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プロローグ
それは誰もが持っているモノ。その形は千差万別。ただし、そのモノに入る絶対量は一定。多すぎても少なすぎても、ろくな事にはならない。
たいていの人が持っているそのモノは、何かしらの入れ物の形をしている。グラスだったりお椀だったりその形は違えども、共通しているのは蓋のようなものはないということだ。そのモノに何かを入れすぎれば溢れてしまう。
では、そのモノの中に入っているのは何なのか?それはいわゆる『幸運』と呼ばれるものである。
人が産まれた時にそのモノの中には半分の量の『幸運』が入っている。何か良いことがあれば、『幸運』はその分だけ減り、逆に悪いことがあればその分だけ『幸運』が増える。また、何か良いことをすれば、その分だけ『幸運』は増え、その逆も然り。そうやって『幸運』の量は保たれている。
普通の人には、そのモノの存在は知られていない。しかし、中にはそのモノに深くかかわっている人たちもいる。その人たちはそのモノのことを『幸運の器』と呼び、いつの時代も翻弄され続けていた。
これは、そんな人々に纏わる物語。




