雨のち快晴
二人が初めて出会ったのは小学生のとき。
学校同士のバスケットボールの練習試合だった。
滴はバスケットボール部に入っていた。
・・・というか、部活に入るなら
サッカー部かバスケットボール部しか選択肢がなかったのだ。
広い校庭を駆け回るのは苦手だったし、
ボールを脚で扱うのも苦手だった。
まだ手でボールを扱う方がマシだった。
・・・それに、加えてもう一つ理由はあったのだが・・・。
その程度のことだった。
当然、そんなに上達はしなかった。
それは滴の力量もあったが・・・。
滴の通う小学校は部活の指導に熱心ではなかったのだ。
さらに、仲間との折り合いがよくなかったのだ。
仲間うちで、というかクラスでも滴は
『しーずくちゃーん』か『雨男』と呼ばれていた。
体力もなかったし、自分で言うのもなんだが暗い奴だったのだ。
顔色も悪く、なんだかモヤシのように細っこいし、
瞳が暗いのだ。どんよりと。
その頃は今以上に感情が動かなかった。
しかも、滴は雨を呼ぶ。
滴が参加する行事は必ずというほど雨が降るのだ。
入学式も、運動会も、遠足も、練習試合も。
滴が風邪などを引いて欠席すると雨は降らない。
だから、滴はバスケットボールを選んだのだった。
そのことをクラスの人間は気づいていた。
だから、尚更、敬遠されたのだ。
・・・だが、その日は違った。
「・・・晴れてる。」
強豪他校との練習試合にも関わらずその日は晴天だった。
雲一つない、快晴だった。