Story1 こんにちは女神様。
どんどん書いていくつもりです。
「んぁ……知らない天井」
気が付くと俺はそこに寝転がっていた。
恐らく今まで眠っていたんだろう。まぁ、別に寝るのはいい。
だけどせめて布団は敷けよ、昨晩の俺。体中がいてぇ。
てかまず、どうしてこんな所で寝てたんだ?
思い出すんだ俺。確か学校が終わって、何時も通り武器辞典を見て。
喉が渇いたからコンビ二に行って……? あれ、この後が思い出せない。
酔っ払った次の日って、こんな感じなのかな? ……うわぁ、やだな。
何も思い出せない。ああいや、自分の事とかは覚えてるし家族、友達の事も覚えてる。
別に記憶喪失って訳ではない。
「……それにしてもあれは本当に天井か?」
上の天井……いや天井らしきものを見つめながら、一人そうつぶやく。
その天井らしきものはただの白色だった。
黒でもなければチェック柄でもない、真っ白としか表現できない。
そしてその天井らしきものは空の様に高く思える、鼻先に付きそうな程近いとも思える。
手を伸ばせば付きそうなのに、実際に手を伸ばしても触れる事は出来ない。
何なんだろうこの天井らしきものは、何故か不思議な感覚がする。
この久しく忘れてたような胸のドキドキは、胸がきゅっとなる。
そして何故か懐かしい。……ああそうだ。思いだした。
これは……
「これは唯の嘔吐感だ。……あ、ヤバイ吐きそう」
久しぶりに気持ち悪くなったから忘れてた。
本当に気持ち悪くなったので、仕方なく立ち上がる。
「なっ……」
立ち上がって更に驚いた。
天井だけでなく、壁や足元、周り全部が真っ白だった。
そして壁や足元も天井と同じく触れそうで触れないそんな感じだった。
しかもそれが周り全体だ今自分が立っているのかさえ分からなくなる。
「マジかよ、吐き気抑えるために立ったのに。……逆効果だった」
まぁ、本気で我慢すれば何とか吐くことぐらいは避けられる。
頑張って我慢しよう。頑張って……、無理かも。
「それにしても、ここは一体何処なんだ?」
「ここは『神界』という所ですよ」
俺の独り言に反応する声がした。声からして女性だろう。
俺は声の主を見つける為に、周りを見るが誰もいない。
ただ白色が続くだけだった。
「何処にいるんだ?」
「すいません。そういえば、この状態では見えないんでしたよね」
そう声が聞こえたあと、目の前に亀裂が入った。
そして亀裂が広がっていき、穴の様になるとそこから女性が出てきた。
女性は女性でもそこ等辺のアイドルなんて足元にも及ばないだろう。
それほどの美しさだった。
西洋の人形のように整った顔立ち。
シミ一つ無いキメの細かい綺麗な肌。
その瞳はすべてを見通すかのように、碧く透き通っていた。
艶があり、色っぽい唇。
髪はブロンド色の様な金色の様な髪色をしていて、腰まで届くロングのストレート。
艶があり、枝毛なんて一本もなさそうだ。
そして白色のドレスが更に彼女を引き立てる。
「始めまして。そしてこんにちは」
その声は思わず聞き入ってしまうような、声音だった。
そんな彼女に近寄る事は許され無い様に思う。
まるで女神様だ。
「ああ、始めまして。そしてこんにちは」
俺が彼女にそう返すと、一瞬だけ眉を寄せた。
すぐにやめたが、それが凄く気になった。
「どうした? 何か気を悪くさせたか?」
「いえ、お気になさらず」
「そ、そうか」
「はい。……やはり覚えていませんか」
「ん? すまん後半が聞こえなかったんだが」
「? いえ、何も言っていませんが?」
いや、絶対言った。俺はしっかりと聞こえていたぞ。
あ、いや何て言ったかは聞こえなかったが。
俺の悪口じゃなければいいんだけど。
出来ればこの人とは、仲良くしたい。
「ああ、そうだ。ここが何処かについてなんだが、もう一回言ってもらってもいいか?」
「はい、ここは『神界』という所です」
「……はい?」