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165  作者: Nora_
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「ふふふ、やっぱり瀬名はいいなあ」

「八敷のこと気に入っているよな」

「うん、だってあの子可愛いから」


 冷たく対応しきれないところが可愛い。

 なんだかんだ言っていてもこっちを見る目は優しいそれだ。


「それこそ鉄也はなんでずっと名字呼びなの? 中学校の頃から一緒にいるのに」

「特に拘っているわけではないんだ、だけどずっとこれだからさ――って、前もこのやり取りをしたよな」

「確かにっ。まあ、自由だからいいんだけどさ」


 呼びたくなったらいつでも呼んでねと言っておいた。

 だって鉄也なら私のためにとか考えている可能性もゼロではないし……。

 って、なんでもかんでもこっちを優先しているわけじゃないかと苦笑する。


「そろそろ結月の誕生日だけどなにが欲しい?」

「うーん、鉄也との時間?」

「いつでもそういうことを言っていると所謂がばっといくことになるぞ」

「いや、冗談とか試したいとかじゃなくて本当にそうなんだよ」


 実は物欲というのがあんまりないのだ、だからなにかをくれるということならそういうことで求めるしかない。

 どうしても物で求めてくれということなら……なにが欲しいんだろう。


「一緒に過ごせて、ご飯を食べられて、その後もゆっくり話せればそれでいいかな」

「なんかないのかよ……」

「だからそれだって」


 彼のことだからきっと多く求めても「分かった」とか言っちゃうんだろうな。

 クリスマスのときのことだけど、私なんて考えに考えてあれしか出てこなかった。

 正直、ああいうところが残念少女と言われている理由なんだ納得できてしまったぐらいだ。


「それよりほら、早く帰ろうよ」

「そうだな、足を止めている場合じゃないよな」


 彼は「下手すると凍えてしまうぞ」とか大袈裟なことを言っていた、ちょっとオーバーに言いがちなところも可愛いところだ。


「今年も沢山結月と過ごさないとな」

「うん、彼氏彼女の関係だからなおさらそうであってほしいよ」

「でも、無理はしてくれるなよ? 他に優先したいことがあったらそっちを優先してくれれば――」

「それはこっちが言いたいこと、鉄也こそちゃんとしたいことを優先してよ?」

「大丈夫だ」


 あ、あんまり信じられない……。

 だからちゃんと見ておこうと決めた、きっとそうしたら彼のために動けるから。

 でも、とりあえずいまはそうじゃないから家でゆっくりすることに。


「さ、今日も甘えてくれ」

「後で鉄也も甘えてね」

「分かったから、ほら早く」

「もー、急いだって仕方がないのにー」


 嬉しそうな顔で髪を撫でてくるところが不思議だった。

 長年一緒にいても分からないことはあるんだなーという感想を抱く日は多かった。

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