di.MISSING JANE
僕は走っていた、ただただ走っていた、視界の輪郭をぼやけさせて、
—そしてついたその場所は、
「どうして、自分のお母さんから逃げるんだい?」
「…どの口が言ってるんだ」
「はぁ、だから言ってるだろ?私がやったことではない、これは君が望んだことだ。」
「これが、か?世界から僕の居場所を消すことが?」
「さぁ?それが君の願いなのかは君自身にしかわかりゃしないさ、だから、その問を私にするのは御法度なんだよ。」
「…」
すこし、すかしたような、それでいて、儚い顔で、笑っている少女がそこにはいた。
「それより、これからどうするんだい?金や住む場所、身分を証明する物も何もない、君は本当にどうするつもりだい?お母さんに縋りついてみたって良かったんじゃないか?それとも、一歩人の道を踏み離れて誰かを不幸にして食の糧にするかい?」
「君は僕を舐めているのか?誰がそんなことをするもんか」
「じゃあどうするんだい?あ!ただ1つだけマシなのがあるよ、」
「?」
「それはねぇ、この国の腐った偉い奴らを削除することさ!これなら人を不幸にするどころか多くの民から感謝されたりするんじゃないか?」
「…、やっぱり君は悪魔なんだな」
「あぁ、そうだよ、私はとても良心的でとーっても!すごい悪魔なんだよ、もう、忘れないでね?」
夜景の光照らされたその悪魔の目はとても、とても光っていた、まるでずっとねむっていた夢を思い出した少女のようだった。
「ほんとにその偉いやつらを殺せば、金が手に入るのか?」
「貰えるももらえる!!大量にね!それに君の能力だったら潜入なんてとっても簡単にできそうだしね!」
「…?」
「まさか気づいていなかったのかい?君、どうやら、君以外のものになら、姿、変えれるようだよ?」
「そういうことはもっとはやくいってくれよ、」
「まあまあ、いいじゃないか、どうせ君は誰かになり
すまして生活するつもりなんて全くないだろうし、」
「まぁ、そうだけどさ」
「大丈夫だよ!きっと、君なら新しい居場所を手に入れれるはずだよ。ターゲットのリストなら私が持ってきてあげるさ!この私をこれだけコキ使えるんだ、喜びたまえ!」
そう誇らしげに確証のないことを言い、啖呵を切れることはホントにすごい奴だと、ほんとに心から思った、それと同時に、正体不明の不安に押しつぶされそうな僕が、そこにはいた。
これが本当にあっている選択なのか、僕にはわからなくて、脳内の信号はきっと、ずっと赤にも、青にもなれきれないのかもしれない。




