Story2 行って来ます異世界
ちょっと長くなりました。
「……はい?」
え、『深海』? ここって海の底なの?
うそ。俺今海の中にいたの?
……あれ?でも俺ちゃんと息できてるぞ?
まさか、竜宮城!?
「すみませんが、あなたが今考えてる事は無いので」
「……ですよねー」
「もう一度言います。ここは『神界』。神々の世界です」
「という事は、貴方は……女神様?」
「はい。私は女神アウロラと言います。そしてあなたは刹那刃ですね?」
はい、女神様でしたー。
大丈夫かな?俺神様相手にタメ口だったんだけど……。
まぁ、いいか。別に怒ってなさそうだし。
そして俺の自己紹介が無くなった。
「女神様。俺は何故ここに?」
「はい。単刀直入に言わせて貰います……」
女神アウロラは一度口を閉じ、十分な間を開けた後また口を開いた。
……その瞳を一瞬、悲しい色にして。
「あなたは死にました」
……………………。
物凄いカミングアウト来たーーー!!
え、やだやだ怖い怖い。
いや死んだ事に対して怖いんじゃなくて、何か別にどうでもいいと思ってる自分が怖い。
……まぁ、いいか。……いいのか?
うん。考えるのはやめよう。
「……因みに、俺は何で死んだんだ?」
考えるのはやめようとは言ったけれども、自分が死んだ理由は気になる。
死ぬ瞬間の記憶が無いからだ。
「やはり、覚えていませんか」
「ああ。死ぬちょっと前かな?と思う記憶はあるんだけどな」
「……分かりました。あなたは女の子を助けようとして死にました」
「? それってトラックとかに轢かれそうになった所を助けたとか?」
「いえ、人間はあの鉄の塊……トラック?の速さから身を挺ていして守る事は出来ません」
「それはどういう?」
「人間の速さでは、その女の子を助けるのは間に合わないという事です」
ああ、なるほど単純に間に合わないって事か。
それに仮に間に合って女の子に近づけたとしても、自分ごと巻き込んで死ぬな。
うん、アニメやラノベの様にはならないって事か。
「じゃあ助けたというのは?」
「いえ正確には助けていません」
「ど、どういう事なんだ?」
「貴方は夜小さな店から家に帰る途中で、ある女の子に出会います」
小さな店というのは恐らくコンビニの事だろう。
「その女の子はあなたに『助けてください、男達に追われてるんです』と言います」
……何そのテンプレ。
「まさか、その男達から女の子を助けられないで殺されたとか?」
「いえ。女の子が『私絶対ばれない所を知ってるから、そこまで護衛してください』と言い。あなたはそれに頷きついて行きます」
ふむふむ。それで?
何か俺の事なのに、本を呼んでもらってるみたいだ。
「それで、女の子はあなたを路地裏に連れて行きます」
……んん?
あれ、雲行きがおかしいぞ?
「路地裏につれていかれたあなたは『真っ暗で先が見えないから先に行って?』と言われて女の子の先を歩き、不意打ちで後頭部にバットを叩き込まれます。やった犯人は勿論その女の子です」
おおっと、凄い展開になりました。
まさかの裏切り。
「ああいえ、裏切りではありません」
「どゆ事?」
てかちゃっかり俺の心読んでるし。
「最初から女の子の計画です。あと心を勝手に読んですいません」
「金が目的だったのか? そして別に全然大丈夫です。やましい事は考えていないので」
「お金が目的ではなく、標的はあなたですね。あと、結構な勢いでやましい事考えてます」
「それは俺に恨みがあったとか? ……そしてやましい事を考えたのは本当に女神様が心を読めるのか、試させて貰ったんです」
「まぁ、そのような感じですね。同級生の男の子の好きな人が、あなたの事を好きでは収まらない程愛している事に嫉妬して、殺し屋に殺害を頼んだようです。あと、女神を疑うと……罰が下りますよ? それはもう恐ろしい程の罰が」
「本当にすいませんでした!」
俺はすぐさま土下座した。
女神の罰なんて洒落にならないからな。
「ふふ、冗談です。顔を上げてください」
あれ? 今笑い声が聞こえた様な。
言われたように顔を上げて恐る恐る女神の顔を見ると、笑っていない普通の真顔だった。
くっそ! 笑顔が見れなかった!!
「それにしても殺された事に対しては何も感じないんですね?」
「あ、はい。死んだことより、本当に殺し屋なんているんだと思いました」
「そうですか。因みにその殺し屋の女の子と、あなたに嫉妬した男の子は死にました」
「え? 何で?」
「先ほど言ったあなたの事を好きでは収まりきらない程愛している人が、あなたの死に悲しんで何故死んだのかを徹底的に調べ上げ、あなたを殺した殺し屋と男の子を殺しました。凄いですねこの女の子、警察でしたか? の調査
が難航なのにたったの三日で犯人を導きましたよ」
なにそれすげぇ! 警察より早く犯人見つけるとか、凄すぎるでしょ。
それにしてもその男の子と殺し屋は可哀想に地獄行きだなきっと。
……まって? そういえば俺って『神界』って所にいるんだよな?
地獄か天国に行かないのか?
「なぁ、何で俺この『神界』にいるんだ? 天国とか地獄とかは?」
「天国は十年前に閉鎖しました」
「……はい?」
「今は、天国に行く人は地獄で特別待遇として招かれます」
「その特別待遇って?」
「地獄に来た者に罰を与えられます」
うわぁ、俺もその一人なのか?
特別待遇ってのはやりたくないなぁ。
そして行きたくねぇな。
「なぁ、俺も行かなきゃダメなのか?」
「いえ、あなたは地獄には行きません」
「どういう事なんだ?」
「あなたは生前、多くに人を助けました。いえ、人だけではありません。動物に虫、そして神も助けました」
「へ? 神様を助けたことあんの? 俺」
「はい。神を助けた事があります。助けた時の記憶は消されていますが」
なんという事だ。
記憶を消されているとはいえ、神様を助けたことがあるとは。
「それで、俺がここにいるのと何か関係があるのか? 」
「先ほども言いましたが、あなたは多くの者を助け神も助けました。なので、本当は天国に行く筈だったのですが天国は閉鎖しているので地獄に行く事になるんですが。それでは恩返しとしては少ないので神々で相談し全員満場一致で」
満場一致で?
というか俺の事で、物凄い事になってんな。
そんな凄い事をしたのか、俺は。
……女神様ためるなー。
「言います」
「あ、はい」
俺の心を読まれていたらしい。
「満場一致で異世界転生に決まりました」
「……はい?」
あ、終わりませんよ?
前回とは違います。
……? 何のことだ? 自分でいっててよく分からん。
「という事で早速異世界に転生してもらいます」
「え、いやちょっと待って」
「待ちません。時間ももう無いので、すぐに行ってもらいます」
「これだけ、これだけ言わせて!」
「何ですか?」
「そこでは自由に生きていいのか?」
「比較的自由です。その世界は剣と魔法の世界で、王様もいれば奴隷もいます。しかしその世界ではやって貰う事があります。実はその世界の神々は、他の神々と余り連絡をとらないのです。なのでその世界を回って神々にあってもらいます。それ以外なら自由です」
なるほど、結構楽しそうだな。
よし行ってみるか。
「因みにその世界の神は十二柱、つまり十二体いる神に会いに行ってください。そして出来るだけ多く連絡をとるようにと言って下さい」
「分かった。任せてくれ」
「それでは、良い異世界ライフを」
そう言うと同時に俺の全身が光に包まれる。
そして女神様の顔は満開の笑顔だった。
よっしゃ良い笑顔を見れた、それとめっちゃ綺麗だな。
そこで俺の意識は途絶えた。
次回から異世界です!!乞うご期待。