Story17 私の話です。3
『きゃぁああああああ!』
「悲鳴?」
家の外から女性の悲鳴が聞こえた。
それも結構近くから。
それにこの声は聞いた事が……
「お母さん!?」
お父さんも勿論、親の悲鳴なんて聞いたことは無い。
だから、誰の悲鳴か一瞬分かんなかった。
「聞こえたのは、庭の方!」
私の部屋の窓は、真下が庭なのですぐに窓を開ける。
庭では、ジン君とお父さん。そして庭にしりもちをついているお母さん。
お母さんは怯えているのではなく、信じられない物を見るかのように庭の先を見ていた。
良く見ると、お母さんだけではなく。ジン君とお父さんも険しい顔で同じ所を見ていた。
視線の先を恐る恐るたどる。そして、視線の先には何人かの人影があった。
その人影の正体は、
「き、キントくん!?」
村長の孫のキントくんだった。キントくんの他にも、私を苛めていた全員がいた。
そして、キントくんは刃物をお母さんに向けていた。
『おめぇら……ここから生きて帰れると思うんじゃねぇぞ?』
お父さんの声が聞こえる。
でも、お父さんの声だとはすぐには分からなかった。
お父さんを見るとそこには、何か黒い物がお父さんの体に纏わり付いていた。
「ヒッ……!」
思わず窓から手を離し、腰を抜かしそうになる。
でも、腰を抜かしている暇じゃない。
ここからでは顔は見えなかったが、恐らく怖い顔になっているだろう。
私は部屋から出て走り出し、すぐに庭に出た。
庭に出た瞬間、何故か気を失いそうになる。
「お父さん……っ!」
だけど何とか踏みとどまり、お父さんに近づき、後ろから抱きしめる。
『~~~~~! ~~~~!!』
ジン君が何か叫んでいるが気を失いそうだからか、うまく聞き取れない。
言わなきゃ、私の覚悟を。私は大丈夫だからと、頑張って自分でするからと。
心からの声を叫ぶ。
「お父さん……っ! 私なら大丈夫だから! 私の事は自分で何とかするから!! お母さんも怪我してないから……っ。だから……だから元に戻って!!」
そう私がお父さんに伝えると、お父さんの体に纏わり付いている黒い物が消えていく。
お父さんが、抱きしめている私に気が付く。
「……っ! ミッシェル!?」
元に戻ったんだ、よかっ……た。
体から力が抜け、気が遠くなる。
そこで私は気を失った。
「うぅ……」
眠っていたんだろうか、目が覚める。
しかも頭がガンガンして痛い。
「……ッ! あなた、ミッシェルが気が付いたわよ!!」
「起きたか!」
お父さんとお母さんの声が聞こえる。
両親の声を聞いて、脳が覚醒した。
そうだ私は気を失っていたんだ。
お母さんとお父さんの声が聞こえたという事は、二人共無事だったんだろう。
でもジン君の声が聞こえない。
寝転がっている体制だから、うまく回りは見えない。
「よいしょ……っつ!」
上半身を起こすと頭に激痛が走った。
「大丈夫? あんまり無茶しちゃだめよ?」
「ううん、大丈夫」
お母さんが心配してくれるが、私は大丈夫と言って回りを見る。
どうやらまだ庭にいるらしい、私は芝生の上に寝転がっていたようだ。
目の前には、お母さん。少し離れた所で、お父さんが何かをしていた。
お母さんとお父さんは、見つけたがジン君が見えない。
「……ジン君は?」
「ふふ、ジンならそこよ」
お母さんはそう言いながら、私の後ろの方指差す。
ゆっくりと無理をしないように、後ろを見る。
そこには全身ボロボロの仰向けの状態で、ジン君が横たわっていた。
「ジン君ッ……!」
「落ち着いてミッシェル。ジンなら大丈夫よ」
「でもあんなに、ボロボロ……」
「服だけよ。大怪我だったけど、お父さんが回復魔法で直したわ」
「良かったー……」
でも何であんなにボロボロ何だろう?
私が気を失っている間に何が……?
「ふふ、ミッシェルが気にしている事は後でお父さんとジンから聞くから。二人で聞きましょう? ……じっくりと」
「お、お母さん顔が怖い……」
「あら、ごめんなさい。私とお父さんはまだ薬を調合しなきゃいけないから、ジンの事見ててくれる?」
「うん」
ゆっくりと体を起こし、ジン君の元に近づく。
近くで見ると確かに、ボロボロだったのは服だけだった。
顔は何かを成し遂げた様に、すっきりとした顔で寝息を立てていた。
「膝枕で良いかな……? ふふ、起きたらジン君びっくりするだろうな」
ジン君の傍に座り、膝枕をする。
黒い髪がさらさらとそよ風で揺れていた。
そっと髪を撫でる、すると後ろからお父さんに呼ばれた。
「ミッシェル」
「何? お父さん」
「これをジンに飲ませてやってくれ」
そう言いお父さんが、小さい器に入った黄色の液体を渡してきた。
「これは?」
「それは薬だ。見た目は大丈夫そうに見えるが、もしかしたらと言う事があるからな」
「うん分かった」
私はジン君に薬を飲ました。
寝ているから、苦労したけど何とかできた。
暫くすると、ジン君が目を覚ました。




