Story15 私の話です。1
ミッシェルの話です。女の子の過去は難しかったです。
私。ミッシェルが四歳の時に、黒髪の小さな赤ちゃんが家族になりました。
その子の名前は『ジン』と言い、お母さんとお父さんが考えてつけた名前だそうです。
四歳の私から見ても小さくて、とても可愛かったです。
私が八歳になり、ジン君が四歳になるとお父さんがジン君に修行をつけました。
何時も庭でお父さんと修行をしているジン君は、何時もボロボロになって帰ってきます。
至る所に擦り傷や切り傷があり、危ない事はやめて欲しいと思いました。
お父さんがジン君は本当の家族じゃ無いと言いました。
でも私は、そんな事は関係無いと思いました。
そしてその頃からジン君は家の外に出ていいようになりました。
それからです。ジン君の黒髪と黒目は、珍しいどころではなくそんな色は無いらしく。村の皆がジン君の事を呪われた子と言い、『黒髪』と言う様になりました。
そして村長さんの孫の『キント』くん達が、ジン君の悪口を言っている所に出くわしてしまいました。
大事な家族の悪口を言っているキントくん達に、私は怒りました。
「ジン君の悪口を言うのはやめて!!」
私は怒りのあまり、キントくん達に叫んでいました。
私の声にキントくんは怒ったのか、私を睨み近づいてきました。
「……お前ってさぁ、黒髪の姉貴だよな? こっち来ないでくれる? 呪われちゃうから」
「ジン君も私も何も悪い事してない!!」
「うるせぇな、おじいちゃんが最近腰が悪くなってさぁ。あの黒髪の所為だって言ってんだよ。だから黒髪の家族にも呪い力があるから近づくなって」
「うそだっ!」
あんなに優しかった村長さんがそんな事を言うはずが無い。
それに私達に呪い何て無いのに。
「うそじゃねぇよ。……あーイライラする。コイツボコそうぜ」
「えっ……? でもそんな事したら怒られちゃうよ?」
「大丈夫だよ。こいつ等の事をボコして怒る人なんていないよ」
そんな嫌な事を言いながら、私に近づいてくる。
そしてその日からキントくん達のいじめが始まった。
その時に私は恐怖を覚え、こう思ってしまった。
ジン君の所為なのに、……本当の家族じゃ無いのに。
私が九歳、ジン君が五歳になった頃。約一年間隠して来た虐めを、ジン君にばれました。
ジン君は五歳とは思えない速さで走り、キントくんを殴りました。
でもあんまり痛くなかったらしく、直ぐに立ってどこかに行ってしまいました。
ジン君が私を心配して、近づいてきて私に触れようとした時。
今までの溜め込んできた思いと、ジン君の所為でなった事に、感情が溢れ出してしまい。ジン君に酷い事を言ってしまいました。
「あっち行って!! 誰のせいでこうなったと思ってるの!? 本当の家族じゃないくせに!」
「本当の家族じゃ無いのに……どうして……うぅっ」
「ジン君なんて……ジン君なんて、いなくなっちゃえばいいのに!!」
そう言って私は家に帰り、部屋に閉じ篭りました。
泣き疲れて、何時の間に寝てしまったのか外はすっかり暗くなっていました。
「……ジン君に酷い事言っちゃったな。……でもジン君が悪いんだから」
私が部屋で泣いている時に、誰かが部屋の前にいた気がするけど。多分ジン君だよね。
やっぱり謝った方が良いのかな……。
ぐぅぅううう。
「……お腹空いたなぁ」
できればリビングに行って、ご飯を食べたいけど。ジン君とどう顔を合わせれば良いか分かんないから、後でこっそり食べよう。
ぐぅぅぅうううぅぅうう。
「………」
結局今食べに行く事にしました。
リビングに行くと、お父さんがいました。
「あれ? ……ジン君とお母さんは?」
「お母さんはお風呂、ジンは……ちょっと用事」
? こんな夜遅くに何処に行ったんだろう。
まぁ、でも帰ってくるよね。
「ミッシェルはご飯か?」
「うん、お腹空いちゃって」
「……そうか」
何だろう今の間。
もしかして、私が部屋に篭ってた理由が知りたいのかな?
「……なぁ、ミッシェル。少しお話しようか」
「なぁに? お父さん」
「家族は好きか?」
「……ッ! す、好きに決まってるじゃん」
「そうか。じゃあ、ジンの事を嫌いにならないでくれ」
「は、ははは。嫌いになるわけ、ないじゃん……」
お父さんが天井を見ながら、話す。
「ジンもミッシェルも、悪くないのになぁ」
「そ、それってどういう……?」
背中に嫌な汗が流れる。
お父さんは天井から、私に顔を向け。
「ジンから全部聞いたよ。……今まで辛かっただろう? 良く頑張ったな」
お父さんからその言葉を聞いたら、頬に何かが伝った。
涙だった。
今まで、辛かった、不安だった、痛かったなど。全てが溢れ出し、私はまた泣いてしまった。
「う、うわぁぁぁん!!」
お父さんに抱きしめてもらい、落ち着く懐かしい中、私は結局ご飯を食べずに寝てしまった。
私が目を覚ましたのは、自分の部屋のベットだった。
窓から外を見ると、太陽が真上を通り越し夕方に差し掛かっていた。
恐怖心がなくなり、安心して眠れたからだろう。
「……むにゃ」
目をこすり、ベットから降りる。
とりあえずリビングに行くと、誰もいなかった。
机に紙があったので読んでみると、お母さんからだった。
『買い物に行ってきます。ご飯は、夜まで我慢してね』
「うーん、多分我慢できるかな」
お母さんは買い物、お父さんは多分仕事。
ジン君の姿が見えない。
「そういえば、あれから見てないなぁ。何処に行ったんだろう?」
私は。ジン君に謝って仲直りをしようと思っていた。
でもジン君はいなかった。私は嫌な予感がした。
「もしかして……出て行っちゃったの?」
私が一人そう呟くと、玄関の方から音がした。
ジン君が帰ってきたのかなと思い、そーっと玄関を見る。
「何だ、お父さんかぁ」
「どうかしたのか?」
帰ってきたのは、お父さんだった。仕事じゃなかったらしい。
そして私とお父さんはリビングに行き、ジン君は出て行っちゃったの? と聞いた。
「クカカカ。そんな事ないよ」
「じゃあ、何処に行ったの?」
「……修行してるよ」
「庭で?」
「いや、昨日から山で」
「えっ、どうして?」
修行なら、庭でもできるのに。
私の家の庭は結構広く、お父さんとジン君の修行にはちょうど良かった。
「…………ミッシェルの為だよ」
お父さんは十分な間の後、私の為だと言った。
「……えっ?」
「自分の所為だって思ってるらしくってな、ケジメを着けるって事で強くなりたいって言ってきたんだよ」
そんな、ジン君の所為じゃないのに。
私が、あんな酷い事を言ったから?
「ミッシェルの所為じゃないさ」
「でも……」
「ジンは……まぁ、多少はショックは受けてた見たいけど。自分の所為で苛められてるんだったら、俺が守るってな感じだったよ」
ジン君……。
「まぁ、あと五日は帰ってこないけどな」
「五日も!?」
「ああ、お前の誕生日の日に決着を着けるってさ。ついでに旅をする的な事を言ってた気がする」
「……っ! ……お父さんは良いの?」
「何が?」
「決着の事もそうだけど、旅に出るんだよ? あの年で」
危ないに決まってる。
もしかしたら、奴隷になっちゃうかも知れない。
「良いんだよ。十五になったらどうせ追い出して、旅させるきだったもんな。ほれ、可愛い子には旅させろって言うだろ?」
「それにしても、年が低すぎるでしょ!?」
「ん? ああ、言ってなかったな。あいつ、転生者だぞ?」
…………はい?




