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Story10 襲撃です。2

 「それで? ミッシェルは何か言ってるのか?」

 「いや、別に何も言ってないが」


 現在、親父が余りにも焦っていたので。

 落ち着かせて、ゆっくり話を聞いている所だ。

 

 「じゃあ、別にそれで良いんじゃないのか?」 

 「……あれ?本当だ」

 

 無事解決しました。早かったですねー。

 五分もかかってない。


 『きゃぁああああああ!』


 するとその時、庭からお母さんの悲鳴が聞こえた。

 俺は親父と顔を見合わせ、頷き、すぐさま庭に出た。

 そこには、お母さんに向けて、刃物……恐らくナイフだろう物を向けていた。

 見る限り、お母さんには怪我はないようだが今からでも怪我……大怪我をする可能性がある。

 そしてナイフを向けていたのは、あの苛めっ子達だった。

 

 「よー! 黒髪お前を殺しに来たぜぇ」

 

 こんな悪役だったっけ?コイツ。

 でも今は、そんな事はどうでも良い。

 コイツ等はミッシェルだけでなく、お母さんにも手を出した。

 遠慮なくボコす……いや、あわよくば植物状態にしてやろう。

 そして俺が虚空・・から自分の武器を出そうとしたとき、背後から 

 物凄い殺気がした。勿論殺気を出しているのは、親父だ。

 恐る恐る後ろを振り返る、そこには『医術神』ではなく……『死神』がいた。

 体に纏わりつくように、黒いオーラのような物があり。目は充血し、額には青筋が無数にある。

 

 「おめぇら……ここから生きて帰れると思うんじゃねぇぞ?」

 「ひっ……!」

 

 親父が喋ると、地響きがした。

 苛めっ子達から小さな悲鳴が聞こえる。

 でも今はそれ所じゃない。

 

 「親父を、止めないと……ッ」


 何とかして親父に近づこうとするが、殺気の圧力であまり足が進まない。

 親父に対して恐怖を抱いている。

 

 「親父……ッ! あんたが手を出しちゃだめだ!!」

 

 だけど止めなければいけない。

 依頼でこの村に来たのは『冒険者』の仕事で来たと言っていた。

 でも『冒険者』をやっていた頃でも、人をあやめた事は無い。

 何故なら、『神格』が落ちるからだ。

 『神格』が落ちると『神の力』の一部が使えなくなったり、他の神より力が弱くなり地位が下がったりする。

 だからあの糞餓鬼共に手を出すのはお前だけだ。と親父は言っていた。


 「人の子如きが、調子に乗りやがって……!!」

 「だめだ、聞こえてねぇ!」


 このままじゃあ、本当に苛めっ子達が死ぬ……っ!

 何とかして止めなきゃ、手遅れになる。

 俺がどうしようかと悩んでいると、親父の背後に人影が見えた。

 その人影の正体は―――


 「ミッシェル!?」

 

 ミッシェルだった。

 親父の圧力でふらふらになりながらも、親父に近づいていく。

 

 「だめだ、ミッシェル! 今の親父は周りが見えてない!!」

 

 しかしミッシェルは俺の忠告を無視し、親父の背中に触れる。


 「お父さん……っ! 私なら大丈夫だから! 私の事は自分で何とかするから!! お母さんも怪我してないから……っ。だから……だから元に戻って!!」

  

 そう言って親父を後ろから抱きしめる。

 すると殺気の圧力が弱まり、ついには消えた。

 

 「……っ! ミッシェル!?」

 

 どうやら気がついたようだ。

 ひとまず親父の事は終わったが、この状態を引き起こした苛めっ子……糞餓鬼共についてはまだ終わっていない。 

 

 「さてと……、覚悟はできてんだろうな?」

 

 俺がそう言いながら、糞餓鬼共を睨みつける。

 すると、そいつ等は後ろを向き何と、逃げ出したのだ。

 

 「な……ッ! こんのッ、逃がすと思うなよ!!」

 

 俺が、糞餓鬼共の後を追いかけようとした時親父の声がした。

 

 「……おい、ミッシェル!?」

 

 切羽詰った親父の声。何事かと思い、親父達の方を見る。

 そこには倒れているミッシェルを介護する親父と、お母さんの姿があった。

 

 「どうしたんだ、何でミッシェルが倒れてるんだ!?」

 「恐らく俺の『死気』と殺気にやられたんだろう……」

 「『死気』って何だ? 嫌な予感がするんだけど」

 「俺の体に黒い物があっただろう? あれが『死気』だ。長時間それにあたっていると、死に至る」

 「んな……っ」

 

 信じられないと思った。

 だけど、目の前のミッシェルは顔色が蒼くなって気絶している。 

 それにさっきまで親父が立っていた場所の、草や土が死んでいた。

 草は枯れるを通り越して、所々灰のようになっており原型を留めておらず。土は砂漠化していた。

 

 「……ミッシェルは直るのか?」

 「……俺は医術神だが、命を暫く留めておくことしかできない」

  

 おいおい、マジかよ。本当にこんな事があって良いのかよ。

 医術の神でも直せないって、もうどうしようも―――

 ん?待てよ?


 「一つだけ方法があるぞ」

 「本当か!?」

 

 俺の一言に親父が反応する。

 

 「これって、俺のスキル使えばいけるんじゃね?」

 「んだよ、そんな事か。無理だな、どんな状態異常を回復できるスキルでもこれは直せない」

 「は、はは……。じゃあもう」

 「いや、俺の方法ならいけるが……」


 方法あるのかよ、じゃあそれを早くやらなきゃ。

 

 「俺が調合した薬ならいけるが、材料が無い」

 「時間が無いんだろう? 俺が取ってくるから、早く言え!」

 「『光聖龍の逆鱗』それが足りない」

 

 竜の鱗って、薬に必要なの!?

 硬くない!? 飲めるの!?

 というかさすが異世界、竜がいるらしい。


 「お前が今心配してる事は、調合の時にどうにかできるから安心しろ」

 「じゃあその『光聖龍』って奴は何処に居るんだ?」

 「この村から東に暫く行くと山がある。そこに居るんだが……」

 「何だよ、早く言えよ」

 「お前の実力ではそいつを倒せない」  


 ……それはそれは、大変だ。

 どうしようも無い。……いやどうにかしなきゃな。

 俺のスキルを使って。何とかする。

 

 「……絶対に取ってくるから、ミッシェルと調合の準備頼んだぞ」

 「お、おい!! お前じゃあ無理だって―――」

 

 親父の言葉を無視し、俺は東に向かって走り出した。

 でも俺は直ぐに脚を止めた。

 

 上空にいる、白い龍の咆哮によって。


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