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interludeA

リドル族は長命な種族なので。

暇にあかせて、年間行事を企画するのが好きだ。


(あ、またこの夢か)

(へー、リドルってそうなのか)


この島に流れ着く前は、祭りと言えば新嘗祭くらいで。

最初は、行事の1つ1つが物珍しかった。


(……あれ? 何か随分、視点が低いな)

(歩いている感じがするのに)

(ああ、これ姫巫女になる前なのか)


それでも、島での生活も3年目ともなれば。

そろそろ何の行事の時期か、推測がつく。


――もうすぐ。

島では、『肝試し』と言われる行事が開催される。


(肝試し? 本っ当に暇な種族なんだな……)

(もっと他にやることないのか、あんたら)


この行事が、俺は。

心底、苦手。


リドル達は、とにかく『行事を企画する』のが好きだ。

つまりそれは。

参加するよりも、計画・準備・裏方をしたくて仕方ないってこと。


肝試しの裏方と言えば、――脅かす方だ。


(え? そうなの?)

(随分、屈折した楽しみ方してるなぁ……)


「ねぇ、今年の肝試しの日程が決まったわよ!」

「……いつ?」


義姉イワナが、いつもの明るい笑顔で、カレンダを指した。

その指先は、1月以上先の日付を示していた。


「あー、楽しみ! 今から楽しみ! 今年はどうしようかしら!」


うきうきと声を弾ませる。


俺がこの島に流れ着いて以来。

年々、気合が入るこの行事。


俺が来る前は、くじで「ハズレ」を引いたら。

参加者に回る、という取り決めになっていたらしい。


それが、3年前から。

別に企画が好きでもない人間――俺が増えた為に。

参加者は固定制になった。


つまり、俺(参加者)対、全リドル(脅かし役)。


たった1人で暗い森を歩きながら。

100人単位を敵に回して、あの手この手で脅される。


(何だ、それ。……怖い。子どもは泣くぞ)


実際に。

最初の年は、途中で泣き喚いてリタイアした。

2年目は、ゴール直前で気絶した。


正直、どちらのことも。

もう2度と思い出したくない。


他のイベントはいいんだ。

はろいんだって、ばれたいんだって、別に。

ひたすらお菓子を押し付けられるだけのイベントだし。


くりすまし、だけは。

俺以外の全員が、真っ赤な服を着ているので、ちょっと寂しいけど。


(どれも、聞いたこと無い祭りだな……)

(それにしても、全部、あんた対リドル族なのか)

(どういう一族なんだ、それ)


盆踊りも新嘗祭もいいすたも、もう、何でもいい。

肝試しでさえなければ。


このイベントだけは、全力で拒否したい。

毎年そう思いながら。


「ねえねえサクヤ! 今年はこんなのどうかしら?」


義姉の、このわくわくしている顔を見て。

言い出し損ねるんだ……。


(ほら出た、あんたの悪いくせだ……)

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