・グラリア』に向かって出発した。

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