表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤と黒の帳簿  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/33

第九章 滲む境界

疑念は、事件や数字よりも先に、日常の輪郭を曖昧にした。真は現場を回りながら、同じ名前を二度聞く。別の施設、別の時間、同じ癖。偶然にしては多いが、証拠と呼ぶには弱い。


港区の倉庫街で、真は一度だけ足を止めた。風が強く、シャッターが鳴る。ここで何かを見た気がする。だが、記憶は像を結ばない。人影か、光の反射か。確かめようとすれば、確かめられなくなる種類の感覚だった。


事務所では、仁が新しい契約の話を進めていた。声は落ち着き、判断は早い。正しさが、かえって距離を生む。真は質問を飲み込み、頷く。喉が鳴り、視線が逸れる。幼稚園の砂場から続く、小さな逃げ道。


夜、真は名簿の端に残った鉛筆の跡を指でなぞった。消し切れない薄さが、逆に残る。疑念は、まだ形を持たない。だが、形を持たないまま、確実に重さを増していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ